【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

【11/16】「生殖補助医療の民法特例法案」提出も国民「親を知る権利は2年後見直しで」でいいのか「種苗法改正案」はあす昼過ぎにも採決の公算

2020年11月16日 20時39分07秒 | 第203回臨時国会(2020年10月下旬)菅首相初答弁
[写真]秋が映える参議院議員会館(右)先月2020年10月末、宮崎信行撮影。

 衆参とも、きょう令和2年2020年11月16日(月)の審議はありませんでした。

 RCEPがきのう署名され、来年の通常国会に承認案が提出される公算となりました。

 「種苗法改正案」(201閣法37号)はあす政府原案のみで審議し、昼にかけて採決や修正などをめぐる与野党攻防に。

 各々、TPP、改正種子法のときのような世論の反発はなく、私としては妥当なところだと考えます。

 そして、議員立法「生殖補助医療の提供等及びこれにより出生した子の親子関係に関する民法の特例に関する法律案」(203参法13号)が提出されました。早ければ、あすの参議院法務委員会の一般質疑後に趣旨説明されるかもしれません。筆者はまだ法案本文は見ていませんが、報道や議員SNSによると、第三子が提供した卵子や精子による生殖補助医療で生まれた子の親子関係を明確化する内容。

しかし、「子供が親を知る権利」の創設については、2年後見直し規定にするなどおきざり。民法については第820条「監護権」という権利が子の虐待の「権利」になってしまっているとして2年後見直し規定がついており来年期限がくると思いますが、政府内で検討しているという話は聞きません。「子が親を知る権利」を2年後見直し規定にしていいのかどうかは、政党の政策調査会でもめました。しかし、そのまま参議院に提出されました。

 提案型野党を標榜する、国民民主党の参議院議員団に、IR実施法など「採決で自民党の賛成多数で押し切られるのならば、野党が主導して附帯決議をつけて、よりましなものにすることが得策だ」との世論がここ4年ほどあります。しかし、正常採決だろうが、強行採決だろうが、政府提出法案が自民党の賛成多数で可決されるという結末は、全員が初めから知っているのです。そんなことはみんな分かっていて、せめて野党が抵抗してうっぷんをはらしてもらいたいと思っているのです。附帯決議案の調整に乗ることは採決の日程交渉に応じていることであり、この戦術面や政権交代ある政治をめざそうとする一定の勢力が存在する中、矢田わか子さんや伊藤孝恵さんの考え方は間違っている、と考えます。別に女性だから叩きやすいと差別して攻撃しているのではありません。森裕子さんや、蓮舫さんの言っていることの方が正しい、と主張しています。

 法令検索をすると、「精子」という言葉は、2つの法律にしか出てきません。「卵子」は法律上存在しません。受精卵・未受精卵という法令用語になるようです。この、「精子」とは父なのか物(ぶつ)なのか、という究極の定義が、2年後見直し規定以降にゆだねられていいのでしょうか。政府提出法案の附帯決議よりも、参議院議員立法というもっと重い匕首(あいくち)を自分で自分の喉元に突き付けた、自称・良識の府「参議院」の2020年の残り会期3週間の攻防が始まります。

 なお急に話が変わりますが、参議院法務委員として長年活躍し、現在は維新衆議院奈良1区総支部長の前川清成さんが、「弁護士」の肩書で、今月4日、「ここが知りたい! Q&A相続入門」を出版しました。

●あすの予定

 あすは、参議院の常任委員会でいっせいに、一般質疑があります。参議院の委員にとっては手ぐすね引いて待っていた機会ですから、新大臣から来年をうらなう、役所の姿勢を聞けそうです。野党が持つ3委員会のうち、環境委員会は大臣所信があり、国交、経産は先送りとなりますが、今国会で法案はかかりません。

 衆議院では、定例日のうち参議院に一般質疑とかぶらない委員会は、全部開かれます。また、政府提出法案も、農水以外はすべて審議入りしそうです。本会議は開かれません。

 衆参とも、議員立法が活発な臨時国会となりそうです。「超党派」の美名の下に、変な理念法や予算の歳出だけを求めた法律案が通らないよう、国会クラスタみんなで注意したいところです。

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