【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

田中直紀さん「異次元の金融緩和で円安進行と預金の実質減少、すでに破たんかも」「可処分所得を増やせ」

2014年10月01日 17時51分10秒 | 第187臨時国会2014年地方創生国会

【参議院本会議 2014年10月1日(水)】

 参議院でも、安倍首相の所信表明演説に対する代表質問が始まりました。

 民主党・新緑風会副会長(党本部副代表兼務)の田中直紀さんが質疑に立ちました。

 アベノミクス1本目の矢、異次元の金融緩和(2013年4月4日スタートで、すくなくとも2015年春までは継続見通し)について、初めて質問しました。

 田中直紀さんは「異次元緩和から1年が経ち、円安の進行と預金の実質減少が起きている。その一方で、自民党は旧態依然とした公共事業によるバラマキを続けており、アベノミクスは既に破綻している、という専門家もいる」とし「今年上半期は7・6兆円の貿易赤字となっており、総理の当初の見通しとは違っている。見通しの甘さについて、総理の釈明を求めます」。「経済を立て直すことは、内需を拡大することであって、所得税の減税や社会保障の充実をはかって、再配分を進めるべきだ。消費税10%の引き上げに際して、税制抜本改革法(社会保障と税の一体改革法)に違反して社会保障以外に使うことを辞めるべきだ」と演説しました。

 これに対して、安倍首相は答弁で「安倍政権ではデフレ脱却のために3本の矢を進め地エルが、賃上げは(名目で)過去最高水準になっています。経済の好循環が生まれ始めています。 経済産業省によると、中小企業・小規模事業者の6割も賃上げをしました。しかし、物価上昇で好況を実感しにくいのも事実であります」「貿易収支については、2012年秋以降、輸出が拡大しており、数量よりも収益で稼ぐ輸出になっています。今後、地政学的リスクもありますが、貿易収支の赤字は緩やかに減少します」「可処分所得は賃上げが15年ぶりの水準となり、持続的な経済成長ができないとデフレから脱却できません。民需主導で、景気回復の実感を全国津々浦々にお届けしていきます」「消費税の使い道については、社会保障財源以外に充てることはありません」と答弁しました。

 田中直紀さんは答弁漏れと不十分な部分があるとして、再質問に立ちました。

 安倍首相は再質問に答えて、「可処分所得の増加については、お金をばらまくのではなく、経済を成長させることによって実現させていきます」として大事な局面にさしかかっている認識を示しました。

 このほか。田中直紀さんはもともと、福島県選出衆議院議員で、その後、新潟県選出参議院議員に転出しています。

 福島について思い入れたっぷりと質問しました。
 まず、参議院原子力調査特別委員長を歴任した経験も踏まえて、「吉田調書」以外に、東電社長の「清水調書」も公開するよう迫りましたが、総理は「本人の同意が前提」と答弁。そして、福島県相馬市は父祖(鈴木家)の地であるとして、閉会中に相馬市で「来年も田植えができない」と聞いたと紹介し、2013年8月に東京電力福島第一原子力発電所3号機から相馬市方面に大量の放射線の放出があったことを、東電が公開しなかったとし、「総理に謝罪を求める」と強い口調で迫りました。

 これに対して、総理は「2013年夏の相馬市のコメの調査は、(農業者側の)関係者が一部不在だったこともあり、2014年2月に1号機の建屋のカバーの取り換えに関する説明会の席上で説明していますが、報道で知ったという人もいたことから、今後ていねいな情報提供に努めていきたい」と語り、政府・東電側の情報提供体制の不備を認める、誠実な答弁をしました。西川農相も「総理から答弁があったが、3号機からの放射性物質について、ことし2月の説明会の場で東電から1号機の飛散防止のカバーについて説明した際に、説明した」と補足し、誠実に答えました。ただ、これも田中さんは納得せず、「昨年8月のIOC総会での総理のアンダーコントロール発言の撤回」と含めて再質問しました。西川農相は次の質疑者に対する答弁の中で再答弁し、「2014年7月の説明会でも適宜説明しています」と、事前に言われていた通り、安全運転の、誠実な答弁が続きました。

 なお、田中直紀さんの質問により、初入閣の衆議院議員である、西川公也農相と望月義夫環境相の2人が答弁デビューを参議院本会議場で果たしました。

 次に、脇雅史さんにかわり参議院自民党幹事長になった伊達忠一さんが質問。質問の最後を「総理、獅子は1日20時間眠るそうです。総理もそこまでとは言いませんが十分な休養をとりながら改革を前進させていただきたい。私どもも全力でお支えしていきます」との立場を示しました。

 伊達さんは、女性の活躍について、「内閣改造の目玉は5人の女性閣僚の登用です」としたうえで、「経団連企業の6割が管理職に占める女性の数値目標を持っている」「日本は長時間労働と終身雇用により、 男性が管理職の中心になりがちです。グローバル社会を企業として勝ち抜くためにも、長時間労働と終身雇用の是正、正規と非正規の格差をただすなどの労働法制の見直しが必要です」と強調しました。

 きょうの参議院本会議の中で、安倍首相が国家戦略特区法改正法案を今国会に提出することと、西川農相が農協法改正法案を次の通常国会に提出することを明言しました。

 参議院本会議の代表質問はあすも行われます。

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生活の党、鈴木克昌ぬけぬけと「名目国民所得が平成8年(1997年)から減り続けている」新進党解党不況

2014年10月01日 17時08分53秒 | 第187臨時国会2014年地方創生国会

【衆議院本会議 2014年10月1日(水)】

 小沢一郎氏による新進党解党資金(および自由党解党資金)のマネーロンダリングである陸山会事件で、唯一上告していた被告について、2014年9月30日(火)付で最高裁判所第三小法廷は棄却し、陸山会事件の3被告の有罪(すべて執行猶予付き)が確定しました。

 今国会では、小沢一郎氏は志位和夫氏と席を並べていますが、代表質問には、生活の党(第46回衆院選の日本未来の党が改名)の鈴木克昌代表代行(兼)幹事長が立ちました。

 この中で、いわゆるアベノミクスと称される3本の矢による現下の経済状況について質問する中で、「消費税増税もあるが、(2014年4-6月期の)GDPは大きく落ち込んでいる。そもそも(名目)国民所得は平成9年(1997年)=注演説中で平成8年と述べたのは事実の間違い=をピークに落ち込んでいるんだから、GDPは上がりようがない」と演説しました。

 実際に、内閣府(旧経済企画庁)の資料を見てもらえばわかる通り、名目国民所得は、1997年(平成9年)をピークにして、下がっており、いわゆる「いざなぎ超え景気」などで上がったことはありますが、1997年よりも高い所得を記録したことは一度もありません。

 貨幣経済の歴史において、16年にわたり、名目ですら国民所得の記録を上回らないのは、時の今昔、洋の東西を問わずありません。

 1997年の山一證券自主廃業・アジア通貨危機、1999年の平成不況において、国民が自民党との一択を求められたことによる不況であり、実際には「新進党解党不況」と呼べるでしょう。

 見て見ぬふりをして、政治家をあざけった国民の罪です。

 日本国民全員の総力を結集して、新進党を解党し、政権交代ある二大政党政治を裏切った小沢一郎の息の根を止めるのが、第187臨時国会の大きな歴史的意義となりました。

 衆議院での国務大臣の演説はきょうで終わりました。明後日から衆議院予算委員会基本的質疑が始まります。その一方で、民主の風を結成して、羽田孜内閣を裏切った、枝野幸男さん、前原誠司さんの自省も大きく求められる歴史法廷となる、第187回秋の臨時国会になります。

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【重大】やはり日米ガイドラインから「周辺事態」を削除し、地球の裏側まで集団的自衛権行使 毎日新聞報道

2014年10月01日 09時02分41秒 | 第189回通常国会2015年安保国会

 2014年10月1日(水)付毎日新聞は1面トップの御嶽山噴火被害者の救出情報のワキに隠れながらも、大変なスクープを報じました。

 goo ニュースは、毎日は共有できない仕様のようですので、要約すると、毎日は、

 ・日米防衛協力の指針(ガイドライン)」について、役割分担の一つである「周辺事態」を削除し、自衛隊が地理的制約を受けずに米軍への後方支援を可能にする改定を行う方針を固めた

 ・ 複数の政府関係者が明らかにした。

 ・朝鮮半島有事など地理的概念に制約されずに、自衛隊の活動範囲を広げるのが狙い。政府は周辺事態法を廃止し、対米支援新法を制定する検討も進めている。

 ・ だが、周辺の概念を外せば、時の政権の判断で対米支援が飛躍的に拡大しかねない。自衛隊幹部は「日本から遠く離れた国での対米支援で、もし命を落としたら妻や子供に説明がつくのか。自衛隊の活動に大義が確保される法制であってほしい」と語る。

 ・来週にもガイドラインの中間報告をまとめる

 ・武器弾薬の提供も解禁される見通し。

 などと報じています。

 日米同盟においては、旧安保条約の60年条約の改定を上回る重大な変質であり、戦後日本は極めて大きな歴史的局面を迎えました。

 日米同盟はもともと、「極東有事」を対象にしていましたが、17年前に橋本内閣が改定した1997現行ガイドラインから「周辺事態」に代わっています。現行ガイドラインは、わざわざ「周辺事態の概念は、地理的なものではなく、事態の性質に着目したものである」として、地理的制約を取り払っており「地球の裏側」も日米同盟の対象になっています。これを国内法制化した、周辺事態に際して我が国の平和および安全を確保するための措置に関する法律(平成11年=1999年=法律60号)では、周辺事態において日本自衛隊が米軍を支援するために「後方地域支援」「後方地域」などの言葉が初めて登場しています。

 一方、1997ガイドラインでは、「周辺事態における協力の対象となる機能および分野ならびに協力項目例(別表)」の中で、「米軍の活動に対する日本の支援」→「後方地域支援」→「補給」→「自衛隊施設および民間空港・港湾における米航空機・船舶に対する物資(武器・弾薬を除く。)および燃料・油脂・潤滑油の提供(略)」と書かれています。わざわざ「武器・弾薬を除く。」と明記されています。これは周辺事態法の別表第一の備考にも「一 物品の提供には、武器(弾薬を含む。)の提供を含まないとする。」と明記してあります。

 ですから、新しいガイドラインで「周辺事態」が削除され、「武器・弾薬を除く。」も削除されると、米軍が世界中で活動するために、我が国は、際限なく武器・弾薬を提供しなければならなくなる可能性が高まります。

 例えば、まさにこの時間、きわめて優秀な鍛え抜かれた陸上自衛隊の諸君が、CH47J(あるいはCh47JA)輸送ヘリで御嶽山で活動してくれていますが、場合によっては、川崎重工業の工場から、陸送して、本州・山口県の米軍岩国基地に駐留するKC130空中給油機に「提供」する事態もありえるでしょう。沖縄本島の普天間飛行場にいたKC130空中給油機15機は、すでに、本州・山口県の岩国基地に移っています。燃料タンクを外せば、「C130輸送機15機」です。無人偵察システムなど付加価値の高い防衛装備品を積み込んで、米軍が、友好国(例えばタイ・バンコク)を経由して、地球の裏側の、イラク、アフガニスタンに向かってもいいことになります。

 ですから、際限なく、武器弾薬の提供ができますから、年間1兆円を米軍に提供する事態もありえます。戦争は、泥沼化、長期化してくれた方がお金儲けできる人が、米国のみならず世界の政治の発言権を独占しています。

 1997年ガイドラインでは、非戦闘員退避行動について、日米が協力することになっていますが、これは、1999年周辺事態法では、自民党議員の発案で落ちています。これが、安倍晋三首相(自民党総裁)が記者会見(5月15日と7月1日)に持っていた赤ちゃんを抱くお母さんのパネルにほかなりません。なぜこれが、1997年ガイドラインから1999年周辺事態法の間に落ちたのかは長年謎でしたが、これは、米国側から「あれは無しにしてほしい」と中谷元・自民党衆議院議員に伝えてきたから、という説が有力になっています。つまり、アメリカは担当者の力が強いので、担当者が代われば意見も変わることがありうるのです。

 実際に、日米同盟の当事者を経験した、岡田克也さんは、週刊金曜日2014年6月13日(通巻995)号の29ページで、私(宮崎信行)のインタビューに答えるなかで、「外相時代に、米国から言われたことを一度もありません。日本がやると言えば、米国はどうぞ、どうぞと言うでしょうが」と断言し、 外相時代(2009年9月16日から翌年9月17日までの1年2日間)に、アメリカ政府関係者から集団的自衛権の行使を求められたことは一度もないと断言しています。

 ですから、官房副長官として、9・11テロによるアフガニスタン侵攻の特措法を担当した安倍さんが、そのときの経験から、まず憲法改正をしようとしたものの、ガイドラインの再改定があるので、それを踏まえて、防衛装備移転3原則の閣議決定、第2次安保法制懇の報告書受領、国の存立を全うし国民を守るための安全保障法制の整備についての閣議決定、2014年再改定ガイドラインの締結、そして、来年5月とみられる、安全保障法制の再整備の関連法案提出というスケジュール感を持っていることは間違いないと考えられます。そしてそれは、1996年橋本・モンデール会談からは始まった「普天間基地の使用停止・返還」という甘い飴との抱き合わせでもあります。

 そして、なによりも、武器弾薬にとどまらず、自衛官が地球の裏側の戦争に送り込まれることになります。

 なにがなんでも阻止せねばなりません。

 平和主義、民主日本の重大局面を迎えています。

 当ブログ内関連エントリー

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防衛省、防衛審議官(防審)が2014年9月17日から訪米し「米国国防関係者と意見交換」と発表



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安倍首相「KC130輸送機の岩国移転」を強調、やはり、ガイドラインで「武器弾薬提供」解禁の布石か

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(2014年9月2日付

◎海江田内閣での日米ガイドラインやり直し「マニフェストに入れるのは難しい」集団的自衛権【追記有】

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(2014年8月25日付

岸田外相留任へ、の報道、2014年9月20日前後のガイドライン中間報告で「武器弾薬の提供」解禁布石か

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(2014年8月20日付

◎米軍に「武器と弾薬」日米同盟ガイドライン再改定、自公閣議決定道開く 第188通常国会で周辺事態法改正


(2014年7月15日付

集団的自衛権を参議院で初審議「2回目の解釈変更」「集団的自衛権に自国と他国なし」

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(2014年7月14日付

◎運命の人岡田克也、「日米同盟毀損や石油高騰で集団的自衛権」、最高裁「沖縄密約文書不存在」確定

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(2014年2月22日付

岡田克也さん「閣議決定した後の国会論戦、議会人として納得できない」ーー「集団的自衛権特別委」も念頭か





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