宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

財務省主税局と自民党総務会の耐えられない劣化「偽装自主廃業の前・税理士という民間人を国税庁が税務調査できる」は内閣法制局チェックで「所得税法改正案」から完全に落ちる、政府税制改正大綱と異なる法案に

2022年01月28日 19時30分39秒 | 第208回通常国会 令和4年2022年1月
[写真]財務省(左手前)と内閣法制局が入る庁舎、衆議院第二議員会館(右)、宮崎信行撮影。

 政府は、今週火曜日(2022年1月25日)の定例閣議で「所得税法など改正案」(208閣法1号)を決定し、国会に提出しましたが、過去に考えられなかったプロセスをたどりました。

 衆院選直後の先月10日に自民党が決定した税制改正大綱には、税理士法の改正条項として

 「税理士であった者及び税理士業務の制限や名称の使用制限に違反したと思料される者」に関して、国税庁が関係者や官公署に帳簿書類の提出、閲覧、物件の提供などを求めることができることにしています。

 読売新聞1面トップで報じられた内容の一部です。税理士法改正条項の一つとして、懲戒逃れのために、自主廃業をした「前・税理士」が、「現・税理士」だと偽って営業することを禁じるためです。しかし、「民間人」の捜査権限を令状なしに国税庁が持つことになるため、内閣法制局が横槍を入れて、法制局チェックを通りませんでした。

 このため自民党総務会と自民党政調審議会が2回開かれることになり、福田康夫総務会長、高市早苗政務調査会長もオンレコのあいさつで言及しました。

 閣議決定である政府税制改正大綱の内容が、年次税制改正法案に反映できない異例の事態となりました。主語が「政府が」なので気づかなかったのでしょうが、自民党総務会の呆れたザルっぷり。矢野康治事務次官が文藝春秋に寄稿しても相手にされない財務省主税局もかなりの劣化だと感じます。そして、福田、高市両会長がオンレコで言及しているのに、記事にできないレガシーメディア。

 月曜日の予算委の集中審議は「政府の規律」も入っていますので、野党の質問に期待したいところ。そして、そろそろ「年次税調」と年次一括改正法案という税法を、抜本的にシンプルにすべきです。

 ここまで劣化した、ひどい財務省は驚きです。国税庁職員も本省を突き上げろ。

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ミソジニー敬遠の底が抜ける人治主義の限界、堀内詔子ワクチン相「ブースター接種、日本は1回目が遅かったから、8か月あけていただく」で予算委再開

2022年01月28日 19時05分04秒 | 第208回通常国会 令和4年2022年1月
[写真]宏池会会長の岸田文雄さんの自民党総裁当選で調子に乗る、黒マスク取材妨害男と、堀内詔子ワクチン相、2021年9月、東京・港区で、宮崎信行撮影。

 当初予算案審議は、きのうは設定されない空転日となりましたが、一日で正常化しました。来週月曜日は午後1時から集中審議となります。月曜日午前中は何があるのか知っている方はお知らせください。ワークライフバランスへの配慮なら、まあいいでしょう。

【衆議院予算委員会 きょう令和4年2022年1月28日(金)】

 「令和4年度予算案」は5日目で、そのうち一般質疑1日目。7時間コースとなりました。

 ミソジニー(女性蔑視)批判を懸念して、大臣・会長・記者らの言動をとがめずに遠慮する風潮がありますが、女性・当選4回で抜擢された堀内詔子ワクチン担当相への野党の批判は解禁されたという感じです。やはり注射は怖いです。

 重徳和彦さんの問いに答えて、日本の3回目ワクチン接種率がOECDで最も低いと答弁しました。重徳さんが「なぜ遅いのか」とただすと、堀内さんは「3回目の接種につきましては、日本は諸外国と比べて、1回目、2回目の接種が遅れたため、一定の間隔を置かねばならない」と語り「8か月おいて接種していただきたいとお願いしてきた」からだとしました。

 重徳さんは「8か月の人を6か月にするなどあらゆる手段を動員して、前倒しすべきだ。接種券の省略もできるはずだ」としました。国自衛隊、市町村以外に県の大規模接種を求めべきだとの意見に堀内さんは「地方自治体の大規模接種会場は関係省庁と調整中だが、しっかりと取り組んでいきたい」と述べました。根本匠予算委員長も「どうして遅れたかということを問われていますので、どうして遅れたかを答えて下さい」と割り込む場面がありました。

 菅首相ー河野ワクチン相という法治政治ならぬ人治主義のもと機能したのであって、岸田首相ー堀内ワクチン相だと、ミソジニーと期数の浅い議員の軽視などから見えない力が生まれてこないということだと思います。

 佐渡金山の世界遺産登録が、どういうわけか保守派で話題になっています。自民党の鷲尾英一郎さん(新潟2区)は「5年ぶりに質問に立つ」とし「2月1日の申請期限までに政府は必ず申し込んでほしい」としました。林外相は「総合的に判断する」とまでしか語りませんでした。

 週明け月曜日は、首相と斉藤鉄夫国土交通大臣らを読んでの集中審議1日目。「統計問題・政府の規律等」。召集前から野党が求めた建設受注統計の誤りについて。但し、江田憲司さんら野党の質問は、コロナ対策、沖縄、10増10減などが中心となりそうです。

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創価学会「より一層党ではなく人物本位」を決定、自民党選挙協力に冷ややかに

2022年01月28日 13時05分54秒 | 第50回衆院選(2024年10月27日)
[写真]創価学会が支援する公明党の山口那津男代表(右奥)と筆者(左手前)、きょねん7月、都内で、宮崎信行撮影。

 創価学会で、公明党などとの調整を所管する「中央社会協議会」は「より一層」党ではなく人物本位で推薦を決めると強調しました。

 きのう令和4年2022年1月27日(木)に創価学会本部別館(東京・信濃町)で決めたと、きょう付の聖教新聞が報じました。

 基本方針として、

 国や地方自治体の選挙に関する創価学会の対応は、中央社会協議会や各都道府県社会協議会等で検討し、決定することになっています。その際の判断基準は、予定候補者の「所属政党」ではなく、あくまで「人物本位」であり、予定候補者個々の政治姿勢、政策、人格、見識、これまでの実績、及び学会の理念に対する理解などを考慮して、選挙のたびごとに、その都度、創価学会として主体的に評価し、判断することが従来の原則であります。

 としました。

 そのうえで、「より一層、党派を問わず厳しく見極めた上」との文言を含んだ談話を出しました。一部一般紙の報道では、このような表現ぶりは過去になかったようです。

 創価学会は、1996年の第41回衆院選で、堀内詔子ワクチン相の義父である自民党の堀内光雄衆議院議員候補(富士急社長)ら山梨県の自民党候補に推薦を出し、新進党には推薦を出さず波紋を呼んだことがあります。このとき学会は「人物本位で山梨県社会協議会が決めた」という趣旨の説明で一貫していたと記憶していますが、池田大作名誉会長が、新進党の先行きを懸念していると憶測を呼びました。新進党惜敗の遠因ともいわれ、歴史的事実として新進党は1年2か月後に解党しました。

 創価学会はコロナ禍で、支部会そのものの開催を長く見合わせ、最近では婦人部が女性部に改組改称されました。会員数の減少なども勘案しての「選別」でしょうが、政権を決める衆院選では「50票差」など以前より接戦区が増しており票読みの能力で会員数の何百倍もの政治力を今後も維持するでしょう。

 直接関係はありませんが、今入ってきたニュースとして、河井克行・河井杏里元自民党広島県連会長夫妻の公職選挙法違反事件で、両被告以外の100人の地方議員の不起訴について、検察審査会が「不起訴不当」をきのうまでに決定したようです。東京地検特捜部が再捜査をすることになります。これをめぐっては「1億5000万円の原資はどこか」という追及もあります。もともも河井後援会や河井県議の溜まり金も交じっているでしょうから、原資が政党交付金だと説明責任があるという法的根拠は政党助成法にも政治資金規正法にも公職選挙法にも書いてありません。無意味です。単純に、議員辞職などの社会的制裁を受けていない議員が、どう申し開きするかという問題に帰すると思います。

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