[写真]金融庁、4年前、宮崎信行撮影。
岸田文雄首相の「成長と分配の新しい資本主義」は、鈴木俊一金融担当大臣が主導して、2か月先の「今春」に、上場企業の四半期決算短信に「男女間賃金格差」を書き込むことを開示情報として義務付ける内閣府令を改正することになりそうです。
自民党証券議員連盟会長を長く務めた岸田さんの「新しい資本主義」は重箱だけつくって、後からメニューを入れています。賃上げ分の一定割合を法人税の計算から控除できる「所得税法改正案」(208閣法1号)は既に衆議院財務金融委員会で審議中。
先月19日の本会議で質問した自民党の梶山弘志幹事長代行が「株主利益を人的資本に投入する」ことを提案。今月2日の内閣委員会で、野田聖子・内閣府男女共同参画局担当相は「第五次男女共同参画基本計画を着実に実行するため、先般、女性版骨太の方針である重点方針2022の4つの柱立てとして、男女間の賃金格差の解消など女性の経済的な自立」を目標をしたと所信的あいさつ。鈴木俊一・金融庁担当大臣は、先月28日などの閣議後会見などで「金融審議会におきまして人への投資に関する開示の充実も含め、四半期開示の見直しについて丁寧に議論をし」「今春をめどに報告書を取りまとめていただきたいと考えております」と述べました。
日本政府は、男女間の賃金差別を禁止する国際条約に批准しており、国内実施法(国内担保法)として1985年に「男女雇用機会均等法」が成立。しかし同年に「労働者派遣法」ができたため、男女の格差が、正規・非正規の格差にすり替えられ、派遣社員のみならず有期雇用者全員の賃金が安く抑えられる37年間となりました。「女性の正規」の実数は100万人減っています。
この間、売上高に占める株主配当が8%程度増え、人件費の割合である「労働分配率」は減少。名目での実額も減ってしまう事態となり、アベノミクスで加速し、現在を迎えています。
現在の東証プライム上場企業の四半期開示情報は、今後新株を発行するかどうか、他の企業を買収したりされたりするかどうか、組織再編、役員報酬が開示されることになっています。下種な話ですが、例えば化粧品会社の社外取締役が3名で報酬3000万円ならば、テレビアナウンサー出身の女性弁護士が年1000万円だと分かります。おそらく弁護士事務所の売上の方に行ってしまうのでしょうが。また、割り算をすれば、メーンバンクからの借入金の利率も大まかに分かり、上場大企業ほど低利率という資本主義の現実を突きつけられます。
これらは金融商品取引法に基づき、内閣府令で決まっています。現在開催中の国会では、金融庁は異例の3本の法案(保険業法改正案、公認会計士法改正案、デジタル庁発足に応じた資金決済法改正案)を出します。同庁の定員ではいっぱいいっぱいですから、内閣府令改正で、第26回参院選に「新しい資本主義の実績」として提示することが予想されます。
首相はあまり深く考えていたそぶりがありませんが、岸田総裁実現に成功した鈴木財務・金融大臣、梶山幹事長代行、そして総裁選初出馬の後、内閣に取り込んだ野田大臣ら、インナーキャビネットがあるように感じます。4人は父か祖父が自民党有力議員でした。北京・紫禁城近くに現存する最高幹部専用宿泊施設「中南海」を目に見えない阿吽の呼吸でバトンリレーしているようにもみえます。
繰り返しになりますが、男女同一賃金の条約に批准しながら、1985年以降むしろ格差が拡大したのは、男性の正規・女性の非正規に論理がすり替えられたからです。ダイナミズムの無い日本経済で、現在輝いている女性はその地位に執着することをおすすめします。成長のために必要なのは、まずは分配であり、その毎月の現金収入上昇額を、消費・投資すること。経済理論は意外と簡単、確実ですので、まずは一歩ずつ底上げしていく政策には賛同したいところ。経団連は「アリバイ作り」でいいから、一人当たりの女性の平均の月例賃金を上げるべきです。
岸田文雄首相の「成長と分配の新しい資本主義」は、鈴木俊一金融担当大臣が主導して、2か月先の「今春」に、上場企業の四半期決算短信に「男女間賃金格差」を書き込むことを開示情報として義務付ける内閣府令を改正することになりそうです。
自民党証券議員連盟会長を長く務めた岸田さんの「新しい資本主義」は重箱だけつくって、後からメニューを入れています。賃上げ分の一定割合を法人税の計算から控除できる「所得税法改正案」(208閣法1号)は既に衆議院財務金融委員会で審議中。
先月19日の本会議で質問した自民党の梶山弘志幹事長代行が「株主利益を人的資本に投入する」ことを提案。今月2日の内閣委員会で、野田聖子・内閣府男女共同参画局担当相は「第五次男女共同参画基本計画を着実に実行するため、先般、女性版骨太の方針である重点方針2022の4つの柱立てとして、男女間の賃金格差の解消など女性の経済的な自立」を目標をしたと所信的あいさつ。鈴木俊一・金融庁担当大臣は、先月28日などの閣議後会見などで「金融審議会におきまして人への投資に関する開示の充実も含め、四半期開示の見直しについて丁寧に議論をし」「今春をめどに報告書を取りまとめていただきたいと考えております」と述べました。
日本政府は、男女間の賃金差別を禁止する国際条約に批准しており、国内実施法(国内担保法)として1985年に「男女雇用機会均等法」が成立。しかし同年に「労働者派遣法」ができたため、男女の格差が、正規・非正規の格差にすり替えられ、派遣社員のみならず有期雇用者全員の賃金が安く抑えられる37年間となりました。「女性の正規」の実数は100万人減っています。
この間、売上高に占める株主配当が8%程度増え、人件費の割合である「労働分配率」は減少。名目での実額も減ってしまう事態となり、アベノミクスで加速し、現在を迎えています。
現在の東証プライム上場企業の四半期開示情報は、今後新株を発行するかどうか、他の企業を買収したりされたりするかどうか、組織再編、役員報酬が開示されることになっています。下種な話ですが、例えば化粧品会社の社外取締役が3名で報酬3000万円ならば、テレビアナウンサー出身の女性弁護士が年1000万円だと分かります。おそらく弁護士事務所の売上の方に行ってしまうのでしょうが。また、割り算をすれば、メーンバンクからの借入金の利率も大まかに分かり、上場大企業ほど低利率という資本主義の現実を突きつけられます。
これらは金融商品取引法に基づき、内閣府令で決まっています。現在開催中の国会では、金融庁は異例の3本の法案(保険業法改正案、公認会計士法改正案、デジタル庁発足に応じた資金決済法改正案)を出します。同庁の定員ではいっぱいいっぱいですから、内閣府令改正で、第26回参院選に「新しい資本主義の実績」として提示することが予想されます。
首相はあまり深く考えていたそぶりがありませんが、岸田総裁実現に成功した鈴木財務・金融大臣、梶山幹事長代行、そして総裁選初出馬の後、内閣に取り込んだ野田大臣ら、インナーキャビネットがあるように感じます。4人は父か祖父が自民党有力議員でした。北京・紫禁城近くに現存する最高幹部専用宿泊施設「中南海」を目に見えない阿吽の呼吸でバトンリレーしているようにもみえます。
繰り返しになりますが、男女同一賃金の条約に批准しながら、1985年以降むしろ格差が拡大したのは、男性の正規・女性の非正規に論理がすり替えられたからです。ダイナミズムの無い日本経済で、現在輝いている女性はその地位に執着することをおすすめします。成長のために必要なのは、まずは分配であり、その毎月の現金収入上昇額を、消費・投資すること。経済理論は意外と簡単、確実ですので、まずは一歩ずつ底上げしていく政策には賛同したいところ。経団連は「アリバイ作り」でいいから、一人当たりの女性の平均の月例賃金を上げるべきです。
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