【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

これは感動した 大串博志さん、情報公開法を使った確定申告書提出を要求 元税務署長 衆・安保委

2014年10月17日 13時59分44秒 | 第187臨時国会2014年地方創生国会

【衆議院安全保障委員会 2014年10月17日(金)】

 衆議院では、財務金融、経済産業、環境、文部科学の各常任委員会で大臣所信に対する一般質疑がありました。それを終えた、内閣委は人事院勧告について、厚生労働委では危険ドラッグ(今後議員立法化の兆し)の国政調査が行われました。

 そして、安保委では、前回欠席戦術の後に、立て直した(設定しなおした)、江渡聡徳防衛大臣の所信に対する一般質疑が行われました。

 前回空回しされてしまった民主党の大串博志さんが登場し、江渡大臣の政治資金管理団体「聡友会」から江渡さん本人への寄付金が、私設秘書だった会計責任者(定年退職)への人件費に入閣直前に訂正されたことを追及しました。

 大串さんは冒頭、「御嶽山の捜索にあたったすべての人に感謝したい」としたうえで、「前回の運営に抗議したい」と北村誠吾委員長に真摯な運営を求めました。

 大串さんは、江渡大臣の政治資金管理団体の収支報告書の不明朗な点をついたうえで、すべての説明をまとめ上げて、

 「情報公開法と個人情報保護法にもとづき、会計責任者が、みずからの平成24年分の確定申告書を開示請求してほしい。プライベートな部分は全部黒塗りでかまわない。ただ一点だけ。大臣の説明なら、収入は560万8254円(以上)と書いてあるはずだから、そこだけ示してほしい

 江渡大臣は「プライバシーの件があるので、おひかえいただきたい」と拒みました。

 大串さんは、大蔵省出身で、元諏訪税務署長。

 税務署長など国税庁職員出身者が、国会で、情報公開法によって確定申告書を開示して国会に提出するよう迫ったのは、憲政史上初めてのことだと考えられます。

 「この国会で当委員会は、自衛隊の諸君・・・いや自衛隊のみなさんの給与の法案や、調達の法案もある。大臣の資質に問題があれば、私たちとしてはどう受け止めていいのか分からない」と語りました。 

 それでも、逃げ一辺倒の答弁を繰り返す江渡大臣の答弁中に、大串さんはすさまじい野次を浴びせ続けて、私はとても、驚きました。

 大串さんに、こういう姿があったのか、と驚きました。あたかも「岡田克也状態」という風情でした。

 そのすさまじさは、何度も引用しますが、マックス・ウェーバーの「職業としての政治」の最後の部分、「政治とは、情熱と判断力の2つを駆使しながら、堅い板に力をこめてじわじわっと穴をくり貫いていく作業である」「これをなしうる人は指導者でなければならない。いや指導者であるだけでなく、はなはだ素朴な意味での英雄でなければならない」(岩波文庫版105ページ)という言葉を思い出しました。

 かなり後々まで、忘れられないシーンを見た思いがします。


地方創生の本気を問われる自民党 定足数不足で委員会中断 衆・地方創生に関する特別委員会

2014年10月17日 12時45分43秒 | 第187臨時国会2014年地方創生国会

【衆議院地方創生特別委員会 2014年10月17日(金)】

 まち・ひと・しごと創生法案(187閣法1号)


 地域再生法改正案(2号)

 の法案審査が進みました。

 地方創生国会と安倍首相が名付けた第187回臨時国会ですが、衆議院での地方創生法案の委員会審議2日目の午前中にして、自民党の本気を問われる場面がありました。

 民主党の渡辺周野党筆頭理事(ネクスト総務大臣)が、鳩山邦夫委員長に指摘。

 上の画像のように、与野党の理事らが指折り数えた結果、定足数に不足していることが分かり、午前10時31分から39分までの8分間、委員会が中断しました。

 定足数は、国会法49条で、「その委員の半数以上」とされています。採決の予定の無い質疑では定足数不足のまあ審議が続いてたり、憲法学の大家が審査中の定足数確保は必ずしも必要ないという学説を唱えていますが、安倍晋三首相(自民党総裁)が肝いりでつくった看板だけに、自民党政府外議員の本気度が問われます。

 いろいろと評判が悪かった、民主党政権時代ですが、与党の政府外議員の委員会出席率は民主党の方が自民党より圧倒的に高く、自民党政務調査会部会による、「事前審査制」による国会空洞化、国会軽視が自民党政権ではかねてから指摘されています。