【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

予算委員会スタート、安倍首相が予算案の提出権を内閣が独占する憲法を知らないことが明らかに

2016年01月08日 17時41分19秒 | 第190回通常国会(2016年前半)

●衆参で北朝鮮「自称・水爆」核実験抗議決議

【平成28年2016年1月8日(金)参議院本会議】

 「北朝鮮による4回目の核実験に対する非難決議(案)」が松山政司(まつやままさじ)新・議院運営委員長(自民党、福岡県選挙区) から趣旨説明されました。


[画像]松山政司・参議院議院運営委員長、2016年1月8日、参議院インターネット審議中継からスクリーンショット

 「たびたびの国連決議にもとづく、働きかけにもかかわらず、核実験をしたのはゆるしがたい」としました。

 採決の結果、投票総数208、賛成208、反対0の全会一致で採択しました。

 決議を受けた安倍首相は「我が国は(2016年1月から2017年12月まで)国連非常任理事国として、国連安保理決議などの即時かつ完全な履行を求める」と発言しました。 

 これで散会しました。

【同日 衆議院本会議】

 午後5時10分という金曜日にしては異例の遅い時刻に設定されました。

 「北朝鮮による4回目の核実験に対する抗議決議(案)」が河村建夫議院運営委員長から趣旨弁明されました。

 発声による採決で全会一致で可決し、散会しました。

●2016予算委員会がスタート

【同日 衆議院予算委員会】

 補正予算案(平成27年度第1次補正予算案)の基本的質疑1日目。

 昨年10月7日の第3次安倍第1次改造内閣発足後、初めての総括質疑(全閣僚出席)となりました。

 同時に、委員長・理事・委員の配置換え後初めてであり、参院選イヤー2016年はじめてとなります。

●安倍首相が、政府が予算案の編成権と提出権を独占させた憲法を知らないことが明らかになる。

 自民党の平沢勝栄さんに対する答弁で、「首相が野党にも対案を出してほしい」と言ったことを、民維クの階猛さんが注目。

 日本国憲法第73条は「内閣は、予算を作成して国会に提出する」第86条は「内閣は毎会計年度の予算を作成し、国会に提出して、その審議を受け議決を経なければならない」とあります。

 階さんが「野党も予算案を出せすのか」と問うと、安倍首相は「すべての国会議員に認められているわけではありません。要件があります」と答弁。

 この答弁は、予算を伴う議員立法の提出には、衆議院では(発議者と賛同者あわせて)21名以上とした国会法などのルールと混同したのは確実。

 この後、答弁の訂正をうながす階猛さんに対して安倍首相は「我々も野党のときは出せなかった」「予算は内閣が出すのは当たり前だから、予算関連法案のことだと思った」との答弁を繰り返し、訂正しませんでした。

 ただ、安倍さんを擁護するわけではありませんが、このことはあまり知られていません。おそらく閣僚経験者の過半数が知らないのが現状でしょう。

●対案ではないが、民維クは組み替え動議提出を早くも表明 

 3・5兆円の補正予算案ですが、おそらく来週水曜日ごろには採決されてしまいます。そこで、民主党はトップバッターの枝野幸男さんの質問が終わってすぐ、岡田克也代表が定例の記者会見で組み替え動議の提出を明言。0・3兆円の低年金高齢者への給付金を削除する内容で、政府自民党が応じなければ、採決で反対すると思われます。

●民維クは経済統計の読み方から2016年予算委員会をスタート

 きょうの審議では、民維クは初めの3人が経済の話だけに集中しました。枝野幸男さんが、日銀総裁、総務大臣、厚生労働大臣に、消費者物価指数、有効求人倍率について統計の意味合いからていねいにただしました。柚木さんや山井さんが追及してきた実質賃金が再び下がりだしたことも問いました。山井和則さんはブラック企業の過労自殺で、1億円を超える賠償金がワタミと渡辺美樹自民党参議院議員個人の双方に確定したことについて、安倍さんに自民党が公認したことの良心の呵責を問いました。柿沢未途さんは「生活が苦しいと答えた人の割合が上がっている」と指摘。大串博志さんは「集団的自衛権の安全保障法制を急いで成立させたのに、日米・日豪ACSA(両軍間の物品役務の相互融通条約)の改定の承認を国会に提出しない見通しはなぜか」を問いました。

 これに先立つ、全体のトップバッターだった、新藤義孝前総務大臣は、質疑のなかで、「新型交付金は初めから補助率は2分の1だった。地方自治体の首長さんでも「最近下がりました」という人がいるが、はじめから2分の1で、これは地方の自主性をもってほしいのと、地域金融を活用してほしいからだ」と発言しました。これは3年前、新藤新総務大臣が「元気交付金をつくる」と補正予算編成中に語ったことでできた、地域の元気づくり交付金のことで、民主党のような「地方一括交付金(地域自主戦略交付金)」のように補助率が100%と勘違いした首長がいるという認識だと思います。そして、残り半分は地域金融を活用してほしいとのことですが、その残債を地方財政にどのようにデータとして反映しようというのでしょうか。私はこれはとても遺憾に思います。

 次回は3連休明けの12日(火)の午前8時55分から基本的質疑2日目を行うことにして、散会しました。 

【同日 参議院議院運営委員会】 

 本会議の段取りなど。

【同日 衆議院議院運営委員会】 

 決議など本会議の段取りを決めました。

このエントリー記事の本文は以上です。

(C)宮崎信行 Nobuyuki Miyazaki 
(http://miyazakinobuyuki.net/)

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