【参議院法務委員会 2014年6月3日(火)】
やはり昔はワルだったようで、谷垣禎一法相が、放送禁止歌をうたう場面がありました。
「少年院法・少年鑑別所法」(186閣法38-40号)の質疑に立った、民主党の有田芳生さん(ありた・よしふ=2010全国比例)は、「唐突だが、大臣、練鑑ブルースってご存知ですか」と質問。
谷垣法相は「覚えております。歌詞は確か、青いバスへと乗せられてゆらり、ゆらりと行く先はその名も高き練馬区の東京少年鑑別所」と歌いました。歌った後に、「今でも歌えと言えば歌えるほど、頭の中に染み込んでおります」と自己フォローしました。
有田さんは「民間放送連盟(民放連)の放送禁止歌だ」としたうえで、「練鑑ブルース」には、いくつかの歌詞が数バージョンあると紹介しました。
著作権法41条(報道の際の引用の自由)にもとづき、ネット上から、「練鑑ブルース」の歌詞をいくつか引用してみます。
「人里離れた寒いとこ こんな所があろうとは 夢にも思わぬ娑婆の人 知らなきゃおいらが教えましょ」
「身から出ました錆ゆえに 嫌なポリコにパクられて 手錠はめられ意見され 着いた所が裁判所」
「青いバスへと乗せられて ゆらり、ゆらりと行く先は その名も高き堺市の 大阪少年鑑別所」
などと紹介。有田さんは、実はこの歌はもともと、昭和10年代に戦争に行く兵士が自らの境遇を嘆いた歌が、戦後に不良少年の替え歌になったもので、味わいがあると分析しました。
そして、
「父さん母さん許してね これから真面目になりますと 言った意見も上の空 可愛いあの娘の事ばかり」
に注目。委員で少年院などを視察した際に、「親への謝罪の言葉が多く張り出されていた」として、「なかには、離婚がこの世の中からなくなってほしい」という紙もあったとしました。有田さんが法務省矯正局長に答弁を求めたところ、母子家庭など家族に恵まれない入所者が多い傾向があると、データを使って答弁しました。
谷垣法相は「死刑執行のときに、記録を読むし、私は若いころに若干の刑事弁護の経験があるが、成育歴に恵まれない刑事被告人が多い」と語りました。なお、谷垣さんは弁護士登録直後に衆議院議員になっているので、「法廷に立った経験がない」との報道がありますが、「刑事弁護の経験はある」とのことです。
谷垣さんは、先週の2014年5月28日(水)の衆議院予算委員会でも「私はリベラルではない。私は生粋の保守だ」と語り、政権交代ある二大政党政治には不要な教条主義者の息の根を止める頼もしい答弁をしました。
二大政党は、秋の臨時国会で人事異動をするので、暑くなる6月の通常国会会期末にもっとも仲良くなって、1年を終えることになります。党が違い、院も違う、有田委員と谷垣大臣がもっとも仲良くなって迎える会期末。会期末心が通う二大政党。もちろん、それゆえに強行採決の乱闘で終わる委員会もあります。
谷垣さんは昔悪かったろうと、私は以前から思っていましたが、やはりそうだったようですが、二大政党の心が通う中、少年院法・少年鑑別所法は可決され、あすの本会議で成立するはこびとなりました。
一方、会社法改正案が与党修正案待ちで残っているので、他の法案は審議入りせず散会。法務委の定例日は残り5回となりました。