渡辺恒雄の後継者、宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

国民民主党は「経済安全保障法案」の成立に協力か、「人材育成条項」を盛り込んだ対案を衆議院に提出へ

2022年02月17日 21時51分25秒 | 第208回通常国会 令和4年2022年1月
[写真]国民民主党の玉木雄一郎代表(右)と伊藤孝恵副代表(左=愛知県区今夏改選)、東京・永田町で、岸田派・茂木派事務所も入る「全国町村会館」で、おととし、宮崎信行撮影。

 岸田文雄内閣の安定飛行が続く第208回通常国会では最大の目玉ともされる「経済安全保障法案」(来週にも閣議決定)で、国民民主党が「人材育成条項」を盛り込んだ対案を衆議院に提出する意向であることが、当ニュースサイトの独自取材で分かりました。

 ただし同党は、衆議院内閣委員が1名しかおらず、この場合は、「差し替え」をしてしまうと理事会の経緯を知る議員がその時間帯いなくなることから、自公との修正協議は限界があるかも。

 法案の素案は、14分野(電気、ガス、石油、水道、電気通信、放送、郵便、金融、クレジットカード、鉄道、貨物自動車運送、外航貨物、航空、空港)を基幹インフラ事業と位置づけ、機械購入や投資などで政府の事前審査を行う内容。

 自民党政調を通過した法案素案では、連立与党内で修正が加わった罰則規定などはありますが、経済安保に詳しい人材育成のための条項は含まれていないことが確実。そこで、電力の発電・送電・配電会社や、水道など社会イノベーション機械を製造するメーカーとの意見交換が活発な同党が独自色を提案しようとの考えがにじんでいます。電力システム改革で送電が子会社になったことの弊害も指摘されており、軌道修正のきっかけになるかもしれません。

 初当選以来の「農政族」である玉木雄一郎代表は「食糧安保に関する配慮規定」も盛り込みたい考えのようです。

 14分野を改めてみると、水道、電気通信、放送、郵便、鉄道、貨物自動車運送については、「旧公社」が多く6つほどの産業別労働組合が4候補ほどを立憲民主党の全国比例に擁立しており、参議院に回ってからの展開が読めません。

 経営陣側は、「IHI」、「三菱電機」などは成立を見越した部署を本社に設けて、経産省天下り官僚を新規採用しており、政府と大資本の結託がこれまで以上に進んだ「社会イノベーション製造業」という大資本の徘徊がとまらなくなることも予想されます。

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橘幸信・衆議院法制局長「憲法56条第1項の定足数とオンライン国会ICTで両論あるが先生方の議会観が問われる」に玉木雄一郎議員「今すぐまとめて議長報告を」と「議運委で衆議院規則改正で済む」に分かれる

2022年02月17日 18時09分47秒 | 第208回通常国会 令和4年2022年1月
[画像]橘幸信・衆議院法制局長、きょう2022年2月17日、衆議院インターネット審議中継からスクリーンショット。

  この後午後7時から首相記者会見、あすはテレビ入り集中審議で衆議院では最短では、ことし最後になるかもしれません。

【衆議院憲法審査会 きょう令和4年2022年2月17日(木)】

 予算案審議と並行して、2週連続で審議されました。史上初だと思います。立憲民主党と共産党に対して、開催そのものに反対すべきだという世論や党員の風は極めて限定的だと思われます。

 議題は「日本国憲法及び日本国憲法に密接に関連する基本法制に関する件(日本国憲法及び憲法改正国民投票法を巡る諸問題(特に、憲法第五十六条第一項の「出席」に関する議論を中心として)」。

 前回は「国民投票法とCM規制」は論点にならず「憲法56条の定足数とオンライン国会」になりました。主流側の何らかの作戦もあったと思います。

 きょうは、切れ者として知られる橘幸信衆議院法制局長が論点整理として15分間説明しました。それによると、憲法56条は「物理的出席説として、日本語の意味する物理的に選挙で選ばれた全国民の代表として国会にpresent( プレゼント)存在することが問われているという説」と「他方、近年になってでてきた新しい論点が機能的出席説。ICTの発達でオンラインを新しい時代の審議手段としてどう位置付けるか」と両論を提起し、「議会とはそもそもどのようなものなのか、先生一人一人の議会観が問われている」と投げかけてまとめました。後で議員から「完成度が高い」と称賛されました。

 自由討議で、自民党の新藤義孝筆頭幹事は「橘局長が15分ぴったりで説明してくれたが、最新の技術系の学識経験者の話を聞く必要が次回以降ありそうだ。しかし憲法としては緊急事態条項が必要だと思う。2回連続開催を感謝するとともに、来週も開催してほしい。自由討議は言いっ放しではなく、審査会としてとりまとめて、会長が議長に報告できるようつとめるべきだ」としました。

 立憲民主党の奥野総一郎筆頭幹事(同党国対委員長代理)は「オンライン審議は衆議院規則を変えればできる。東大の宍戸教授、京大の大石教授、自民党の小泉進次郎議員の発言からもそうなる」としました。共産党の赤嶺政賢さんは「今も本会議で出席数を減らして、マスクをしているのだから、それでも不十分なら、衆参の議運委で審議すればいい」としました。

 国民民主党の代表である玉木雄一郎さんは「スピード感を持ちたい。今も新型コロナウイルス感染症は進んでいる。一致できる点はきょうにも、この場で整理して、森英介会長が衆参議長に報告してほしい」と語り、今週も先頭を飛び出す役回りをしました。

 社民党の新垣邦男さんは「社民党は、予算審議を優先すべきだが、憲法の審議には応じる。今の件は、諸外国の事例を含めて時間をかけて検討すべきだ」
としました。

 公明党の北側一雄さんは「憲法上のオンライン国会の許容性について、とりまとめの中間的なたたき台をまとめて議長に報告すべきだ」と玉木さんがふかしたアクセルからは、連立与党がスローダウンさせました。

 立憲の桜井周さんは「初めて発言する」とし「オンラインでも、強行採決がなくならないか慎重に検討すべきだ」としました。

 船田元さんは「2000年から参加しているが、いよいよ憲法の中身について議論できる」としました。

 来週の開催は未定のまま、散会しました。

【衆議院予算委員会 同日】
 「令和4年度予算案」の審議は18日目で、分科会2日目(最終日)となりました。地方公聴会に代わる参考人質疑、中央公聴会は既に終わり、あす集中審議4日目。早ければ月曜日にも採決か、祝日を挟んだ木曜日の本会議も念頭において与野党の最終攻防となります。

 公聴会は1期生優先となっており、きのうの分科会を公明新聞は「5人の1期生が初質問」と報じました。きょねんは細田博之さんも質問しましたが、きょうは、与野党とも閣僚経験者は当選4回の山下貴司元法務大臣一人だけでした。

 一つ大事な意見がありました。ことし初めてテレビ入り予算審議に登場した立憲の城井崇さんが第二分科会(総務省)で「建設受注統計をめぐる国土交通省の対応は統計法60条に違反している。そして、事業者から回収した原票について、公文書管理法第7条の行政ファイル管理簿を作成しなかったことも違法ではないか」と問いました。公文書の廃棄について協議を求められる内閣府の副大臣の赤池誠章さんが「私も公文書管理法第7条第1項に違反していると思う」と明確に答弁しました。

【衆議院総務委員会 同日】

 「地方税法改正案」(208閣法3号)と「地方交付税法改正案」(208閣法4号)の審議は4日目で、法案審査は2巡目。今回は固定資産税で商業地で大幅に上がった人の優遇の縮小延長ほどしか論点がなく、あまり議論が進まない状況。ことしは重要広範議案でもないと思うので、予算にあわせて採決になりそうです。次回は公報で知らせることにして、散会しました。

【参議院 同日】
 特にありません。予算委員会のスタートは来週水曜日が祝日なので、木曜日以降か。

【自民党政調審議会 今週】
 今週の政調審議会で、高市早苗会長がウクライナ・ロシア情勢で「G7で強調するときに、林芳正外相が日ロ電話会談を行った」ことをあいさつで批判していたことが分かりました。

●あすの予定
 衆議院予算委員会集中審議と、衆議院議院運営委員会と参議院議院運営委員会。けさ書いた「和歌山県だけ来週まん延防止措置の卒業期限を迎える」とのことについて、和歌山県があすのうちの延長を政府に申し入れたと、官房長官が記者会見で発言しました。

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きょう木曜日(2/17)に首相が記者会見し、あす金曜日(2/18)にまん延防止延長決定への新しい段取りに

2022年02月17日 07時13分59秒 | 第208回通常国会 令和4年2022年1月
[写真]第49回衆院選の取材で日本全国を飛び回るさなか、北海道「さっぽろテレビ塔前」を訪れた宮崎信行。この日は道全体で「27名」だったのにきのうは「2815名」とわずか4カ月で100倍に拡大。

 まん延防止措置の延長は、前政権の途中から「なるべく木曜日にやる」習慣でしたが、今週は金曜日(令和4年2022年2月18日)となりそうです。それに先立つ前日のきょう木曜日に岸田文雄首相が事前に記者会見する初めての段取りとなりました。

 あす、衆議院議院運営委員会と参議院議院運営委員会が開かれ、「基本的対処方針」の変更について、大臣の事前報告と質疑をすることなりそう。ことしになってからNHKで中継されていません。

 2月20日までの、沖縄県、山口県、山形県、大分県などは「卒業」。

 1月9日から続く広島県は延長が避けられない見通し。高齢者介護施設でクラスターが発生し、陽性者が陽性者を介護する「陽陽介護」も。

 1月27日「入学」の北海道、大阪府、長野県なども延長することになり、知事が公式発表した県もあります。政府は知事の要請があればそのまま決める姿勢をとっています。

 今後ですが、来週は和歌山県のみが「卒業締め切り」。解除ならば、何もないかも。そして、再来週は、東京都など首都圏などが一斉に「卒業締め切り」。ここは、政権支持率を左右する分水嶺になりかねませんので、「ひな祭り(3月3日)」ちょっと前の時期の感染状況と高齢者3回目ワクチン接種状況がカギとなりそうです。

 保育園休園による休業によって負担が増していても、月収がまったく減らない親と、月収がまったくゼロになった親がいます。政治家は、見た目で分からない格差にアンテナを高くすべきでしょう。

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鉄道運賃値上げへ鉄道事業法改正案も視野に、国交省「持続可能な運賃」小委員会を設置、今夏以降の「黄金の3年間」に改正法案提出も

2022年02月17日 06時43分23秒 | 既に提出された【法案】
[写真]西武鉄道のグループ本社、東京・豊島区「池袋」駅東口、先々月、宮崎信行撮影。

 コロナ禍の乗客減と防犯カメラ増強の「鉄道事業の持続可能な運営」を話し合う「鉄道運賃・料金制度のあり方に関する小委員会」が月曜付(令和4年20で2年2月14日)で設置され、きのう16日初会合が開かれました。

 霞が関・永田町で「持続可能」とは「値上げ」を意味する隠語。

 「鉄道事業法改正案」が第26回参院選後、2023年の通常国会を軸とした時期に提出されるかもしれません。

 正式名称は「交通政策審議会陸上交通分科会鉄道部会鉄道運賃・料金制度のあり方に関する小委員会」。国土交通省鉄道局作成のプレスリリースは次のように書きました。

[国交省プレスリリースから引用はじめ]
現行の鉄道運賃・料金制度が導入されてから20年以上が経過する中、新型コロナウィルス感染症の影響によるライフスタイルの変化や
デジタル技術の発展・普及への対応、地域における交通モード間における連携強化等、現行の運賃・料金制度における課題について
議論するための小委員会を交通政策審議会の下に新たに設置します。

○ 鉄道の運賃料金制度に関しては、平成11年に鉄道事業法が改正され、現在の制度が導入されてから20年以上が経過しました。
 この間、新型コロナウィルス感染症の影響によるテレワークの普及やICカードシステムの急速な普及に見られるようなデジタル技術の発展、
 MaaSを始めとする地域における様々な交通モードとの連携強化等、鉄道を取り巻く社会経済状況は大きく変化しています。

○ また、昨今では、昨年相次いで発生した鉄道車内における傷害事件の発生等を踏まえたセキュリティ対策、激甚化・頻発化する災害への対応、
 鉄道施設の老朽化対策等といった鉄道における安全性の向上のための対策が急務となっているところです。

○ こうした状況を踏まえ、鉄道事業の持続的な運営を可能とするとともに、多様化する利用者ニーズに鉄道サービスが適切に対応することを
 可能とするため、運賃・料金制度について今日的視点から検証を行います。
[引用おわり]

 「鉄道事業法」(昭和61年法律92号)は「旅客運賃等の上限を定めて、国交省の認可を得る」としています。「上限の認可」を届出にする案も省内にあるようです。JR東日本はラッシュ時の運賃を高くする時間帯変動運賃を政策提言しているようです。

 軌道法(大正10年法律76号)も生きているので、束ねて改正されるかもしれません。

 サービス業の常道として、深夜・早朝料金がありますが、鉄道車両は循環しているので、客一人あたりの人件費を考慮する必要はあまりないでしょう。そのためラッシュ時を高くして、中間層会社員の自主的な早朝出勤を促すことになり、負担となるかもしれません。実は、労働基準法はその24条などに「交通手当を払う義務」が使用者にはなく、正規社員が自腹になっても違法ではありません。

 西武鉄道グループがコロナ禍の運賃収入減少などから、プリンスホテルのうち高輪などを一括してシンガポールのファンドに売却し現金を得ることが決まりました。今後の運営を受託することが条件で、堤・後藤社長たちは厳しいようで雇用は維持する「従業員思いの会社」ではあったんだなと感じます。西武鉄道は箱根のプリンスの一つを日産自動車の社員寮として売却したり、赤坂プリンスをオフィスビルにして収入が5倍になったりしています。鉄道事業の日銭収入による不動産投資という意識が強いようで、今回の売却は鉄道事業を維持するための現金づくりだと思います。

 JR東日本は東京・新大阪間の運賃を1万1000円強で設定していますが「早割」はありません。私がフランスの新幹線を調べたら、乗車2か月前に予約すれば3000円になる「早割」があるようで、学生の帰省に使われているようです。国鉄民営化から35年経ち、国鉄北海道鉄道局が計算した「赤字ローカル路線」の発表を、JR九州も始めるもよう。国交省の一部には叩かれないよう認可から届出に格下げしようという動きもありそうですが、第26回参院選後の国政選挙がない「黄金の3年間」の間に永田町が「三方良し」の鉄道事業のグランドデザインを示す必要がありそうです。 

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