【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

「公文書管理法は上川陽子法相が生みの親だ」と特定秘密法施行直前に民主党と共感広がる 

2014年10月24日 15時50分46秒 | 第187臨時国会2014年地方創生国会

【衆・法務委員会 2014年10月24日(金)】
【衆・内閣委員会 同日】

 法相(兼)特定秘密保護法施行担当大臣の上川陽子さんに対する一般質疑がありました。

 特定秘密保護法の施行日が2014年12月10日に迫ってきています。いかんせん、今の院の構成では覆すことはゼッタイ不可能であり、運用面を整えるしかありません。

 朝8時45分から内閣委で民主党議員が上川さんに質問。時間差で始まった法務委では、与党議員が副大臣に質問しながら上川さんを待ち、野党議員が質問。昼には内閣委に戻り、再び午後は法務委というハードスケジュールで、昼休みは5分間だったようです。

 朝の内閣委で、民主党の後藤祐一さんは「特定秘密保護法に関して、松島前大臣に(9月3日の就任から10月20日の辞任まで)何時間、事務方はレクチャーしたのか」と問い、上川大臣自らが「30時間だ」と答弁しました。後藤さんは「公文書管理法は上川大臣が生みの親のような存在だ」と語りました。

 生活の党の畑浩治さんに対して、「私自身、公文書管理法をつくった立場ですが、歴史という時間軸をしっかり持って、(公文書管理法の)理念にのっとって(特定秘密保護法を)運用していきたい」と語りました。畑さんは、「(公文書管理法にもとづく)歴史的文書であっても、(特定秘密保護法にもとづき)首相が廃棄できてしまう」として、運用基準の改善を強く求めました。

 福田内閣で、福田首相肝いりの公文書管理担当大臣になり、政府外議員として、民主党議員とともに、公文書管理法の成立に尽力した上川さん。公文書管理法は情報公開法と車の両輪であることから、民主党カラーが強い法律だといえるでしょう。

 法務委での一般質疑では、民主党の階猛さんが、松島みどり前大臣がまっさきにぶち上げた「刑法で強姦罪の刑が強盗罪の刑よりも比較で軽いこと」に関する問題では、上川さんは「私もそのように感じています」として、検討チームの体制を維持することを明言。前大臣を東京地検特捜部に告発していた階さんは、「(答弁する姿勢の印象として)大臣は私に対して、警戒心を持ちすぎています。 私はそんなに怖くありません」と語りました。

 選択的夫婦別姓(別氏)について、法務委で維新の党の丸山穂高さんに対して、「私は夫の氏です。さきほどご質問いただいた(民主党の)郡和子委員も夫の氏です。先生はご結婚なさっておられますか」と逆質問し、丸山さんが「していません」と答えると、上川さんは「それは失礼しました。しかし、先生もご結婚されるときは、その選択を突き付けられるわけです」と答弁しました。

  なお、矯正施設につとめる医師の待遇改善が必要だとの指摘について、法務省の事務方は、「法律案を国会に出したい」と語り、上川大臣が「法制化、予算化が必要だ」と後押ししました。法務省初の女性局長の岡村和美・人権擁護局長も答弁しました。

【衆・経済産業委 同日】

 宮沢洋一経産相が所信を述べました。衆参ともふたたび一般質疑が来週行われるとみられます。

【衆・国土交通委 同日】
【衆・災害対策特別委 同日】

 きのうの本会議で審議入りした「土砂災害防止法改正案」(187閣法19号)が国交委で、太田国交相から、「災害対策基本法改正案」(187閣法18号)が災害特で山谷防災相から趣旨説明されました。

【衆・環境委 同日】

 東京電力福島第一原子力発電所事故にともなう放射性廃棄物の中間貯蔵施設を福島県内に建設するとともに、30年以内の県外の最終処分場の設置を義務付ける「日本環境安全事業株式会社法を改正して中間貯蔵・環境安全事業株式会社にする法案」(187閣法5号が環境大臣の望月義夫さんから趣旨説明されました。来週28日(火)午前9時から参考人質疑。

【官報 きょう付け】

 黒田東彦総裁ひきいる日本銀行(日銀)が異次元の金融緩和をしていることから、昨日の財務省理財局の国債(国庫短期証券)の入札で、はじめてマイナス金利が発生しました。国庫に限れば、ハッピーな話です。


平成26年10月24日付(号外 第236号)


 

  上のように、償還時に、九十九円五十銭(99円50銭)で良い場合もありますので、国庫にとってはハッピーな話。ただし、落札した銀行は、日銀にマイナス金利で買ってもらうものとみられ、日銀券の1枚当たりの価値は薄まることになり、悪貨が良貨を駆逐する、という近未来が待ち構えているかもしれません。マネー資本主義の大きな新しい波に、政府・日銀が来年あたり体当たりしていくこともありうる状態になってきました。



 米韓防衛相は、朝鮮半島有事における戦時作戦統制権を、アメリカ軍(在韓米軍、国連軍)から韓国軍に返還する時期を2015年12月から2020年代半ばに延期することで正式合意しました。アメリカのリバランス政策の見直しともいえ、日米ガイドラインの再改定を、引き延ばすことがありうる情勢になったように感じられます。



 来週火曜日には、労働者派遣法改悪法案(187閣法3号)がついに衆議院本会議で審議され始めることとなり、安倍自公政権にとっては、「引き返せない道、Point of No Return」に突入していく歴史的局面になります。

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[お知らせおわり] 


日豪EPA条約の承認の件と国内実施法案が審議入り 衆委員会、条約は与党のみ質問、今国会成立は不透明

2014年10月24日 11時21分03秒 | 第187臨時国会2014年地方創生国会

[画像]散会直後の衆議院外務委員会の、長島昭久野党筆頭理事(民主党)、土屋品子委員長(自民党)、三ツ矢憲生・与党筆頭理事(同)、2014年10月24日(金)、衆議院インターネット審議中継からスクリーンショット。

 日豪EPA、日本とオーストラリアの経済連携協定条約が国会で審議入りしました。

 まず、衆議院外務委員会で、日豪EPA協定の締結について国会の承認を求める件(187条約1号)が岸田外相から趣旨説明されました。そして、自民党の伊東良孝さん(北海道)、佐藤茂樹さん(公明党)が質問しました。与党の質問だけで終わり、次回は未定(公報でおしらせ)のまま、散会しました。

 時を前後して、衆議院財務金融委員会で、日豪EPA国内実施のための2法案(関税定率法改正、トレーサビリティー)、議案番号187閣法11号・12号が麻生太郎財務相から趣旨説明され、質疑はなく散会しました。

 条約の情報は、次の外務省ウェブサイトで→http://www.mofa.go.jp/mofaj/ila/et/page24_000344.html

 国内実施法案の情報は次の財務省ウェブサイトで→http://www.mof.go.jp/about_mof/bills/187diet/index.htm

 条約の質疑のなかで、公明党の佐藤茂樹・安全保障政策責任者は、 「(閣議決定した)防衛装備移転3原則では、(1)平和(2)わが国の安全保障に資するーーの2つの条件がついている。日豪防衛相会談で合意した、日本からオーストラリアへの潜水艦技術の移転はどうなるのか、防衛省に聞きたい」と聞くと、公明党の石川博崇さんが防衛省を代表して、大臣政務官として答弁。「日豪は戦略的パートナーであり、訓練、装備などで連携している。先生ご指摘のとおり、我が国の安全保障に十分配慮していきたい」と答弁。このような問答をして既成事実化したいのでしょうが、「平和の党」の看板を降ろした公明党の変質、異質ぶりが際立ちました。

 それはさておき、突然に思える締結から速やかに国会審議まで来ましたが、ただしこの国会の残り会期は30数日となっており、参議院での承認なしに条約が自動承認される憲法の例外規定の適用は難しい日程感となっています。一方、江渡聡徳防衛大臣の政治団体人件費問題で、人事院勧告実施の自衛隊職員給与法案の審議がずれ込んでいることから、参議院外交防衛委員会での審議はぎりぎりの状態となっており、自民党・外務省の本気が問われる国会運営となりそうです。


維新の党・清水鴻一郎さんが衆・科技イノベーション特別委員長に就任 民主党との院内共闘の先駆者

2014年10月24日 10時46分47秒 | 第187臨時国会2014年地方創生国会

[画像]清水鴻一郎・衆議院科学技術・イノベーション特別委員長、2014年10月24日(金)、衆議院インターネット審議中継からスクリーンショット。

 衆議院科学技術・イノベーション特別委員会は、「辞任←法相←厚労委員長←この委員会の委員長」という玉突き人事によって委員長不在となり、

 新しい委員長に 

 維新の党の清水鴻一郎さんを選びました。

 清水委員長は、「はからずも委員長になりました。浅学菲才ですが、どうぞよろしくお願いします」と語りました。

 当選2期での特別委員長就任は異例。これで常任委員長ポストは民主党1、維新1、特別委員長ポストも民主党1、維新1と分け合う格好となりました。各委員会でも民主党理事と維新理事との連携が進んでいます。

 同委は、第45期衆議院で野党だった公明党の遠藤乙彦・議運委理事(議員としては引退)の働きかけにより、与党・民主党も同意して設けられた委員会です。ノーベル賞受賞者を交えた、円卓方式の委員同士の自由討議など国会の新しい地平を拓いています。野党向きの委員長ポストと言えるかもしれません。

 清水さんは、衆議院厚生労働委員会でも、民主党との連携プレーを先駆けてきました。

 先の通常国会の発言でも、今、朝からもいろいろな委員が、あるいは民主党の玉木委員も質問になられました、JEEDというんですか、いわゆるこの問題については、大変大きな問題だろうと私も思います。ただ、私が新しい何かを知っているというわけではありませんし、我々は、一般の人は、新聞報道を見ながら、どうなんだろうというふうに思って心配をし、また、厚生労働省は大丈夫なのかなというふうに心配をしているわけであります」(3月14日)、

そういうことが、それはもう十二日の玉木委員の質疑でも明らかになったところです」(3月26日)。

先ほども玉木議員からもありましたけれども、本来早急にやらなければいけない事業がここまで来ている。大事なお金、百何億をつぎ込む仕事でありますから、実際、今からやって意味があるのかどうかも含めて、現状はどうなっているのか」(5月9日)

 と、民主党JEED追及で、後フォローをつとめました。 

 このような厚労委での、民主党、維新の党、みんなの党の「3本の矢」が功を奏して、「アベノミクス3本の矢」の化けの皮がはがれた安倍自民党への猛攻撃がやっと始まりました。