【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

日豪EPA発効が確定 衆委員会で今国会初可決 「派遣」「給与」審議入りも、自民党緩みまくり

2014年10月29日 17時30分08秒 | 第187臨時国会2014年地方創生国会

●日豪EPAが今国会の衆議院委員会可決第1号

【衆議院外務委員会 平成26年2014年10月29日(水)】
【衆議院財務金融委員会 同】
【衆議院農林水産委員会 同】

 日豪EPA(日本とオーストラリアの経済連携協定)条約の承認(187条約1号)の件が外務委で、国内実施法案(関税、トレーサビリティー)(187閣法11号・12号)が財金委で可決しました。なお、仮に31日(金)の本会議で可決し、参議院に送付した場合、日本国憲法60条の「条約の衆議院優先30日ルール」にもとづき、会期内の条約は承認されます。このため、日豪EPAの発効はきょうで確実になりました。

 衆・財金委では、午後11時50分ごろ、自民党政府外議員の退席で、定足数割れがおき、審議が中断するというしまらない格好となりました。

●自民党、定足数割れ、政府参考人登録していない農水省官房審議官が答弁、勘違い野次で地方創生特別委も遅れ

 これに先立ち、衆議院農林水産委員会の申し出で、連合審査会が開かれました。ここで、共産党の笠井亮さんの質疑で、政府参考人登録していない農水省官房審議官が答弁したことに反発。午後1時再開の衆・外務委員会で、西川公也農相が出席し、「午前中の連合審査会で省に不手際があったことをおわびします」と語りました。土屋品子外務委員長も「議事運営に不手際がありおわびします」と語りました。 

 この後、西川農相は衆・地方創生に関する特別委員会に移動。15分遅れで再開し、維新の党の小熊慎司さんの質問が立ったとたんに、自民党政府外議員から遅れたことについて、勘違い野次が飛びました。小熊さんが質疑を止めると、鳩山邦夫委員長が「この委員会が遅れたのは、農相が外務委員会に行っていたからです」とうんざりした表情で語りました。

[画像]自民党政府外議員の勘違い野次に、うんざりした表情の、自民党の新藤義孝理事、鳩山邦夫地方創生特別委員長、抗議する民主党の渡辺周理事。

【衆議院厚生労働委員会 同日】

 連合が午前9時から国会前で750名以上が座り込み行動(8年ぶり)をする中、政府はぬけぬけと、労働者派遣法改悪法案(187閣法3号)の趣旨説明をしました。

 なお、エボラ出血熱などで知事が検査を受けさせ、検体を提出させる命令権を持つ、感染症予防法改正案(187閣法21号)は参議院先議となっています。政府が(おそらく)自民党国対と相談のうえ、参議院に提出しました。

【衆議院内閣委員会 同日】

 人事院勧告を完全実施する給与法案(国家公務員一般職、同特別職、退職手当)(187閣法6号、7号、8号)が公務員制度改革相の有村治子さんから趣旨説明されました。人勧による給与アップは実に7年ぶりで、だいたい、月額1000円ぐらい引き上がります。いまどき月1000円は大きいです。なお、裁判官(187閣法9号)と検察官(187閣法10号)は法務委で上川法相の答弁で近く審議入りする見通し。20万人以上に関係する自衛隊給与法案(187閣法13号)は、衆・安全保障委員会で審議されますが、江渡大臣の政治とカネの問題で立ち往生しています。外務省(在外公館)は今回はじめから法案が提出されていません。

 国会職員・国会公設秘書の法案は、これから、衆・議運委員会でつくられ、会期内に成立します。

【衆議院法務委員会 同日】

 もっとも長く積み残しになっている閣法である、「テロ資金提供処罰法改正案」(183閣法30号)が今国会で初めて法案審査されました。民主党の横路孝弘さんらが質問しました。なお、国連決議にもとづくテロリスト資産凍結法案(187閣法16号)はこれとは別の法律案ですが、混同があるようです。

【衆議院国土交通委員会 同日】

 土砂災害防止法改正案(187閣法19号)が審査され、野党からもっと厳しくすべし、との意見が出ました。

【参議院消費者問題に関する特別委員会 同日】

 有村治子・消費者相の所信を聞きました。大企業に課徴金を課せる景品表示法改正法案(187閣法25号)がいつ衆院から回ってきてもいいように店開きされました。消費者庁がんばってください。

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参議院が先に2法案可決の異例の国会に「サイバーセキュリティー基本法案」と「有期雇用特別措置法案」

2014年10月29日 10時24分57秒 | 第187臨時国会2014年地方創生国会

【画像】第187秋の臨時国会で、参院野党ながら、トップをきって、初の委員長報告をする、大島九州男参議院内閣委員長=参議院インターネット審議中継からスクリーンショット。

【参議院本会議 2014年10月29日(水)】

 サイバーセキュリティー基本法案(186衆法35号)有期雇用労働の5年から10年への延長の特別措置法案(186閣法48号)を可決しました。



サイバーセキュリティー基本法案は、投票総数230、賛成153、反対77の賛成多数で可決しました。政府に本部ができ、自治体にも「義務」が課せられます。

 続いて、有期雇用の法案が、丸川珠代・厚労委員長から報告されました。





採決の結果、投票総数230、賛成153、反対77の賛成多数で可決しました。民主党は反対しました。有期雇用の無期転換の労働契約法特例を延長することを問題視しています。

●国会法第10章の「両院の意思の同一会期一致の原則」にもとづき、衆議院へ送付

 ともに、先の通常国会で衆院で可決し、参院に送られましたが、前者は「独法」「原子力委員会」法案、後者は「医療・介護総合」「過労死」「医療機器」法案などを優先したため、参議院で時間切れとなり、閉会中審査となり、今国会で自動的に参議院先議となっていました。一つの会期で、参議院が先に法案を可決するのは異例。国会法第10章「両議院関係」に定められた「両院の意思の同一会期一致の原則」にもとづき、再び衆議院に送られ、審査されます。ただ、両法案は、先の通常国会で衆院過半数で可決しており、採決されれば成立は確実。とくに10月中に参院での意思が示されたことから、仮に残り1か月の会期内に衆議院の意思が示されない日程となると、日本国憲法第4章「国会」を壊しかねない事態となりあす。現実的には、衆議院与党内にも内閣委の「カジノ施設」、厚労委の「派遣」法案をやりたくなく、参院送付法案を優先したい議員もいるとみられます。

●サイバーセキュリティー基本法案は安全保障法制の再整備にも関係

 サイバーセキュリティー基本法案は、附則3条に「国民保護法(平成13年2003年)のおける緊急事態での法制上の所要の措置の検討」が盛り込まれており、来年の安全保障法制の再整備にも影響を与えます。

●有期雇用労働者特別措置法案は、労働契約法の特例であり、最小限にすべし

 有期雇用の特別措置時限立法は、来年4月1日施行で、大学教員、研究所研究員でさっそく有期雇用延長の労働契約につながる人もいるようです。とはいえいかなる理由でも、労働契約のパッケージ法である、労働契約法(平成19年2007年)の特例は認めるべきではなく、労働法制の全体像の再整備にあたり、野党・民主党が労働者の党として一貫した姿勢を見せ続ける、議事録に残すことが肝要です。

●秋の永田町人事異動、委員長報告は異例の参院の野党

 個人的には、秋の永田町人事異動で、参議院内閣委員長になった、日大二高(日本大学第二高等学校)の先輩である、大島九州男さんが、野党ながら、イの一番の委員長報告となったことから、つくづく、日大二高は偏差値なんかで測れない、イチバンの学校だと、再認識した秋となりました。こういうの、うれしいよね。一方、丸川珠代さんも、岡田克也さんと高校同窓生の唯一の人なので、やはり卒のなさを感じます。