[写真]3年ぶりに行われた国会議事堂の夜のライトアップ、2014年2月3日(月)、筆者・宮崎信行撮影。
衆参ねじれが8年ぶりに完全解消した通常国会となった、第186回国会は、2014年(平成26年)1月24日(金)の召集から当初会期通り6月22日(日)に閉会することになりました。
衆議院本会議は、参議院の動向を考え、休憩のまま散会する運びですが、参議院本会議では20日午後9時半過ぎに、山崎正昭議長が恒例のあいさつをし、「内外の情勢多難なおり、議員各位におかれましては、一層ご自愛ください」と語りました。
秋の第187回臨時国会の召集は現時点では未定ですが、おそらく9月下旬の可能性が高いと思われます。その前に、内閣改造・与党第1党人事異動がある見込みで、新しい布陣での国会となります。
国政選挙も統一地方選も「99%ありえない状況」で迎えた17年ぶりの通常国会でした。前回(1997年第2次橋本内閣)と同じく、150日間で閉会しました。秋の臨時国会の召集まではおそらく3か月間前後の閉会中期間となりそうです。ただ、閉会中審査は、集団的自衛権は確実で、TPP、景気、原発や放射線に関する問題、何らかの災害発生で、いくつかの委員会が開かれます。
最大野党・民主党議員も年初から、「ことしは落ち着いて政策に取り組めそう」と語っていました。予想通りに、閣法成立率98%ながら、与党経験をいかして、議院修正、附帯決議、議員立法などで縦横無尽に活躍。空転がほとんどない密度の濃い国会でしたが、日程闘争の不毛さがなく、充実した国会運びでした。
昨秋の松野頼久・衆議院議員の提案もあり、委員会から本会議への「緊急上程」がほとんどなくなりました。議事進行係のあべ俊子さんの出番はあまりありませんでした。あらためて考えてみましたが、憲法上、当初予算案は通常国会の最重要議案です。だったら、緊急上程ではなく、本会議の日程として公報に載せるべきでしょう。仮に災害対応の補正予算案であっても、当面は、本予算の予備費で対応できなければおかしい。いかなる場合でも、予算案、税制改正法案はすべて公報に載せて本会議の日程にするべきでしょう。ちなみに、昨年の予算成立の瞬間は、本会議場一般傍聴席には、私を含めて2名しかいませんでした。政党に関係なく国会の敗北でした。
衆参ねじれ解消後の先の臨時国会で、参・文教科学委委員会の大島九州男・野党側筆頭理事が始めた、「採決で反対した後に附帯決議案を筆頭発議者として提出して採択する」とのパターンが衆参とも大流行。採決で反対した直後に提案する、ならば、「いつから案文を書いているのか?」とのツッコミがありそうですが、衆参とも与党過半数ならば、あらかじめ採決結果は分かりきっているので、文句は出なかったようです。民主党の意見を附帯決議に盛り込むことができました。ただ、流行しすぎて、終盤は、自民党議員が提出した議員立法が全会一致で可決した後に自民党議員が附帯決議を付ける、となると、くどすぎるかもしれません。
今後は法律附則は当然として、附帯決議も含めて「法案の見直し規定」の時期を把握して、守ることが、改選を超えて、国会議員が共有すべき任務といえるでしょう。
衆議院予算委員会の野党側筆頭理事を2年続投するというモーレツ議員ぶりを見せた長妻昭さんが、今国会も徹底審議路線を求め、空転がまるっきりない国会運営となりました。衆参とも決算委(決算行政監視委)が危機感を持ち、参・決算委は月曜日の午前10時から午後6時まで、府省別審査をしました。
安倍首相は召集前から、「好循環実現国会」と設定しました。ただ、制定法律からすると、たとえば、改正貿易保険法は「融資も貿易保険の対象」にしました。改正中心市街地活性化法や小規模企業振興基本法では、日本政策投資銀行や商工会議所の融資機能が拡充しました。国会とは関係ありませんが、第31次地方制度調査会会長に、多くの自治体で指定金融機関をつとめる東京三菱UFJ銀行の前の経営者が就くなど、「金融機関の好循環実現国会」だったともいえそうです。
改正司法試験法、宅建取引士、学校司書、特定行政書士などの国会資格の法律が成立しました。4月1日から消費税が8%に引き上げられたことで、国家の永続性がたかまったことと無縁ではないでしょう。
参議院では、序盤に、内閣法制局長官や、NHK会長を呼んで衆議院と同じ質問で吊し上げるというあまり感心できない場面がありましたが、やがて収束。これまでと違い、やる気のある議員がいろいろな委員会で何度も登場する、新しい参議院の姿がありました。これも黄金の3年間ということもありますが、ニコニコ動画も含めたネット中継の効果もあると考えます。そして、会期末には、石原伸晃環境大臣が任にふさわしくないとの決議に、衆参の各野党が一致団結しました。ちなみに、衆環境委は、民主党筆頭理事が、維新の会1期生を気に入って附帯決議案の朗読者を任せた最初のシーンが昨年の筆頭理事のときにありました。
参院では会期末に問責決議案を出しました。かつ、否決されたこともあって、10年間続いた問責参議院からの脱却も、そろりと進みました。
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150日間、おかげさまで、無病息災で完歩することができました。今国会では以前に増して、法案を追いかけることが楽しく、本会議・委員会ともインターネット傍聴が多く、月曜日も含めて議員会館はほとんど回れませんでしたが、私にとって実り多い国会でした。お支えいただいたみなさまに心より感謝します。
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閉会中審査などの、理事懇談会、理事会、委員会などの情報があれば、ぜひ教えてください。例年どうしても見落としがちになってしまっております。
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