[写真]「株主」の立場で多くの配当を得ている日本生命、千代田区の東京駅丸の内口前で、宮崎信行撮影。
今週の衆議院本会議で、岸田文雄首相と梶山弘志自民党幹事長代行が、一つの企業の中で、株主配当を減らして、従業員の報酬に回す「労働分配率」向上に初めて言及しました。
きょう令和4年2022年1月19日(水)のことし初めての国会質問で、梶山さんは「既存の分配構造を是正し、「人」を中心に据えた分配を実現するためには、株主利益の人的資本への投入(略)など、あらゆる政策手段を通じて賃上げを実現させることが必要です」と語りました。
おとといの首相(自民党総裁)の施政方針演説の「人的投資が、企業の持続的な価値創造の基盤であるという点について、株主と共通の理解を作っていくため、今年中に非財務情報の開示ルールを策定します」の部分に呼応した質問演説と思われます。
2012年12月の政権再交代と2013年4月からの日本銀行の量的金融緩和と株式ETF購入で、東京証券取引所プライム上場企業の株主配当は、年5・8兆円から年11・6兆円とちょうど2倍になっています。卑近な話ですが、筆者が家業がらみで亡父から個人と個人として相続した上場製造業株式は政治的揚げ足取りにあわないよう売買しませんが、1銘柄703株は配当が4倍ないし2・5倍、株価が2倍強になっています。日本全体のマクロで見れば、年6兆円を配当ではなく従業員報酬に回すと、上場企業正社員限定に回せば1人年収200万円、全労働者にならすと1人年収10万円アップする計算になります。
これからのお金は、自民党の3世議員、立憲民主党の叩き上げ議員、霞が関官僚の「政府国庫」の出入りがまったくない分配であり、政治家・官僚がこれまで「分配政策のキモ」だと気づいていなかったと考えられます。
但し、法的に誘導するにはどうすればいいかの方策はなかったと思います。それが首相の「2022年末までに非開示情報の公開ルール」とすることで、従業員一人当たりの個別の年収を開示させる行政指導を2000社の上場企業に「要請」する考えだと思われます。
そもそも、株主とは法人か個人か、日本人か外国人かよく分かりませんが、最大の株主である日本銀行が購入する投資信託会社は反対しないでしょう。日本生命は猛烈に反対すると考えられます。一方、経団連は出す側ですので、賛成すると思われます。その他、証券会社も反対するでしょうが、自民党・経団連・日銀が賛成すれば、そちらが通るでしょう。
7月10日の参院選で自公が大敗することは構造的に考えにくく、「黄金の3年間」となる見込みで、この政策は5割以上実現する可能性が高いと考えられます。
反対の圧力が日本生命以外に、外国人機関投資家からかかると考えられますが、あまり「団体」があると聞いたことはなく、自民党証券議員連盟会長をつとめる首相にどのようなプロセスから「要望」があるかは興味深いところです。
同時に与野党問わず、国会議員、官僚はこのことに気付かなかったか国庫の出入りでしか成長と分配を見られなかった視野の狭さを猛省してほしいところです。文通費改革とかやっている場合ではありません。
今週の衆議院本会議で、岸田文雄首相と梶山弘志自民党幹事長代行が、一つの企業の中で、株主配当を減らして、従業員の報酬に回す「労働分配率」向上に初めて言及しました。
きょう令和4年2022年1月19日(水)のことし初めての国会質問で、梶山さんは「既存の分配構造を是正し、「人」を中心に据えた分配を実現するためには、株主利益の人的資本への投入(略)など、あらゆる政策手段を通じて賃上げを実現させることが必要です」と語りました。
おとといの首相(自民党総裁)の施政方針演説の「人的投資が、企業の持続的な価値創造の基盤であるという点について、株主と共通の理解を作っていくため、今年中に非財務情報の開示ルールを策定します」の部分に呼応した質問演説と思われます。
2012年12月の政権再交代と2013年4月からの日本銀行の量的金融緩和と株式ETF購入で、東京証券取引所プライム上場企業の株主配当は、年5・8兆円から年11・6兆円とちょうど2倍になっています。卑近な話ですが、筆者が家業がらみで亡父から個人と個人として相続した上場製造業株式は政治的揚げ足取りにあわないよう売買しませんが、1銘柄703株は配当が4倍ないし2・5倍、株価が2倍強になっています。日本全体のマクロで見れば、年6兆円を配当ではなく従業員報酬に回すと、上場企業正社員限定に回せば1人年収200万円、全労働者にならすと1人年収10万円アップする計算になります。
これからのお金は、自民党の3世議員、立憲民主党の叩き上げ議員、霞が関官僚の「政府国庫」の出入りがまったくない分配であり、政治家・官僚がこれまで「分配政策のキモ」だと気づいていなかったと考えられます。
但し、法的に誘導するにはどうすればいいかの方策はなかったと思います。それが首相の「2022年末までに非開示情報の公開ルール」とすることで、従業員一人当たりの個別の年収を開示させる行政指導を2000社の上場企業に「要請」する考えだと思われます。
そもそも、株主とは法人か個人か、日本人か外国人かよく分かりませんが、最大の株主である日本銀行が購入する投資信託会社は反対しないでしょう。日本生命は猛烈に反対すると考えられます。一方、経団連は出す側ですので、賛成すると思われます。その他、証券会社も反対するでしょうが、自民党・経団連・日銀が賛成すれば、そちらが通るでしょう。
7月10日の参院選で自公が大敗することは構造的に考えにくく、「黄金の3年間」となる見込みで、この政策は5割以上実現する可能性が高いと考えられます。
反対の圧力が日本生命以外に、外国人機関投資家からかかると考えられますが、あまり「団体」があると聞いたことはなく、自民党証券議員連盟会長をつとめる首相にどのようなプロセスから「要望」があるかは興味深いところです。
同時に与野党問わず、国会議員、官僚はこのことに気付かなかったか国庫の出入りでしか成長と分配を見られなかった視野の狭さを猛省してほしいところです。文通費改革とかやっている場合ではありません。
Ⓒ2022年、宮崎信行 Miyazaki Nobuyuki、宮崎機械株式会社。