【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

ガソリン値下げ隊が空港使用料値下げ隊に 罪深い小渕内閣の「打ち出の小槌」

2014年01月11日 14時29分46秒 | 第169通常会(2008年1月~6月)ガソリン国会

[写真]街頭演説する逢坂誠二・前衆議院議員、民主党北海道8区総支部長=公認内定、2014年1月11日、おおさか誠二事務所フェイスブックページから。

 きのうまでに「通算998万(2795)PV(ページビュー)」を越えました。

 自民党政府は2年連続で「15か月予算」を出します。昨年は1月31日提出だったので、どこがどう15か月かは論理が破綻していますが、この「15か月予算」という言葉を初めて使ったのは小渕恵三首相です。


 さて、民主党第1次野党期の第169回ガソリン値下げ国会では、当時1期生議員だった逢坂誠二さんも主戦場の衆・国土交通委員として活躍しました。

 この中で、逢坂さんは「債務負担行為」(国庫債務負担行為)について質疑していて、私は債務負担行為(国交省の公共事業端境期対策ではゼロ国債ともよばれる)を質問したのは、逢坂さんしか記憶がありません。

 それはあらためるとして、社会資本整備特別会計について、逢坂さんは

 「特別会計に関しては、これまで国会の中でも余り議論が必ずしも以前はなかったというふうに言われているんですが、それはやはり、先ほど大臣がおっしゃったように、お金の集め方と使い方の関係が明確になっているということで、議論の余地は少ないというふうに思われていた」と指摘。

 冬柴国交相(故人)は

 「社会資本の整備というのは、その性質上、長期間にわたります。これは道路だけではなしに、河川にしても空港にしても港湾にしてもみんなそうですけれども、多くの関係者の合意をいただき、また、必要に応じて負担もいただきながら進めていく必要もございます

 さて、「運輸省所管・空整特会(くうせいとっかい)」は、国土交通省所管・社会資本整備特別会計空港整備勘定を経て、3月31日に廃止されます。民主党が書き、自民党政府が提出し、先の臨時国会で成立した改正特別会計法(平成25年11月27日法律76号)にもとづく措置。ただし、借金などの整理のため、区分経理は継続します。

 まあ、逢坂さんの話はここまでとして、さてさて、空整特会は、お金の集め方と使い方は明確だったのでしょうか。

 たとえば、平成9年度(1997年度)予算の特別会計予算書のPDF677ページ、紙681ページを見ていただきたいと思います。

 おおまかにいうと、空整特会は歳出入4000億円規模。

 歳入は

 一般会計からの空港整備のための費用1500億円、
 空港使用料2000億円、借入金400億円、
 自治体負担金100億円でできています。

 そして、歳出は
 空港整備に1600億円使っていますが、
 大蔵省所管・国債整理基金特別会計にも600億円のお金を移しています。

 では、その3年後、未曾有の平成不況だった小渕内閣の平成12年度(2000年度)予算ではどうなっているか。

  平成12年度特会のPDF691ページ、紙695ページ

 一般会計から空港整備のための費用は1700億円、
空港使用料は2200億。ここは3年で10%増えています。
借入金は360億円で、
 自治体負担金は75億円に減っています。これは一つ一つの自治体にとっては大きな減額であり景気・財政対策につながっています。
 そして、財務省所管・国債整理基金特別会計に907億円が移っています。

 ここで問題にすべきは、一つ目は空港使用料が不況なのに、3年間で10%増になっていること。

 そして、もう一つは、財務省の国債整理基金への繰り入れは不況なの増えていることです。
 
では、なぜこのようなことが起きるのか。運輸省航空局は地方空港の新設について、大蔵省主計局に長年頭が上がらない状態なので、もともと空整特会から国債特会へという「特会から特会へ」という透明だけど複雑なお金の動きをしていました。

 そして、小渕内閣の不況で、国交省航空局は日本航空・全日空を説得して空港使用料を値上げして、一般会計から空港整備費も増やしてもらった。そのかわりに、国債整理基金特別会計への「上納金」を増やして、そのお金を、財務省主計局が景気対策に回していた。

 では、なぜそのようなことが許されるのか。それは、「税金投入による空港整備費を増やせば、将来の空港使用料は、右肩上がりに増えるので、その未来のお金を前借して、景気対策に使う」という論理でしょう。
 
 おそらくこのときの主計官はもう右肩上がりは無理だし、この狭い国土に100も空港をつくっても無理だと分かっていたでしょうが仕事上、こういう組み方をせざるを得なかったのだと考えます。橋本行革で省名は変わっても、航空局はそのまま存続したので、恩義は消えていなかった。

 つまり空整特会は明確に、小渕首相や財務省の打ち出の小槌であったということになるでしょう。

 さて、今週10日(金)付の日経新聞に次のような記事が載っています。



 この記事によると、新年度から3年間、自治体と航空会社が共同で集客策をつくる場合は、着陸料を3割~8割値引きする、との地方空港の延命策。

 さはさりながら、 そもそも、空整特会がなければ、着陸料・空港使用料がこんなに高くなることもなかったし、地方空港が100もできることはなかったのです。それにともなう国債残高、手を突っ込んだ未来の空港使用料、そしてなにより100の地方空港のメンテナンス費用。

 そして、平成9年度予算は橋本自民党内閣が組み、最大野党・新進党がチェックしましたが、平成12年度予算は、小渕自自公内閣が組み、最大野党・民主党がチェックしました。この過程で最大野党に閣僚経験者の人数が半分以下になってしまいました。その意味では、戦犯は、小沢一郎氏であり、小沢一郎氏は私財をもって償うか、それができなければ死罪になるかのいずれかでしょう。

 さあ、最大野党・民主党の挑戦はこれからが出発です。まあ、ここまでの状態になっても、まだまだ持つ日本は強いですよ。長時間労働低賃金は代償として当然ですが、いずれにせよ、前に向かって進むしかありません。

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