[画像]「長谷川閑史・産業競争力会議委員の解任要求を拒む、自民党の小泉進次郎・内閣府大臣政務官、2014年6月26日(火)参議院厚生労働委員会閉会中審査、参議院インターネット審議中継から。
【参議院厚生労働委員会 2014年6月26日(火)閉会中審査】
第186通常国会は閉会しましたが、参議院厚生労働委員会で閉会中審査による、一般質疑が行われました。
参・厚労委は20日(金)に、「社会保障および労働問題などに関する調査」を「継続調査」とすることを全会一致で決定し、議長に申し入れ、内閣と衆議院に通知していました。
国立国会図書館の議事録では、第186回国会のカテゴリーで収録されます。
「きょうは社民党の福島みずほ理事の発案で、武田薬品工業とノバルティス・ファーマ社の臨床試験の不正を早めに質疑すべきだということになった」(足立信也さんの質疑での発言)ことによる閉会中審査でした。
質疑はいつも通り、自民党、民主党、公明党、「日本維新の会・結いの党」、みんなの党、共産党、社民党の7会派の順で行われました。が、摩訶不思議なことに、与党の自民党は「社会福祉法人の内部留保について」、同じく与党公明党は「地震発生時の救命体制について」だけ質問し、製薬の話はまったくしませんでした。おそらく理事会で「なんかあった」んでしょうが、先の国会は政府側のミスが相次ぎ、秋や来年にかけて重要法案の提出が予定されるので、野党に配慮したと思われます。
民主党の足立信也さん(元厚労政務官)は、武田薬品工業の高血圧治療薬「プロプレス」の医師主導型臨床試験での治験結果の不正について、18日に出てインターネットでも読める、第三者機関とされる弁護士事務所の報告書に、独自の情報を加えするどく追究。治験の調査票を、京都大学内のセンターで、武田社員がデータ入力していたとすると、厚労省医政局長は「治験の信ぴょう性は大きく下がったと言わざるを得ない」と同調しました。
[画像]民主党の足立信也さん、2014年6月26日(火)参議院厚生労働委員会閉会中審査、参議院インターネット審議中継から。
第三者機関の報告書では、「治験の責任者は、初めから(武田薬品工業社長の)長谷川閑史(はせがわ・やすちか)氏だ」となっていると指摘。足立さんは「きょうは参考人として来ていただきたかったが、あす大阪で株主総会があり、大荒れになることが予想されているので準備に手間取っているとの理由で来てもらえなかった」としたうえで、「薬事法違反の可能性もある」と厳しく糾弾。
製薬協(日本製薬工業会)が長谷川氏を副会長の役職を6カ月間の停止処分にしていると指摘。そのうえで、長谷川氏が、安倍首相肝いりの産業競争力会議の民間委員であり、雇用・人材分科会主査として、残業代ゼロ・ホワイトカラーエグゼンプションをすすめていることを問題視。内閣府から、小泉進次郎政務官を呼び、解任するよう求めました。
これに対して、小泉進次郎政務官は「産業競争力会議は、一企業の利益を追求する場ではなく、さまざまな観点から日本の成長戦略を考えていく場だ。一人の委員の意見によって結論が決まることはない。偏った人選ではない」と答弁。解任要求を拒みました。
この後、共産党の小池晃理事、社民党の福島みずほ理事もそれぞれの質疑のしめくくりを、長谷川氏の産業競争力会議の委員解任要求でまとめました。
このうち、小池さんの質疑に対して、田村憲久厚生労働大臣は「厚生労働省は所管官庁ではないが、内閣官房が適切な措置をとってくれると思う」と語り、解任要求に理解を示しました。自民党内にも、清和会の小泉進次郎政務官と、平成研究会の田村大臣との間で温度差があることがうかがえました。
小池さんの質問に対して、武田の「プロプレス」は1・5兆円の売り上げがあるとの答弁を受けた後、「長谷川氏は初めから京大内の研究を仕切っており、日本人による日本人のための初めての画期的な臨床研究だったのに台無しにされた。健康保険財政に与えた損害についても厚労省は調査すべきだ」としました。
ノバルティスの「ディオバン」については、民主党の小西洋之さんが「税金を使った研究で誇大広告を打った場合は、会計検査院の検査の対象になるのではないか」と指摘し、検査院は厚労省を調査する方針を占めました。
みんなの党の薬師寺みちよさんは、党女性局長して東京都議会での塩村文夏同党都議に対する「産めないのか」といった自民党都議からのセクハラ野次に言及。田村大臣は「私も政治家として大いにいましめていきたい」とわが国における女性の地位向上をめざすことを明白に打ち出しました。この後、新薬開発について、「推進するのは法律なのに、倫理は指針にとどまっている」として、倫理に関する法制化を求めました。
[画像]2014年6月26日(火)参議院厚生労働委員会閉会中審査、参議院インターネット審議中継から。
(関連エントリー黒い金脈「薬」漬け「金」まみれ安倍首相がネット解禁を急ぐ 第185臨時国会に薬事法改正法案提出)
[お知らせ はじめ]
「国会傍聴取材支援基金」を設けています。交通費、資料代、傍聴券をとってもらっている議員事務所への些少な茶菓代に充てたく存じます。日本唯一の国会傍聴ブログの継続にご協力ください。半年に1回、会計報告もしております。
「国会傍聴取材支援基金」の創設とご協力のお願い
どうぞよろしくお願いします。
[おわり]