宮崎信行の「新・夕刊フジ」

元日本経済新聞記者の政治ジャーナリスト宮崎信行が衆参両院と提出予定法案を網羅して書いています。業界内で圧倒的ナンバー1。

参議院与野党全党が、著しい低投票率が予想される参院選に悲壮感、15人全員が「改選組」に、組織がある党も、比例代表も代議制民主主義機能停止懸念に悲壮感漂う

2022年02月22日 17時13分35秒 | 第208回通常国会 令和4年2022年1月
[写真]改選組が出馬した、6年前の参院選の街頭では、最大野党政調会長を「ママの会」が支えた、=埼玉県さいたま市「浦和」で、宮崎信行撮影。

 木曜日(2/24)、金曜日(2/25)の「令和4年度予算案」の参議院予算委員会基本的質疑合計14時間コースに登場する与野党の15人の質問者が、全員「改選組・偶数組」であることが分かりました。改選イヤーとはいえ、組織が強い党の比例も含めて全員改選組は極めて異例。

 6年前の2016年夏。岡田克也代表・枝野幸男幹事長のもと「32ある1人区ですべて野党一本化」という史上初の参院選は、県区の街頭に「ママの会」「シールズ」「安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合」が自主的に集まり、「保育園落ちた」「なんか自民党感じ悪いよね」「だれの子どもも殺させない」と平和安全法制の廃止を求める声が全国に拡大。いつもながら野党は候補者発掘に難航しながらも、国家の一大事だとばかりに、和歌山県弁護士会長、連合奈良会長、NHK宇都宮放送局長が次々腰を上げて出馬(全員落選)しました。

 それから6年経ち、日本は別の国になったようです。総定数は3だけ増えましたが、各党とも負けられない戦いになります。

 質疑順とずれますが、まず、愛知県区4人で自民党公認1人の藤川政人さんは当落だけの問題ではありません。自民党は栃木1人区の上野通子さん。6年前は当選者の中でおそらくもっとも最後に出馬表明するコスパの良い当選となった朝日健太郎さんは東京6人区。東京の旧来既得権益者を代表してきたもう1人が引退するため、自民党都連内の権力構造の変化がおこるかもしれません。

 公明党は西田実仁・参議院議員会長で、埼玉県区は4人に増員されますが、自民党も参議院議員会長が1人だけ公認を受けており、当落とは別の問題もあります。公明党は女性1期生が1人引退しますが、兵庫3人区で2期目にのぞむ公明党の伊藤孝江さんも発信力が弱い印象があり楽な選挙では無さそう。

 立憲民主党は、立正佼成会が応援する白真勲さんがトップバッター。新潟2人区の森ゆうこさんも「拉致問題」を取り上げアピールへ。千葉3人区では自民党の元栄会長が引退しますが、小西洋之さんも安泰ではありません。東京6人区では、6年前岡田代表・枝野幹事長を無私の心で代表代行として支えた蓮舫さんですが、流動的な要素もあります。

 国民民主党は3年前も落選した「電機連合」の矢田わか子さんが質問。6年前は愛知で最終日に突然大村知事が現れて当選した伊藤孝恵さんも質問。維新は兵庫3人区の片山大介さんと、大阪5人区の「2人目の維新」の高木かおりさん。共産党も長野県政では初めての女性国会議員で党幹部の田村智子さん、大門美紀史さんも質問します。国会史上「共産党の論客が落選して自民党議員からも惜しむ声」は周期的に上がっており、田村さん、大門さんも、安泰ではありません。

 基本的質疑では、予算のほか、経済安全保障法案(未提出)、子ども家庭庁法案(未提出)。衆議院ではあまりなかった、北朝鮮拉致問題、ミャンマー、豪雪地帯対策なども審議されることになりそうです。

 第26回参院選は7月10日(日)が投票日で、低投票率が予想されます。参議院の選挙制度をくじ引きにするよう求める世論がふつふつと湧き出す可能性もゼロではありません。

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令和4年度予算案、所得税法改正案、地方税法改正案は国民民主党が賛成して衆議院通過、年度内成立

2022年02月22日 15時51分06秒 | 第208回通常国会 令和4年2022年1月
[写真]皇居桜田門外から見る国会議事堂、3年前の2019年1月2日、宮崎信行撮影。

 日本時間の未明、プーチン大統領がテレビ演説で、ロシア革命直前まで同国領だった「ウクライナ東部」内の2つの人民共和国は独立国家だとし「平和維持軍」を進駐。既に安保理理事会なども開かれ、非難を浴びています。

 新聞社論説委員も間違えていますが、本会議は議席番号の奇遇により、半分が本会議場、半分が議員会館で見る「オンライン国会」が既に実現しています。

 総額107兆円・租税収入65兆円・公債収入わずか35兆円の「令和4年度予算案」は国民民主党が賛成に回り「超与党ペース」で衆議院を通過。年度内成立が確定しました。

 野党が賛成に回るのは異例で、第26回参院選後の連立入りが噂されるのは当然ですが、例えば、岡田克也幹事長・安住淳国対委員長のもと平成23年度第1次補正予算は全会一致だったこともあり、その後も石破茂幹事長のもとでも全会一致はあります。理論上は補正で歳出を120兆円追加し110兆円削除することも可能です。ましてアベノミクスの量的緩和で年80兆円公債を発行することもでき歳出と歳入の組み方は流動化しました。玉木雄一郎代表はおととし年末の党大会後の記者会見で筆者の質問に答えて、第49回衆院選後の自民党との連立を否定はしませんでした。とはいえ、第26回参院選の情勢をどう仮定しても「自公国」の枠組はありえても「自国」はありえず、「自公」にくさびを打ち込むことはなく、部分的な枠組みにとどまります。自動車総連・愛知県連などにとって喫緊の課題のガソリン値下げが至上命題だったことから、玉木さんの言うように「政策提案型」が続くでしょう。

【衆議院本会議 きょう令和4年2022年2月22日(火)】

 「令和4年度予算案」が議題になりました。前日に委員会審査が終わったので、衆議院公報に初めから載っていました。野党は参議院側への配慮から、本会議での「組み替え動議」「修正案」の上程と採決を避けて、討論のみ登壇しました。

 記名投票表決は、国民民主党の前原誠司代表代行や、竹島の日・島根県式典に向かった新藤義孝さんらが欠席。れいわ新選組3人がわざと遅れて登壇し、マイクに向かって主張を述べましたが、細田博之議長が「コロナ蔓延の折ですから私語は謹んでください」と語ると議場は鎮まりました。

 結果は投票総数452、賛成301、反対151の賛成多数で可決し、参議院に送られました。

 商業地の固定資産税軽減特例延長を盛り込んだ「地方税法改正案」(208閣法3号)と「地方交付税法改正案」(208閣法4号)は、自公維国の賛成、立共有れの反対で可決し、参議院に送られました

 賃上げ税制を盛り込んだ「所得税法改正案」(208閣法1号)は、自公国の賛成、立維共有れの反対で、可決し、参議院に送られました。今年は国税のみ重要広範議案なので、参議院でも総理入り質疑は国税だけになります。

●参議院
 あさって、しあさって、7時間コース。
 
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