【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

有期雇用のパートタイム労働の給料を正社員と同じにする改正法案、政府が第186通常国会に提出へ

2014年01月07日 16時16分44秒 | 第186通常国会(2014年1月)好循環実現国会


 政府は第186通常国会に、「パートタイム労働法(短時間労働者の雇用管理の改善に関する法律)の改正法案」 を提出する方針です。

  5日付日経新聞が報じたところでは、有期雇用のパートタイム労働者で、(1)正社員と仕事内容や責任が同じ(2)人事異動があるーーの2条件を満たすと、賃金などの待遇を正社員と同じにするという法改正のようです。労働者500人に1人にあたる、10万人が対象となる見通し。

 今月中に、労政審(労働政策審議会)がまとめるようです。

 非常にたちが悪い法案で、「飴と鞭」。例えば「治安維持法」は大正14年法律46号ですが、「普通選挙を実現する改正衆議院議員選挙法」は同47号と連番であり、明らかに両法は飴と鞭です。

 パートタイム労働法(平成5年6月18日法律第76号)の第1条は「この法律は、我が国における少子高齢化の進展、就業構造の変化などの社会経済情勢の変化に伴い、」パートタイム労働者の能力を有効に発揮し、その福祉の増進を図る法律だと定義しています。

 パートタイム労働者の明確な定義はないのですが、「パート」、「パートタイマー」、「パートさん」、「アルバイト」、「嘱託」、「契約社員」、「臨時社員」、「準社員」はすべてパートタイム労働者と考えられます(参考文献・菅野和夫著「労働法 第10版」240ページなど)。

 しかし日経新聞の記事にある、「正社員と仕事内容や責任が同じ」場合は、フルタイム労働者に対して、労働時間がパートタイム労働者ということになりますが、定義が極めてあやふやになります。

 いずれにしろ、自民党政府が「パートさん」「アルバイト」の待遇改善を意図していないことは明らかです。

 さらに、有期雇用のパートタイム労働者ということは、雇用の更新をしない「雇い止め」をすることで経団連は「雇用の安全弁」と考えていると考えています。 

 このため、民主党は第1次与党期の2012年平成24年の第180通常国会(一体改革国会)で、「有期労働契約が通算5年超にわたり反復更新された場合、労働者が無期労働契約の締結の申込みをしたときは、使用者は、別段の定めがない限り従前と同一の労働条件で、当該申込みを承諾したものとみなす」とする改正労働契約法(平成24年8月10日法律56号)をつくりました。

 なお、民主党がいう「労働契約」と、民法(明治29年法律89号)でいう「雇用」はまったく同じ意味です。

 このように、民主党・連合が有期雇用契約(上限は原則3年・例外5年、下限はなしすなわち日雇い可能)の無期転換を法制化したので、自民党・経団連は「有期でも待遇は同じ」という法律をつくることで、無期転換を阻止しようという考えがあるようです。

 いかんせん、民法関連の法律なので、労働基準監督署や警察はなにもしてくれません。

 有期雇用が3年ないし5年になった人はまずは無期転換を申し出るべし。逆切れされようとも、無期転換を申し込むべきです。

 ILO憲章(1946年採択、日本国昭和27年1月16日条約1号)の前文には「同一価値の労働に対する同一報酬の原則の承認」は「世界の永続する平和」を確立する社会正義の基礎だ、と定めています。

 しかし、我が国では、同一労働同一賃金の原則は、「終身雇用と定期昇給」があるかぎり達成しようがありません。ですから、ゆるやかに正社員の定昇とそれを実現する年1回のベースアップ制度を廃すべきです。そして、フルタイム労働者とパートタイム労働者が行き来することで、仕事と家庭を両立し、女性のM字カーブを解消するしか日本の生きる道はありません。

 連合統一にあたり、賃金闘争は「春闘、春季生活闘争」の名称に統一しました。



 上の写真は、国際連盟発足の政府代表団に野党議員ながら参加する鈴木文治が旅立つシーンです。このときの労働部門の条約・規則が、現在のILO国際労働機関です。そして、鈴木文治の考えを受け継ぐのが連合であり、民社協会です。

 「終身雇用と定期昇給」の正社員のベースアップを求心力にしようとしても限界があります。これからは、鈴木文治が残したILOの「同一価値労働同一賃金」の原則を大事にしないと、連合は次の四半世紀を乗り越えられません。連合は正社員が職場の非正規雇用者の待遇をチェックする「職場から始めよう運動」で、日本社会全体の正義を底上げ(ベースアップ)するしかないのです。

 日本国民の全員の総力を結集して、経団連を倒しましょう!

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