【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

【11/26】馬場伸幸さんが国民投票法改正案の動議提出でさわやかな風、種苗法改正案は「種子法への不信がある」

2020年11月26日 18時18分51秒 | 第203回臨時国会(2020年10月下旬)菅首相初答弁
[写真]11月下旬の東京にはよくあることととはいえ、霧がかかり、視界不良となった、首相官邸。

【衆議院憲法審査会 令和2年2020年11月26日(木)】

 「日本国憲法改正手続きのための国民投票法改正案」(196衆法42号)が審議入りしました。筆頭発議者は細田博之さんでしたが、会長になりましたので、逢沢一郎さんに変更されました。

 公明党の議員は、法案質疑に先立つ自由討議で「法案そのものには与野党異論がないのではないか」と語りました。自民党の小林鷹之さんは「来週の定例日にも必ず開催してほしい」としました。

 法案が審議入りすると、自民党の新藤義孝・筆頭幹事が「法案の趣旨説明から2年半、8国会にわたって継続審議になった」。共産党の赤嶺政賢さんは「この法案だけでなく、原口一博・奥野総一郎両議員が題した原口・奥野法案(198衆法9号)を並行審議すべきだ」と語りました。

 細田会長がきょうの法案質疑についてはこの程度にすると宣言。ここで、維新の馬場伸幸さんが動議を提出し、ただちに採決すべきだとしました。とくに野次は飛ばず、与野党幹事が話し合い、理事会協議とすることにして、きょうは散会しました。身を切る改革の維新の幹事長であり、中山太郎さんの一番弟子であることから、安倍・菅自民党の補完勢力と揶揄されながらも、馬場さんの信念にもとづく行為とみられ、動議で風穴を開けようとするさわやかな風を感じました。

 きょうの開会をめぐって、自民党の出席議員が少なく、定足数が足りないのではないかとして、与野党が騒然とする場面がありました。

【参議院農林水産委員会 同日】

 「種苗法改正案」(201閣法37号衆修正)の質疑が続きました。

 立憲民主党の田名部匡代さんは「ここにきて、地元の人から法案のご意見をうかがうようになったが、やはり一番多いのは分からないという感想。調査では、花き農家でも種苗法を知っている人は6割足らずだ。リンゴ農家では高くても苗木が良く、手間もかからないから高い種苗を買いたいという人もいるが少数派だ。もちろん、誤った認識ではなく理解を深めて、皆で海外流出を防いでいこうとすべきだが、やはり主要農作物種子法成立のときに不信感が尾を引いている」と語りました。

 参考人質疑では、共産党の紙智子さんが、トカラ列島の崖にしか咲かない白い百合を、北海道で栽培することに成功した花き農家の体験談を披露しましたが、この方はすでになくなったとのこと。種子は宝であることの認識が、現代ではあまり共有されていないことは率直に残念なことだと思います。質疑は次回も続きます。

【参議院第一種常任委員会 同日】

 農水委のほか、法案がかかっている委員会は以下の通りすべて開かれました。「立憲3委員会」のうち、経済産業、環境の2つの委員会は開かれず。法務、財務金融委員会もありませんでした。

【参議院総務委員会 同日】

 「郵便法改正案」(203閣法3号)が全会一致で可決すべきだと決まりました。

 嗚呼昔日の栄華やいづこ、日本新聞協会の反対の声は全会一致でかき消され、あす成立。軽減税率をめぐって、私は8年前の2012年に、「日本新聞協会の正副会長として日経の喜多恒雄社長も軽減税率の要望に来たよ」と、その7年前にも関わらず、消費税据え置き派(なので軽減税率がそもそもいらない)の与党議員から牽制されたこともあります。軽減税率が導入されて新聞の部数の解約ペースが減ったのかどうか分かりませんが、読売ジャイアンツもなぜか東京ドームではなく大阪ドームで開催された日本シリーズで4連敗。日本新聞協会落ちていくときは一斉に同調して落ちていきます。

【参議院内閣委員会 同日】

 「一般職国家公務員給与法改正案」(201閣法5号)は共反対、自公立など賛成多数で、「特別職国家公務員給与法改正案」(201閣法6号)は全会一致で可決すべきだと決まりました。あす成立へ。ソーシャルディスタンス確保のために第一委員会室を使いました。

【参議院外交防衛委員会 同日】

 「防衛省などの給与法の改正案」(203閣法7号)は共維反対、自公立などの賛成多数で可決すべきだと決まりました。なんとなく自衛隊に反感があるイメージの、沖縄の風・伊波洋一さんも賛成しました。

【参議院文教科学委員会 同日】

 「祝日法及び東京オリパラ特措法改正案」(201閣法56号)が共反対、自公立などの賛成多数で可決すべきだと決まりました。今国会の事実上の「日切れ法案」扱いでしたが、会期内成立が確定的。

【参議院厚生労働委員会 同日】

 「予防接種法及び検疫法改正案」(203閣法1号)の参考人質疑があり、次回も審議は続きます。参考人の先生からは「免疫力をつけろ、とよくいうが、加速力はない。栄養のあるものを食べたからといって、すぐに免疫が強くなるわけではない」との言葉がありました。参考人質疑はためになります。

【参議院国土交通委員会 同日】

 一般質疑がありました。立憲民主党の青木愛さん(比例代表2022年改選)が、ネクスト東日本「緑橋」の手抜き工事に迫りました。この件では、テレビ報道で、吉岡建設設計の吉岡会長とは全く関係のない土俵で、テレビ局の編集により一次下請けが実名報道されたとして、一次下請けの会社が争うかまえを見せており、先行きがあやしくなってしまいました。

【衆議院東日本大震災復興特別委員会 同日】

 平沢勝栄・新復興大臣の所信的あいさつ。

【衆議院消費者問題に関する特別委員会 同日】

 井上信治消費者・科技・万博相の所信的あいさつに対する質疑。公明党の古屋範子さんが「特商法で禁止された認知症の高齢者への過剰販売がある」と注意喚起。今週、東京地検特捜部の捜査が明らかになった、桜を見る会の前夜祭に関連して、桜を見る会がジャパンライフに利用されたとして、来年の預託法改正案審議もみすえた、野党の挑発がくすぶり出し、年を越しそうです。

【衆議院地方創生に関する特別委員会 同日】

 坂本哲志・地方創生相に対する一般質疑。ひと・まち・しごと創生会議の議長が首相から、坂本地方創生相に格下げされました。与野党というよりも、与党・自民党内にはしごを外された思いの議員もいるかもしれません。

●衆議院文部科学委員会は理事懇談会を開きました。
●衆議院北朝鮮による拉致問題に関する特別委員会は理事懇談会を開きました。

●明日の予定 参議院本会議があり今国会最大の法案成立ラッシュとなります。衆議院安全保障委員会では、新・防衛計画の大綱策定もふまえた一般質疑が実現します。残念ながら今国会は終幕ムードで、必ず解散がある2021年を見すえた攻防になります。但し、コロナはどうしたという世論が、与野党双方に向けられることもありそうです。

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