【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

とても残念な小渕優子経済産業大臣の辞任 第2次安倍第1次改造内閣【追記有】

2014年10月20日 10時17分10秒 | 第187臨時国会2014年地方創生国会

[写真]辞任記者会見にのぞむ、小渕優子経済産業大臣=ニコニコ生放送からスクリーンショット。

【追記 2014年10月20日(月)午後7時30分】

 小渕優子経済産業大臣と、松島みどり法相の2人の閣僚が辞任しました。先月3日に改造の後、政治とカネによる大臣の資質を問われ自ら辞任。2012年12月の政権交代後初めての閣僚辞任となりました。

 後任の法相には、上川陽子衆議院厚生労働委員長、経産相には宮澤洋一さんとなりました。上川さんは公文書管理担当大臣経験者で、政府外議員としても改正公文書管理法の与野党修正をしました。その上川さんが特定秘密保護法施行担当大臣となりました。

 2人の女性衆院議員の辞任後を、女性男性1人ずつ、衆参1人ずつ、閣僚経験者と初入閣1人ずつ、非世襲と世襲1人ずつ、となっており、自民党らしい人事のうまさを感じます。

 ただ、上川さんは常任委員長なので、後継は本会議で選出する必要があり、労働者派遣法改正案の可決はさらに時間がかかることになりました。また、補充人事とはいえ、厚労族の宮沢さんが経産相、商工族の塩崎さんが厚労相ということで、ぎくしゃくした布陣にも思えます。

 きょうはおそらく皇后陛下の誕生日ということで、新閣僚の認証式はあすとなります。この間、法相の臨時代理に、山谷えり子国家公安委員長が就任しており、1夜だけとは、検察と警察のトップが同一閣僚ということになりました。少し余裕がなくなってきたように感じます。こういうときに、官僚主導政治が起きやすく、最近では官僚以外の民間人の側近政治も強化しているように感じます。首相も、政党も、しっかりとしたグランドデザインを描いてほしいところです。

<衆議院懲罰委員会 2014年10月20日(月)>

 大臣辞任にもかかわらず、定刻通り開かれ、高木義明委員長(民主党)は補欠の理事に、民主党の川端達夫さんと維新の党の松野頼久さんを選びました。

<衆議院地方創生に関する特別委員会 同日>

 小渕大臣への出席要求もあったため、開会されませんでした。与党は今週の採決を目指していたとの報道がありますが、遅れることになりそうです。

【追記おわり】

 小渕優子経済産業大臣は、2014年10月20日(月)の朝8時台に官邸を訪れ、安倍晋三首相に辞表を出しました。午前9時41分から、経済産業省で記者会見を開きました。
 「暦年の、小渕優子後援会の収支報告書の記載には疑念があると言わざるをません」 「女性の輝く社会の実現に何一つ貢献できなかったことをおわびしたい」と語りました。

 午前9時からの、衆議院地方創生に関する特別委員会で、出席要求が出ており、今週採決とみられた同委員会の開催は遅れています。

 皇后陛下(旧姓名正田美智子さん)がきょう80歳。小渕優子さんは40歳。つくづく、輝く女性はご苦労だな。

 私としては、同学年(1973年4月~翌年3月生まれ)の中で、当選5回と群を抜いて総理レースを独走していた小渕優子さんの大臣辞任は残念です。これに続く、通算3期当選の石川知裕前衆議院議員(党に迷惑をかけないため2010年民主党を離党)も3年弱、公民権停止で参政権がない状態となっており、田中角栄系の優等生は、こういうことになるのかな。不条理を飲み込むのは得意ですが、残念です。

 年1回の後援会女性部の1000人規模の明治座での観劇会(1人あたり会費1万2000円)の事業について、明治座への支出と、後援会の収入の帳尻があっていないことが問題視されていました。

 そして、株式会社明治座。戦後になってからの中興の祖である、三田政吉(みた・まさきちさん、通称はみた・せいきちさん)は8年前に他界されるまで東京興行界最大の顔役でした。三田政吉さんは、「東京都各種団体協議会会長」でした。これは事実上自民党東京都連の最大の後援会長ということになります。二大政党の東京の政治家で、その名を知らなければ、もぐりでしょう。国では勲2等、東京都では名誉都民。例えば、参議院東京選挙区の自民党公認候補のポスターならば、私たちも応援しますの4人は、(1)内閣総理大臣・自民党総裁(2)自民党東京都連会長・衆議院議員(3)東京都知事(4)東京各種団体協議会会長三田政吉ーーと4人が顔をそろえていました。それほどの人物が戦後復興し、経営してきたのが明治座です。

 実は、私が1992年~1993年の政治改革で、理念ではなく、心情面で自民党に不信感を強めたのは、党本部以前に、東京都連での「三田政吉という存在」、正確にいえば「三田政吉をとりまく人々の存在」だったので。高級車で登場する三田会長を、「三田先生、三田先生」と取り囲んだ、パンチパーマのあのお兄さんたちはいったい何者なのか。直近の自民党東京都連の政治資金収支報告書を読むと、「ちょうちん代 10万円」が明治座に出ています。その風流な費目の意味は分かりませんが、自民党は変わっていないと考えます。

 それでいて、公募新人だった松島みどり大臣は桁は2つ違う、うちわ代。

 問われているのは、この世襲議員をめぐる「ちょうちん代」と、非世襲から大臣になった議員の「うちわ代」。自民党の中に同居するこの相反していて桁が2つ違う2つの費目。これをしっかり説明しないと、「滅びるね」という「秋の空」。

 漱石は、「明治座の所感を虚子に問われて」(漱石全集第16巻収録)の末尾に、次のように書いています。

 現代仮名遣いに、私が直させていただき、最後に、引用させていただきます。

 「最後に一言するが、自分は午後の1時から、夜の11時まで明治座の中で暮らした。時間から言うと、大変なものである。これは日本の芝居が安すぎるのか、または見物が欲張りすぎる証拠である。実を言うと、自分はもっと早く済む方が便利であった。ただ、まだあるものを途中で出るのはもったいないから、消極的に欲張って仕舞までいたのである。自分と同感の人もだいぶあるだろうと思う。しかし、見物が積極的に、この長時間に比例するほど欲張るがゆえ、役者もやむを得ず働くとすれば、役者ははなはだ気の毒である。同盟して、もっと見物賃を上げるが好い。牛肉でもネギでも、外の諸式はもっとぐっと高くなりつつある」

首相、小渕経産相の辞表を受理 臨時代理に高市総務相(朝日新聞) - goo ニュース