【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

【11/11】「種苗法改正案」が初めて委員会で審議入りあすも質疑、院外での反対運動不発で野党「自家培養」修正で採決容認のかまえ、ワクチンも委員会審議入り

2020年11月11日 17時00分57秒 | 第203回臨時国会(2020年10月下旬)菅首相初答弁
[写真]農林水産省、5年前の2015年、撮影。

 先の通常国会で話題になった「検察庁法改正案」は提出されませんが、「種苗法改正案」(201閣法37号)は継続して、本会議は省略されて、さきほど農林水産委員会で審議入りしました。委員会審議入り第1号となりました。

【衆議院農林水産委員会 令和2年2020年11月11日(水)】

 野上農相の所信的あいさつに対する一般質疑がありました。

 この後、「種苗法改正案」(201閣法37号)趣旨説明がありました。参考人質疑を開くことで合意。あす(11/12)木曜日午前9時からさっそく審議されます。

 この法案は種苗法の改正条項だけであり、束ね法案ではありません。しかし、登録品種の海外流出防止の規定と、国内での自家増殖の規定という、種苗メーカーの上から目線の改正で、国内農家には打撃になりかねません。登録品種制度は今もあり、先日の官報では、タキイ種苗、サカタのタネ、カネコ種苗などの、「なんとか太郎」だとか「t-103」だとかいうような名前の品種が、ビジネスにならなかったのか会社側の申し出で登録を廃止するとした告示が官報でされました。

 日本農業を政府が主導して海外に売り渡す法案だとの主張が院外でされています。野党内で絶対反対の意見への配慮を主張する声もありますが、この5か月間、韓国による日本の果樹種苗の侵害が相次ぎ、大臣が記者会見で法案成立の必要性を説くことが複数回ありました。農水省と結託した針小棒大な報道だったのかもしれませんが、もともとの情報そのものが捏造だという陰謀論はさすがにありません。種苗の自家増殖は、登録品種の権利者の例外から外す規定には野党内で反発が強く、これまでと経済的な負担が変わらないにする本則の改正や附帯決議などをつけることで、野党が早々に採決に応じる公算が高まっています。

【衆議院厚生労働委員会 同日】

 長妻昭さんが筆頭理事になり、理事会が5分ほど遅れました。大臣所信に対する一般質疑。自民党の菅原一秀さんは「コロナは北海道で1日200人、東京で週平均100人超え。休業補償がなければ知事が要求しても実効性がないから、罰則入れてでも特措法を改正したらどうか」と働きかけました。田村厚労相は「西村大臣の所管だが、いろいろ議論があるのは承知している。補償金というよりも支援金でもいいかもしれない」と応じました。

 長妻昭さんは、農林水産省の宮内秀樹副大臣の出席を要求。「GoToイートでの、感染者は何人か」と問いました。とかしきなおみさんは「宮内さんは、農水で、副大臣でいいですか」と聞きながら、指名。宮内副大臣は最終的に「11店舗15名だ」と答えましたが、しどろもどろになりました。長妻さんは「ちゃんと質問通告しているのに、ちぐはぐだ」とし、宮内副大臣の答弁をたしなめました。

 西村ちなみさんは、先日の2つの最高裁判決に言及。「労働契約法旧20条の創設にかかわった者として、反省している」とし、非正規を前提とした待遇の均等化は画竜点睛を欠いていたとの認識を示しました。そのうえで西村さんは「大臣教えてください」とし「長期雇用を前提として女性の賃金に格差があっていいのか」とすると、田村さんは「性別で格差があってはいけないが、役職、勤務年数、労働時間で賃金に差が出るのはやむをえない。一定の長時間労働をしないとキャリア形成できない職業もある」としました。西村さんは「ILO100号条約男女間の同一労働同一賃金は国内法では労働基準法第4条に反映されていると官僚は説明するが、納得しない。判例やガイドラインの積み重ねでは限界がある」とし、抜本的な法改正に意欲をにじませました。

  最後に、本会議できのう審議された「新型コロナウイルス感染症ワクチンの予防接種法など改正案」(203閣法1号)趣旨説明されました。質疑は次回13日(金)午前9時から。

【衆議院内閣委員会 同日】

 各大臣の所信表明に対する一般質疑がありました。日本学術会議からは福井事務局長が出席しました。岸本周平さんは平井デジタル相と問答し、「日本はデジタル人材を内製化せず外注にしてしまった」ことを反省しました。次回は13日(金)午前9時。

【衆議院外務委員会 同日】

 あべ俊子委員長が就任あいさつ。政調会長になった公明党の竹内譲さんが理事を外れ、新しい理事に、伊藤信太郎さん、鈴木貴子さんらが就任。野党の筆頭理事は阿久津幸彦さん。鷲尾英一郎外務副大臣は「2人の副大臣のうち主に私が衆議院の外務委を担当する」とあいさつしました。

 茂木外相の所信的あいさつでは「日英EPA(203条約1号)の今国会での審議をよろしくお願いします」とし、「WTO改革にも取り組む」と語りました。次回は13日(金)午前9時。

【衆議院国土交通委員会 同日】

 あかま二郎委員長があいさつ。フェースシールドの下の縁が黒いので、いっしゅん、インカムマイクかと見間違えました。赤羽一嘉国土交通大臣を指名。「GoToトラベルは延べ3138万人が利用した」としました。大西英男副大臣のあいさつでは、応援する声が委員室であがりました。次回は17日(火)午前9時。

【衆議院文部科学委員会 同日】

 萩生田光一・文科相が「国立大学は社会変革を先導する役割であり、教育、研究、ガバナンスの一体改革が必要だ」と所信的あいさつ。橋本五輪相も所信を述べました。この後、橋本さんは読み間違えがあったとして訂正を求めました。きのうは環境委員会でも女性の副大臣の読み間違えがありました。女性の閣僚は1割しかいませんが、女性の大臣・副大臣の読み間違えが目立っています。次回は13日(金)午前9時。

●衆議院財務金融委員会は理事懇談会。

●参議院本会議は議案がなく開かれませんでした。

【参議院憲法審査会 同日】

 林芳正会長が開き、「幹事が9名から10名に増員された」と告げました。新しい幹事に、藤末健三さん、那谷屋正義さん、白真勲さん、矢田わかこさんらが任命されました。そのうえで、「野党第一党から会長代理を指名できる」として、那谷屋正義さんを指名しました。

 参議院野党は衆議院での立憲民主党発足により、福山哲郎会長・蓮舫幹事長・芝博一国会対策委員長らの「選挙区組」が主導権を握りました。しかし、合併野党で、日教組から水岡俊一会長が当選し、総評系にカウントされる難波奨二さんが国対委員長に就任。憲法審査会会長代行には白真勲さん(比例だが非労組組織推薦)ではなく、日教組(横浜市教祖)の那谷屋正義さんが就任。那谷屋さんは、福山・蓮舫体制で国対委員長から参議院環境委員長に「左遷」された遺恨があります。私としても「福山・蓮舫」について一つだけ頭に浮かぶことがありますが、それは言葉にはしませんが、参議院副議長室を過去半世紀の半分くらい占拠した日教組組織内議員のつかさつかさの配置がなされたのはとても残念です。自虐史観で、憲法改悪に体を張って抵抗するでしょうから、それはいいのですが、「韓国に謝罪する義務」などろ持ち込まないようにしてほしいところです。

●あすの予定

 衆議院本会議で日英EPA(203条約1号)が審議入り、山尾志桜里さんらが外相、農相に質問します。

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