宮崎信行の「新・夕刊フジ」

元日本経済新聞記者の政治ジャーナリスト宮崎信行が衆参両院と提出予定法案を網羅して書いています。業界内で圧倒的ナンバー1。

「子育て世帯への訪問家事支援の恒久化」自公党首が本会議掛け合いで明言、第26回参院選目玉政策か、「児童福祉法改正案」を来年3月上旬に第208回通常国会へ提出

2021年12月12日 07時33分50秒 | 第207回臨時国会 2021年12月
[写真]手を取り合う山口那津男公明党代表と岸田文雄自民党総裁(首相)先々月2021年10月24日、大阪・堺市で、宮崎信行撮影。

 山口那津男公明党代表の代表質問に対する答弁で、重要なことがありました。0歳児から2歳児までの子育て世帯に、「ホームヘルパー」など訪問家事支援をできるよう、児童福祉法を恒久的に改正するはこびとなりました。既に補正予算はついており、参院選前に改正法も成立する見通し。

 その前に、一段落かけて事前説明します。政府は第208回通常国会に「児童福祉法改正案」を提出し、(1)わいせつ保育士の再登録10年禁止(2)児童相談所が一時保護状を裁判所に請求したり、子どもだけの意思を聞いたりできる(3)ヤングケアラーの個別支援計画を市町村に義務付けるーーといった包括的な改正案となります。この他、厚生労働省は「雇用保険法を改正して料率を上げる法案」「職業安定法を改正して求人サイトを届出制にする法案」のほか、薬機法の改正条項案、感染症法の改正条項案がありポストコロナ立法がてんこ盛り。

 岸田首相の所信表明演説に対する山口代表の質問は、おととい、令和3年2021年12月10日(金)の参議院本会議に行われました。

 山口さんは「子ども政策についてお伺いします」とし、公明党オリジナルメンバーで元女性教師の柏原ヤスさん(4期24年)による「教科書無償化」と、千葉・市川市議会公明党の「児童手当」の2つの実績を強調。

 そのうえで「3歳児から5歳児までは保育の無償化などの支援があるが、未就園の0歳児から2歳児までの相対的に支援が薄い。今回の補正予算案には、訪問による家事育児支援など子育て世帯を対象として、新たな支援策が盛り込まれたが、児童福祉法を改正して、恒久的な制度にすべきだ」と演説しました。

 これに対する岸田首相の答弁は「子育て支援に対する訪問家事支援についてご質問いただいた。子どもが家庭において、心身とも健やかに成育されるためには、個々の家庭の状況に応じて、訪問による家事・育児支援の制度が必要で、法改正を検討している」と述べました。

 「家庭の状況に応じ」た法改正を「検討している」とのことですが、連立与党党首同士のやり取りですので、合意済みと見られます。

 提出済みの補正予算案の説明書には次のような2つの事業があり関係していると思います。「経済対策の一環として感染防止策を徹底するため地方公共団体が行う子どもの生活・学習支援事業に要する費用の一部補助」「経済対策の一環として、「新しい資本主義」を起動するため都道府県が行う新たな子育て家庭支援臨時特例基盤整備事業等に要する費用に充てるための基金の造成に要する交付金の交付」。

 現行法は、例えば、その第21条の10の2、「市町村は、児童の健全な育成に資するため、乳児家庭全戸訪問事業及び養育支援訪問事業を行うよう努める」などという規定があり、このあたりの項目を改正するとみられます。

 自公政権は調査では、女性の支持率が男性のそれより5ポイント前後低いとでており、第26回参院選に向けた実績作りとみられます。一方、児童福祉法は上述の「第21条の10の2」などと枝分かれが複雑で、親目線の使い勝手のよい法律にすることが求められます。市町村を後押しする国の予算付けも大事です。

 児童福祉法改正案(208閣法 号)の提出は、2022年3月上旬の閣議後になると考えられます。

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