渡辺恒雄の後継者、宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

【12/14】落合貴之さん分配の本質を初指摘「売上高7%増なのに配当6倍」、日本維新の会は大阪組3名・東京組1名

2021年12月14日 19時39分43秒 | 第207回臨時国会 2021年12月
[写真]きょねんの年の瀬、自民党本部(写真の左手前外)を警備するおまわりさんを見て、安全地帯で急停止して気まずい、おそらくウーバーイーツの配達員、写真と本文はまったく関係ありません。

【衆議院予算委員会理事会 きょう令和3年2021年12月14日(火)】
 根本匠委員長、谷公一、大串博志両筆頭理事が話し合いました。

【衆議院内閣委員会理事懇談会 同日】「10万円給付金の差押禁止法案」(未提出)の日程だと思います。
【衆議院総務委員会理事懇談会 同日】「地方交付税法などの改正案」(207閣法1号)だと思います。
【衆議院経済産業委員会理事懇談会 同日】「半導体産業整備法案」(207閣法2号)の件でしょう。

【衆議院予算委員会 同日】
 「令和3年度補正予算案」の審議は3日目で、そのうち基本的質疑2日目。衆議院では今年最後のテレビ入りとなりそうです。

 「分配と成長」について、立憲民主党の落合貴之さん(東京6区、3期)がついに、私が思っていたことを代弁してくれました。これはかなりうれしい。

 落合さんは過去25年間に、日本企業の売上高は107%にしかなっていないのに、株主配当は6倍になっていると指摘。そのために、設備投資と従業員給料を抑えてきたことを明かしました。自民党証券議員連盟会長でもある岸田首相は「株主資本主義を見直すべきだ」とし、新しい資本主義でのカモフラージュをにおわせました。これは本当に重要な論点で、株主配当性向を減らして、労働分配率を高めれば賃金が上がります。政府国庫としても、所得税が増えます。私は「分配」とはこのことを言うと考えます。ところが、自民党議員も立憲議員も、官僚も、自治労も、日教組も、「再分配」という積極財政や政府支出の拡大、消費税廃止など、すべて「政府国庫」のお金の出入りの話しかできません。なぜでしょう。簡単な話です。自分が政府国庫から給料をもらっているからです。企業が労働分配率を増やして配当を減らせば、多くの問題は解決します。

 落合さんは四半期決算開示についても、アメリカと日本だけだと指摘しました。この件では、2016年の米大統領選で、ヒラリー・クリントン候補が廃止を公約に入れていました。ウォール街を含んだ選挙区選出の民主党上院議員だからこそ「グリップ」できたのでしょう。落合さんの言う通りですが、法改正や税制改正でどうするかと言われればまだまだ長い道かもしれません。

 きょうの質疑のトップは立憲民主党代表代行で、総評系議員トップになった逢坂誠二さん。10万円給付の政策転換で、自治体はクーポン作成の仕事が減って喜んでいが、混乱しているとしました。

 岡田克也さんは、核兵器禁止条約について、米の核抑止力の傘の下にいることを理解し合っているとしました。締約国会議については、議決権がなくてもオブザーバー参加をして戦争被爆国の立場などで発言しても、アメリカを刺激することではないかと首相にアドバイスしました。

 近藤和也さんは、衆議院拉致問題特別委員会の活性化に触れました。日本維新の会は「廃止」を唱えています。私は維新の方に賛同します。

 落合貴之さんは、堀内詔子ワクチン担当大臣と後藤茂之厚生労働大臣の役割分担をつき、政府の答弁が混乱しました。

 午後は、維新、国民、共産、有志の会。

 維新は4人登場。足立康史さんは「国会議員団政調会長と日本維新の会政調会長」の違いをパネルで説明。10万円について、首相は「国会でのやり取りが中継されている」から自治体はテレビで情報を得られるとしながらも、通達を「一両日中」に出すとしました。SNSランキングを見ても、10万円の件が広く関心を呼んでいるようです。

 維新2人目の小野泰輔さんは、半導体整備法案を質問。熊本を念頭に、経産相・文科相が高校生の半数以上が県外で進学している実態を答弁。ベトナムが世界に遅れて感染が急拡大したことから、湯沸かし器・自動車などの半導体が入ってこない現状があります。しかし、半導体は単価が安いですから、九州ICアイランド構想を越えて、経産省が日本全国に拠点をつくり税金を投入することは、むしろ、労働生産性を落とします。

 維新3人目は、大阪・1期生から東大阪の岩谷良平さん。「大阪万博は私の発案だ」としました。岩谷さんは2011年府議選初当選で、その後は出馬せず家業をつぎ、再び支部長になり衆院選に初当選したようです。地方公務員の相対的な人事評価を問いました。国会議員特権についても質問しました。

 維新4人目は藤田文武幹事長。補欠選挙から当選2回、在職2年余りで幹事長になった藤田さんですが、「岸田首相のお父さんと同じ文武だ」と語りました。根本匠委員長は「岸田文武君、いや藤田文武君」と呼び、藤田幹事長は「委員長ありがとうございます」と反応が良い所を見せました。

 国民民主党の玉木雄一郎代表は「大学ファンド10兆円の原資」を問い、鈴木俊一財務相は「全額建設国債による出資だ」としました。

 共産党の赤嶺政賢さんは、辺野古新基地建設反対を唱えました。

 有志の会の吉良州司会長は、ドルベースで日本経済の実力をはかるべきだとしました。

 山本太郎代表ら衆議院議員数3名のれいわ新選組は予算委員がいないため、質問できませんでした。

【閣議 きょう】

 朝8時15分から開かれました。閣僚経験のある野党の小選挙区当選者は、やたら朝早いから与党はしばらくよいという意識は間違いなくあると思います。

●あすの予定

 締めくくり質疑は2時間半コース。その後、総務委員会で地方交付税法改正案と、経済産業委員会で半導体整備法案。そして本会議。組み替え動議は野党は別々に出す方向になりそうです。夜に、玉木代表が小池百合子都知事をたずねます。

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【詳報】「身銭を切らずに過去12年中9年半主流」から傍流に落ちた岡田克也さん、代表より期数が多い9人で唯一テレビ入り、首相「岡田委員には敬意を表し申し上げたい」

2021年12月14日 11時03分10秒 | 岡田克也、旅の途中
[写真]2017年7月27日に、最大野党のおそらく常任幹事会に出る岡田克也さん、党本部B会議室か、宮崎信行撮影。

 2010年9月に、菅直人首相に与党幹事長を任されてからの11年のうち、海江田万里代表時代と蓮舫代表時代の通算2年半を除いた8年間、枝野幸男さんとの二人三脚で主流を占めた岡田克也さんが、傍流に落ちました。

 泉健太新代表より「当選回数が多い小選挙区当選者」は9議員いて、そのうち2人が懲罰・決算委員長で、それ以外の7議員は役職が発表されていません。しかし、その7議員の中で唯一、岡田克也さんがきょう、令和3年2021年12月14日(火)テレビ入り予算委員会に登場しました。

 岡田さんは2009年9月に初めての政務三役入りで外相をつとめましたが、初答弁を指名した林芳正さんが、今回外相という巡り合わせになりました。

 きょうの岡田克也さんは「私も外務大臣のときに、核のない世界を目指した」と語ると、岸田文雄首相は答弁で、「まずあの冒頭、岡田委員におかれましては、核兵器のない世界をめざす核軍縮において、外務大臣時代に、核密約(の公開)の問題をはじめ様々な取り組みをされたことについて、敬意を表し申し上げたいと思います」と語りました。

 岡田さんは岸田政権の発言について「核の先制不使用について当事国の検証が必要だ」という逃げの説明をしたことについて、「宣言政策なのだから、検証はできないのではないか」と理詰めで指摘。林外相は「検証は不十分だが、核兵器国が実効性のある宣言は難しい」との認識を示しました。

 岡田さんは「核兵器禁止条約について、先月のNHK調査では56%が賛成だが、前提が少し違うのではないか。やはりアメリカの核の傘の下にいる必要が日本にはある」としつつも「とはいっても、核禁条約締約国会議へのオブザーバー参加はどうしてダメなのか。議決権はないけれども、日本の戦争被爆国としては、台湾問題の考えを言えばいいのではないか」と主張しました。

 最後に桜を見る会で、「岸田さんの枠」があったかと問い、首相はとっさに答弁できないとし、調査してみるという趣旨の答弁をしました。

 大串博志さんが筆頭理事なので、予算委員会に出られたのかもしれません。調べたら、傍流だった2017年にはテレビ入り審議には出られませんでした。上の写真は、民進党役員会では無くて、常任幹事会だと思いますが、当時なんの立場で出席していたかは、私の撮影した写真ですが、にわかに思い出せませんでした。

 傍流が1年以上続いた2017年9月の東京プリンスホテルでは、党大会前に、枝野幸男陣営の総決起集会が開かれました。私は会場の近くのエレベーターホールににいましたが、岡田さんと逢坂誠二さんが現れ、岡田さんは私と目が合うと、逆方向に歩きだし「レストランどこだっけ?」と芝居をしました。比例単独当選ながら、その後に小選挙区出馬を命じられて、岡田克也・小沢一郎代表経験者と折り合いが悪いとみられる逢坂さんが、腰を折り曲げた極端な低姿勢で右手を前に出した強靭な足腰で「岡田先生どうぞこちらです」と枝野陣営に案内しました。岡田さんは枝野元幹事長を応援するとはいえ、総評系サンクチュアリが主流の選対で、前原誠司陣営にも配慮したいという考えがあったと思います。また逢坂さんというのは、こういう人なのだな、と強く印象に残りました。枝野陣営はぼろ負け。ところがわずか1か月後に、枝野さんは「立憲民主党結党」岡田さんは「無所属フォーラム結成」で突然三頭立ての馬車のうち2つの馬術師となり、「大きな塊コンビ」でその後4年1か月主流を歩きました。岡田さんはこの4年間、毎回テレビの党首討論に出て、ましてや予算委員会ではテレビ映りには関係ないですが「当初予算案の基本的質疑の2日目」という野党にとってはクリーンアップを毎年になってきました。しかし、2015年「シールズの夏」以降の、「市民連合と野党の共通候補」路線が見直しとなり、しばらく雌伏の時が続きます。ただまあ、身銭を切らず、党を二分する代表選もせずに、主流でいられたのでそれで、12年中9年半主流ということで、岡田・枝野は、二階幹事長の10分の1のコスパで主流にいられたといえそうです。

 きょうは、代表選に出た逢坂誠二代表代行の次に質問。東京プリンスの低姿勢から4年3か月後に、総評系サンクチュアリのトップが枝野代表からダイレクトに逢坂代表代行に変わったとは、ちょっと驚きです。

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