渡辺恒雄の後継者、宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

【11/19】菅首相キングメーカー森山国対の破竹の勢いはとまらない、種苗法本会議通過しもう1本も委員会通過、コロナワクチン、祝日五輪、給与法も衆通過

2020年11月19日 21時14分58秒 | 第203回臨時国会(2020年10月下旬)菅首相初答弁
[写真]自民党の菅首相=2020年9月2日・衆議院第二議員会館で宮崎信行撮影=と森山国対委員長=2019年10月17日・国会中央部で宮崎信行撮影=

 まず、最初の段落で、補足をさせてください。おととい11月17日(火)の参議院農林水産委員会の一般質疑で2007年から2010年にかけて落選していた、野上農相が「農業者戸別職補償により、余剰米が増えた」という全く誤った発言。これに対して2010年農水政務官をつとめた舟山康江さんが「生産数量目標への参加が条件だった」と猛反発し、農相が謝罪撤回に追い込まれ、審議は15分程度遅れました。きのう11月18日(水)衆議院厚生労働委員会で「労働者協同組合法改正案」(201衆法26号)が趣旨説明され、審議入りしました。きのうの衆議院経済産業委員会の大臣所信に対する一般質疑で、共産党の笠井亮さんが、持続化給付金のうちサービスデザイン推進協議会・電通受注分で、不備解消依頼書を一方的に送り付けて2週間以内に打ち切ると通達しているとし、梶山経産相が認め、善処することを答弁しました。蛇足ですが、舟山さん、笠井さんとも、森裕子参議院議員の質問に対する答弁からの流れでの紛糾でした。

 国民の行き過ぎた民主党叩きで生まれた、衆参自民過半数体制に加えて、おととしの「立憲野党18連休批判」もあり、森山裕自民党国対委員長の破竹の勢いが止まりません。

 先の通常国会では農相経験者として、柴崎コウさんが批判した「種苗法改正案」(201閣法37号)を継続審査にしました。その後、安倍首相辞任表明の夜に森山さんは二階俊博幹事長とともに菅首相路線を構築しキングメーカーに。臨時国会で、201閣法37号を衆議院で通過させ、もう1本の農林水産省提出法案もきょう委員会を通過しました。

 どういうわけか100年以上首相を出せない鹿児島県選出で、石原派所属の森山さん。先の通常国会で廃案にした検察庁法改正案は来年に先送りしたことから継続審議となった地方公務員の法案は今国会で成立しないため、安住淳・立憲民主党国対委員長も成立率100%の汚名を被ることもありません。

【衆議院本会議 令和2年2020年11月19日(木)】

 「種子法改正案」(201閣法37号)は立憲民主党・共産党が反対し、自民党・公明党・維新・国民民主党が賛成して「修正議決」で可決し、参議院に送られました。修正は一部施行日のみで、来年4月1日施行の大枠は変わりません。

 「祝日法及び東京オリパラ特措法の改正案」(201閣法56号)は共反対、自公立など賛成多数で可決し、参へ。

 令和3年人事院勧告のボーナス0・05か月分引き下げを反映した「一般職国家公務員給与法改正案」(203閣法5号)は共反対、自公立などの賛成多数で、「特別職国家公務員給与法改正案」(203閣法6号)は全会一致で可決し、参に送付されました。

 「予防接種法など改正案」(203閣法1号)は全会一致で可決し、参議院に送られました。新型コロナウイルス感染症ワクチンの(1)予防接種の無料化(2)国民の接種を受ける努力義務に関する政令のつくりかた(3)健康被害が会った場合の日本政府の肩代わりーーを束ねた内容です。

 本会議では採決に先立ち、永年在職表彰が行われ、中山成彬さん、塩谷立さんが表彰されました。

 この後、「気候変動非常事態宣言」の決議文について、丸山穂高さんを除く全出席議員の賛成で議決され、環境大臣が2050年カーボンニュートラルゼロを目指すとする発言をしました。

【衆議院総務委員会 同日】

 「郵便法など改正案」(203閣法3号)が全会一致で可決し、本会議に上程されます。

 審議の中で、足立康史さんが『首都圏の都県・政令市は9都県市だが、都知事が圧倒的な力があるのでうまくいっている」とし武田総務相が「首都圏には9都県市首脳会議というものがあり、それがうまくいっているようだ」と応じるやりとりがありました。また足立さんが、前回の質疑で、本来自治税務局長に質問する内容について自治行政局長に質問し答弁してもらい続けたと詫び、委員席から「なんでも答弁できるんだよ」と野次が飛びました。

【衆議院農林水産委員会 同日】

 「特定水産動植物等の国内流通の適正化に関する法案」(203閣法4号)は2時間半の審議だけで採決され、全会一致で可決すべきだと決まりました。

【衆議院安全保障委員会 同日】

 「防衛省などの給与法案」(203閣法7号)は共維の反対、自公立などの賛成多数で可決すべきだと決まりました。

【衆議院災害対策特別委員会 同日】

 金子恭之特別委員長がとりしきり、「被災者生活再建支援法改正案」(203閣法2号)を全会一致で可決すべきだと決めました。

【衆議院消費者問題に関する特別委員会 同日】

 井上消費者に対する一般質疑。

【衆議院地方創生に関する特別委員会 同日】

 坂本地方創生相に対する一般質疑。

【衆議院憲法審査会 同日】

 細田博之会長の議事により、自民党の新藤義孝さんが野党の日程を批判。石破茂さんは「政党助成法があり、国民の税金を入れているのに、憲法には政党の文字がなく、政党法もない」と指摘しました。船田元さん、山尾志桜里さんらも発言しました。

【参議院第1種常任委員会 同日】

●参議院内閣委員会と
●参議院総務委員会と
●参議院農林水産委員会と
●参議院文教科学委員会の4つの委員会は既に大臣所信に対する一般質疑を済ませましたが、審議予定の政府提出法案が衆議院から送られていないため、きょうは開かれませんでした。与党側から見れば、完璧な国会対策となっています。

 立憲野党3委員長のうち、

【参議院国土交通委員会 同日】
【参議院経済産業委員会 同日】

 は大臣所信の聴取がありました。さすがにこれ以上やると、委員長が解任されかねません。

【参議院環境委員会 同日】

 は大臣所信に対する一般質疑。

【参議院外交防衛委員会 同日】
【参議院財政金融委員会 同日】

 でも大臣所信に対する一般質疑がありました。

【参議院厚生労働委員会 同日】

 は集中審議を行い、新型コロナワクチンウイルス感染症について対政府質疑をしました。委員長が野党の女性の昨夏初当選の複数の議員の名前を取り違える場面がありました。

【参議院法務委員会 同日】

 「生殖補助医療による母と子の関係に関する民法特例法案」(203参法13号)が共反対、自公立などの賛成多数で可決すべきだと決まりました。質疑で結果的に賛成した党からも「急ぎ過ぎではないか」「出生を知る権利を2年後の見直し規定にゆだねていいのか」との声が相次ぎました。真山勇一さんは法案の附則第3条第2項「前項の検討に当たっては、両議院の常任委員会の合同審査会の制度の活用等を通じて、幅広くかつ着実に検討を行うようにするものとする」を問題視。私としても、秋野公造さんらの議員立法で、公布するのは、天皇の御名御璽と首相らの副署なので、附則とはいえ国会に対する検討条項は行き過ぎで、私は憲法違反の懸念もあると考えます。
 
 私は法案の本則第3条第4項に「生殖補助医療により生まれる子について、心身ともに健やかに生まれ、かつ、育つことができるよう必要な配慮がなされるものとする」と、主語の無い配慮規定があるのも問題だと考えます。毒にならない、誰もきづつかない条文だけど、子の健やかに生まれ育つ配慮という重い文章が単なる理念として、主語もなく法体系に置かれてはいけない。某政党の議員立法100連発作戦につきあわされて、参議院法制局職員は、「過労し寸前」(議運理事)になり、優秀な人が弁護士転職などしてしまったのかもしれませんが、この法案の法制執務は、内閣法制局や衆議院法制局も呆れかえるであろう、代物です。もちろん提出者参議院議員の問題です。また私が最近調べたところ、現行法では「受精卵」はあっても、「卵子」という言葉は無く、その法的定義はないようですが、この法案では定義なしに「卵子」という言葉が使われています。これは衆議院で全面書き直しのうえ、理念抜きに、出産分娩により当然にして親子関係を自覚している母の親権だけを認めるような修正が衆議院でなされることに期待したいところです。

●あすの予定

 既に質疑終局が宣言されている「日英EPA」が衆議院外務委員会で採決。議員立法の起草や採決も4本ほどありそうです。今週初めての参議院本会議があります。

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Ⓒ2020年、宮崎信行 Miyazaki Nobuyuki
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