渡辺恒雄の後継者、宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

首相の最側近の木原誠二官房副長官の実兄がみずほ銀行頭取に十数人抜きで来月就任報道、それとは別にパウエル議長が米議会で量的削減に初言及

2022年01月14日 23時14分14秒 | 経済
[写真]木原誠二・官房副長官、きょねん2021年9月、都内で、宮崎信行撮影。

 現金自動預け払い機のシステムトラブルが相次ぐ、三大メガバンクの一つ「みずほフィナンシャルグループ・みずほ銀行」が来月、木原正裕さんを頭取にすることが報じられましたが、日本経済新聞1面は、木原新頭取は、木原誠二官房副長官の実兄だ、とのファクトもあわせて報じました。

 同社ホームページでは、木原新頭取は現在は上から数えて20人目の幹部(社外取締役を内数に入れて計算)となっており、十数人抜きの大抜擢となります。

 このため、岸田文雄首相が最も信頼する国会議員である、木原誠二官房副長官のご機嫌うかがいの「おまもりのような人事」ではないかともささやかれています。

 前身の一つ「日本興業銀行」も安倍晋太郎さんの実弟(異母)である西村頭取のときに、「みずほ銀行」合併が決まりました。

 1997年の山一・拓銀ショックのときに、前身の一つ「第一勧業銀行」の総務部が総会屋に利益供与をしていた事件と東京地検特捜部が立件。ただし、これはバブル期の影が山一・拓銀ショックで、明るみに出たことで、金融循環とは直接関係がありません。しかし支持率が高かった橋本龍太郎首相が、ライバル小沢一郎さんの新進党解党の敵失にも助けられて、指導力を発揮。しかし国民生活の低迷の不満が第18回参院選で炸裂。さらに「モラル」を金融に過度に求めたために、失われた25年につながりました。

 第一勧業銀行は、「Lマンション」でおなじみの「D京」の不良債権で悩みましたが、国の助けもあり再生し「Lマンション」は現在も続きます。みずほ銀行は、携帯電話やプロ野球でおなじみの「S社」に大量の債権を持っており、傾いたら一緒に傾くとの下馬評も一部にあります。そのため早期に政府との距離を縮めようとしているとの観測はあながちデマとも言えなそう。

 これとは別に、「Fed(フェド)」こと「FRB」のパウエル議長は米上院の銀行・住宅・都市問題常任委員会で答弁。量的金融緩和を打ち止めした今年後半に貸借対照表の総資産の削減を始めたいとしました。2008年以来の「非伝統的手法」である量的金融緩和は、バーナンキ議長・イエレン副議長(現・財務長官)のもと14年間続いていますが「量的削減」は初めてで人類史上でも非伝統的手法となります。量的削減は、FRBの資産防衛であり、人類でごく少数のダラス連銀総裁など「中央銀行貴族」の発券銀行としての影響力強化というエゴイズムに過ぎません。トランプ前大統領が強硬に反対しましたが、中銀貴族との親和性が高い民主党のバイデン大統領のもとでは容認される公算が高いと思います。この場合、世界で最も速いペースの量的緩和をする日本国・日本銀行の「円」が最も実効的に力が切り下げられるのは理論的には必然。日本で暮らしていく分には急激に生活が上下することはありませんが、岸田文雄・自公政権にとっては、第26回参院選後にも、じわじわと私たち国民の不満がたまるシナリオもありそうです。

 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

経済安全保障法案から、工作機械の取引を規制するワッセナー・アレンジメントの国内実施法「外為法・輸出管理令」の改正条項は先送り

2022年01月14日 16時40分30秒 | 第208回通常国会 令和4年2022年1月
[写真]「日本国際工作機械見本市」を訪れその1ヶ月足らず前に逝去した先代(実父)の遺影を掲げて満面の笑みを浮かべた筆者、4年前の2018年11月、東京・江東区で撮影、一部修正。

 「経済安全保障法案」(208閣法 号)から、工作機械の輸出入を管理する国際紳士協定「ワッセナー・アレンジメント」の国内実施法である、外国為替法と輸出管理令の改正に関する条項が、すべて見送られたことが分かりました。

 工作機械はわずか年1・5兆円産業にもかかわらず、「自動車か工作機械か」と言われるほどの日本の代表産業とされています。

 旧「ココム」であるワッセナー協定を落とし込んだ輸出管理令は、経済産業省貿易経済協力局貿易管理部が国内での取引も、リスト規制や包括的な許可を出していますが、専門性に疎くて不満が上がっていました。1987年の「東芝機械ココム違反事件」は安全保障の美名の下にアメリカが日本の成長産業を叩くジャパンバッシングに過ぎなかったとの歴史認識が定着しました。創業者の姓が社名・代表取締役名に残り続ける稀有な業種として「東芝機械ココム違反事件で財閥がいなくなって怪我の功名だ」「参議院に候補者を出したり、政治献金をしたりすることなく気楽だ」との考えで一致。旧帝大系国立大学大学院生の憧れの就職先となっています。

 工作機械の「ワッセナー」同様に、化学機械を規制する「オーストラリアグループ」の国内実施規定の解釈の誤りで、警視庁が大川原化工機の社長ら3名を逮捕し東京地検が1年拘束しながら、経産省の解釈の誤りだったことが分かり、国家賠償請求になっていることも影響しているかもしれません。

 経済安全保障法案は「4本柱」という表現が法案関係者に定着し、(1)電力・通信・金融など基幹インフラ業者に対する機器導入時の事前審査(2)特許内容そのものを非公開にする秘密特許法制の新設(3)半導体など国内サプライチェーンの財政支援(4)大学など先端技術研究での外国との出入りの規制ーーといった内容が盛り込まれる見通し。財政上の措置も盛り込まれそうです。

 法案は2月下旬に提出される見通し。法案関連の予算措置・概算要求は、今夏以降になりそう。岸田文雄内閣は、経済安全保障法案とこども家庭庁設置法案を第208回国会から第26回参院選にかけての目玉法案としたい方向感が定まりつつあります。


[写真]「日本国際工作機械見本市」を訪れた筆者、4年前の2018年11月、東京・江東区で撮影、一部修正。

[写真]偶数年の11月上旬が定例化しており、直近のリアル開催となった「JIMTOF2018第29回日本工作機械見本市」の様子、東京江東区の東京ビッグサイトで、宮崎信行撮影。


[写真]工作機械の世界最新情報を求めて開門前から並ぶ老若男女=同。


このエントリーの本文記事は以上です。
国会傍聴取材支援基金の創設とご協力のお願いをご一読くださり、ご寄付をお願いします。 
このニュースサイトは以下のウェブサイトを活用しています。
Ⓒ2022年、宮崎信行 Miyazaki Nobuyuki、宮崎機械株式会社。








 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「身を切る」東徹さん、参議院インターネット中継の1年以上公開を要求、参議院議院運営委員会

2022年01月14日 16時06分43秒 | 第207回臨時国会 2021年12月
[写真]冬の夜の国会議事堂、6年前の2016年12月、宮崎信行撮影。

 週明け月曜日に、第208回通常国会スタート。「1月17日」が召集日になるのは史上初めて。

【参議院議院運営委員会 きょう令和4年2022年1月14日(金)】
 参・議運がインターネット中継され、立憲の吉川沙織(吉川さおり)さんと維新の東徹さんの2人が質問しました。議題は、「参議院・弾劾裁判所などの予算案」。事務総長は「参院選で前年比4億円増」と趣旨説明。吉川さんは「庶務関係小委員会の議事録が作成されていない」と指摘し、岡村事務総長は「第1回国会では作成していた。その後、速記者が足らず、常任委員長懇談会で了解をいただき、その後作成しないのが慣例となった」と答弁しました。東さんは身を切る改革で、第26回参院選の改選定数3増による、歳費自主返納法はどうなると質問。事務総長は「計算すると月15・2万円になる」としました。

 東さんは続けて、「参議院インターネット審議中継は1国会と1年後までしか公開されない。ところが、衆議院インターネット審議中継はずっと過去に遡って見られる」と問いました。事務総長は「平成11年(1999年)6月の議運委で公開が決まったが、平成21年(2009年)の議運で1国会と1年に決まった」と述べ、議運委で議論してほしいとしました。東さんは福岡資麿委員長に協議するようお願いしました。

 この後、意見(討論)として共産党が「委員長手当の廃止と、文通費のうち在京議員の滞在費分を減らすべきだ」として反対。維新は「一部反対だ」としました。採決され、維共が反対し、自公立などが賛成して、参議院令和4年度予算案がおおむね賛同されました。

【衆議院議院運営委員会理事会 同日】
 来週月曜日に召集され、当初予算案審議のための政府4演説からいきなりスタート。代表質問では、立憲民主党は小川淳也政調会長が水曜日に立つ予定で、火曜日に「青空対話集会」を開く新機軸を打ち出すことになりそう。オミクロン対策で、参考人質疑でのオンライン併用を検討することになり、実現する可能性が濃厚。

【与党 今週】
 自公連立初期から定例化していた、水曜日の「ホテルオークラ」での朝食会「2幹2国」が、茂木敏充・石井啓一・高木毅・佐藤茂樹の体制では開かれていないとし、公明党が再開を求めているようです。岸田文雄さんは政府与野党コロナ協議会でも、後藤茂之政調会長代理(現厚労相)に泉健太・逢坂誠二両政調会長との対応を投げていましたが、連立与党内の「2幹2国」廃止論者かどうかは不明。与野党だけでなく、連立2与党内での政党間協議の不足がどうつながるかは参院選の結果次第ということになりそうです。

【立憲民主党 同日】
 午後4時半から、第1回「立憲民主党衆参国対・政調合同ヒアリング」を第4控室で開催。国土交通省、総務省、内閣府、経済産業省の官僚を並べて聞く形式。「見え方」「見せ方」が今後の焦点となりそうです。【追記16:45】ツイキャスで配信する者がいると思ったのですが配信がないようですので、いずれ直接様子を見に行くかもしれません。【追記終わり】

このエントリーの本文記事は以上です。
国会傍聴取材支援基金の創設とご協力のお願いをご一読くださり、ご寄付をお願いします。 
このニュースサイトは以下のウェブサイトを活用しています。
Ⓒ2022年、宮崎信行 Miyazaki Nobuyuki、宮崎機械株式会社。



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする