【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

立憲民主党、種苗法改正案で修正案を決定「自家増殖」は現行法維持または別途契約が必要

2020年11月13日 18時30分34秒 | 第203回臨時国会(2020年10月下旬)菅首相初答弁
[写真]立憲民主党の泉健太政調会長(左端)と田名部匡代農林水産部会長(右端)、ことし2020年9月15日、都内で宮崎信行撮影。

 立憲民主党はきのう、衆議院農林水産委員会で審議中の「種苗法改正案」(201閣法37号)について、修正案を決定しました。

 政務調査会(泉健太会長)の審議会に、農林水産部会(田名部匡代部会長)がはかり、修正協議を一任することになりました。

 立憲は、法案について「育成者権者の保護は全く異論はない」と断じて、外資売却の陰謀論とは一線を画しました。そのうえで、ただ一つの懸念として「自家増殖を行っている有機農業などの農業者に影響が及ぶとの懸念があり配慮が必要だ」との部会意見を採用しました。

 修正案では、(1)現行法21条2項を改正せず維持し、育成者権者の許諾なく自家増殖できるようにする(2)日本農林規格(JIS)で栽培する農業者に限り、育成者権者が契約を望まない限りは、権利者の効力が及ばないことととするーーの2つの修正案のうちどちらかを採用するよう与党に迫ることにしました。

 また「小泉自民部会長・金丸未来投資会議座長」時代の一連のJA改革で成立した、農業競争力強化法(平成29年法律35号)のうち、その第8条4項を削る、とする附則案や、附帯決議案も決定しました。

 削るとした、農業競争力強化法の当該条項は、

 「種子その他の種苗について、民間事業者が行う技術開発及び新品種の育成その他の種苗の生産及び供給を促進するとともに、独立行政法人の試験研究機関及び都道府県が有する種苗の生産に関する知見の民間事業者への提供を促進すること 」

 とした部分。批判が続く、改正種子法とあわせて、種子法・種苗法による開発で、なるべく県立農業試験場への予算配分を戻すよう配慮した考え方のようです。

 この記事は、2020年11月17日(火)の午前9時半からの衆議院農林水産委員会で採用されなければ、後で読んでも、まったく意味をなさない内容ですので、あらかじめ、お断りしておきます。

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インターネット版官報

Ⓒ2020年、宮崎信行 Miyazaki Nobuyuki

【11/13】「祝日法・東京オリパラ」審議入り、給与法案もすべて、2020年国会は盛り上がらず閉幕ムード

2020年11月13日 18時03分38秒 | 第203回臨時国会(2020年10月下旬)菅首相初答弁
 残り会期3週間。会期内成立の一つのめどであるきょう、衆議院で給与法案など5議案が委員会で審議入りしました。当初会期内成立の公算。

【衆議院外務委員会 令和2年2020年11月13日(金)】

 岡田克也さんが一般質疑(国際情勢に関する件)で質問に立ち「エスパー国防長官が解任されて、突発的なことが起きる可能性もある」と指摘しました。

 この後、「日英EPA承認案」(203条約1号)が審議入り。次回は18日(水)9時から。

 国際約束では、毎日新聞が最初に報じたように、15日(日)にRCEPが15か国で署名へ、17日(火)豪首相が来日し、日豪円滑化協定が署名されることになりそうです。日豪では法務省関係の国内法の整備が必要になるようです。

【衆議院厚生労働委員会 同日】

 「新型コロナウイルス感染症ワクチンの予防接種法など改正案」(203閣法1号)の審議が続きました。

 全世界で最多を更新し続けるHIVウイルスはわが国では世界水準より高い8割の感染者が同性性交で感染していることから、同性愛差別などを引き起こしてきました。しかし、それ以前に、厚生省薬務局の怠慢により、非加熱製剤による薬害感染が起きていましたが、役所は隠蔽しました。この隠ぺいを説いたのが、菅直人厚生大臣でした。

 その、菅さんが厚生労働委質疑に登場。「保健所について、自分の選挙区がある東京は固定資産税の税源と交付を調整しているから所在に偏りはないが、地方では保健所の設置に偏りがある場合がある」と指摘しました。

【衆議院内閣委員会 同日】

 「一般職国家公務員法給与法案」(203閣法5号)と「特別職国家公務員法給与法案」(203閣法6号)が審議入りしました。次回は18日(水)9時半。

【衆議院安全保障委員会 同日】

 「防衛省自衛隊職員給与法案」(203閣法7号)が趣旨説明されました。防大生・防衛医科大生のみが対象の法案。これに先立つ一般質疑では、午前中は外務委員会に出ていた茂木外相が午後1時半から安全保障委員会に移って答弁しました。次回は19日(木)9時。

【衆議院文部科学委員会 同日】

 橋本聖子五輪相が「祝日法及び東京オリンピック・パラリンピック特別措置法改正案」(201閣法56号)を趣旨説明しました。次回は18日(水)9時から。

 当ニュースサイトで、6月9日付記事「祝日法と東京オリパラ特措法の改正案が先送りの公算、2021年の3祝日変更は五輪延期なら変更せずか」で、五輪中止で無ければ、秋の臨時国会は絶対にあると予言してきました。完全に的中しました。この記事は、きょう現在もよくアクセスされています。それはいいのですが、執筆の依頼とか全然来なくて、きょうも東洋経済オンラインを見たら、その道25年の週刊誌記者がペンネームで石破茂さんの記事を書いていました。住宅ローンボーナス払いなどで厳しい方が多いのでしょう。

【衆議院法務委員会 同日】

 所信表明に対する一般質疑がありました。今国会で、議員立法で「民法特例法案」が審議されるかもしれません。この委員会の次回は未定。

【衆議院経済産業委員会 同日】

 毎国会のように野党の国会対策で、大臣所信が他の委員会よりも遅れて開催されます。また、先代に続く財務省出身の古谷・公正取引委員長が新任であいさつしました。

[画像]あいさつする、古谷・新公正取引委員会委員長、きょう、衆議院インターネット審議中継からスクリーンショット。

 古谷さんは官邸官僚として菅義偉さんの信頼が篤く、内政面のとりまとめに活躍しましたが、首相交代よりも前に、公取委員長栄転が決まっていました。今後、厚労省マターのフリーランス労働や、金融庁マターの地銀合併、国交省マターのバス事業者合併などで、公取の影響力が高まることもありそうです。次回は、19日(水)9時。

●参議院本会議は定例日ですが、議案が送られていないので、ありませんでした。

 これにより、審議入りしていない政府提出法案は「地方公務員法改正案」(201閣法53号)、「被災者生活再建支援法改正案」(203閣法2号)、「特定水産動植物等の国内流通の適正化法案」(203閣法4号)の3本だけとなりました。このうち、201閣法53号は来年へ継続。203閣法2号は今国会で成立させる必要があり木曜日が定例日である衆議院災害対策特別委員会で審議成立のはこび。203閣法4号は種苗法改正案(201閣法37号)が参議院に送られてから審議入りする見通しで今国会ではもっとも綱渡りの運営を迫られます。

 2012年の2000万票がスイングする大山鳴動、2013年の量的金融緩和、2014年の解釈改憲と、2015年の平和安全法制と改正労働者派遣法で、一線を越えてしまったようです。第3次補正予算のばらまきに期待するしかない世情でしょう。

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