第49回衆院選で大躍進した日本維新の会が反対に回り、国民民主党は組み替え動議を否決された後に、令和4年度予算案の政府原案に賛成しました。岡本三成財務副大臣の読み違い、総務省などのホームページでの各目明細書ミスがありながら、建設受注統計、自民党京都府連問題がすべて不発に終わりました。堀内詔子ワクチン担当大臣のチームが実は、昨年末に解散式を開いて地方自治体に帰っていたことが質疑で判明しましたが、急遽大臣室の近くに集められることになりました。社会調査研究センターの世論調査では、内閣支持率は52%から45%まで落ちましたので、オミクロン株をめぐる保育園を活用する都市中間層・非正規雇用者の悲鳴が、与党に届いていない風情が、第26回参院選に影響を与えそうな気配です。
【衆議院予算委員会 きょう令和4年2022年2月21日(月)】
「令和4年度予算案」の審議はきょうで20日目ですから、確かに例年より日数は多くて充実審議です。
集中審議5本目「岸田内閣の基本姿勢」。
東京6区で2連敗しながら比例復活した越智隆雄さん。私がきょねん10月31日に聞いた演説では「自民党員の方からもこの選挙中に批判された森友再調査問題で。私は自民党の中から声を上げていきます」と岸田総裁を前にして語りました。が、きょうの予算委員会では、福田赳夫元首相の孫でありながら「宏池会の大平元首相は田園都市構想を掲げ、首相はデジタル田園都市構想を掲げた」と総裁派閥を持ち上げ、森友再調査は触れずじまい。郵政選挙で初当選した5回生。学歴は「東大大学院修了」ですが「慶應幼稚舎→慶応大学経済学部→住友銀行で、総理の孫」というコースなので、かなり微妙な人みたい。英会話は堪能だろうと思いますが。ぜひ衆議院議員にしがみついていただきたいと思います。
国民民主党の質問に答える形で、岸田文雄首相は、1リットル25・1円値下げを念頭にしたガソリン揮発油税法のトリガー条項の凍結解除を、松野博一内閣官房長官に検討させることを、初めて明言しました。
この後、締めくくり質疑があり、予定通り午後3時1分に根本匠委員長が質疑終局を宣言しました。
政府に対して撤回のうえ編成替えを求める動議は、立憲、国民、共産が提出。立憲は「コロナ対応の病院などベーシックサービスの拡充」、国民は「ガソリン値下げ」共産は「富裕層優遇税制の見直しを見送った」としました。
討論では、自民党の島尻亜伊子さんは自民党だけを代表して賛成、立憲は「新しい資本主義が何を意味するかいまだに分からない」と反対を表明。日本維新の会は「賃上げ税制よりも解雇規制緩和をするべきだ」と反対しました。公明党の輿水恵一さんは公明党の意見として政府原案に賛成しました。
採決の結果、共産提出動議は共産のみ賛成、国民動議も国民のみ賛成。立憲の動議には立憲民主党以外の野党も賛成したように見えましたが、否決。
この後、政府原案を採決。自民党、公明党、国民民主党が賛成し、立憲民主党、日本維新の会、共産党が反対して、政府原案通り可決すべきものだと決まりまいた。総額107兆円、租税65兆円、公債36兆円、予備費5兆円。
今回の審議で更迭された政府関係者はゼロ(経済安保前室長である経産官僚が文春報道の2日前に出向元帰任)。
なお、国民民主党は質疑者は前原誠司さんの予定でしたが、質疑者が玉木雄一郎代表、動議提出・討論・採決は、古川元久国会対策委員長に差し替えました。
今回は「地方公聴会に代わる参考人質疑」というものが開かれましたが、各党推薦の結果、松井孝治・井出英策両慶大教授ら中央の論客も登場しました。
れいわ新選組は委員外質問を申し出ましたが、認められませんでした。
後半国会に持ち越そうなのは、経済安全保障法案の先取り質問と、熱海盛り土問題を受けた規制法案だけのように思います。経済安保前室長の更迭についての調査は内閣官房が引き続きやりますので、再燃すると思います。
【衆議院財務金融委員会 同日】
「所得税法改正案」(208閣法1号)は5日目。国対が重要広範議案4本のうち1本に指定しましたので、首相入り質疑が開かれました。立憲民主党の末松義規さんが「30年間の分析に立てば、まずはサラリーマンの消費拡大。そのための賃上げが必要だ」と主張しました。「労使交渉に任せていられない」「最低賃金の上げはやっているふりをしているだけだ」と名指しをさけつつ批判しました。かなり長時間演説した後、岸田首相が答弁。「委員ご指摘の通り、賃上げの機運を盛り上げるためにも官が雰囲気の呼び水をつくるべきで、賃上げ税制、公的価格の引き上げの委員会などの政策を表明させていただいた」と答弁しました。
総理入り質疑が終わり次第、質疑終局宣言。討論し、採決のはこび。地方財政に関する決議もありそう。
[追記17時半]総理入り質疑は午後5時を過ぎてから終了。討論では、岸本周平さんが国民民主党が賛成すると表明。採決の結果、自公国の賛成、立維共の反対で可決すべきだと決まりました。
この後、附帯決議で、前年度の法人税収が投資控えのために増収になる決算を財務省が減収と見誤ったことをおそらく念頭にして、税収見積もりは経済構造の変化を不断にチェックすべきだとした内容を含んだ決議が全会一致で採択されました。金融所得課税への言及はなかったようです。散会。[追記終わり]
【衆議院総務委員会 同日】
「地方税法改正案」(208閣法3号)と「地方交付税法改正案」(208閣法4号)の審議は5日目。質疑は3巡目。
立憲民主党の岡本章子(岡本あきこ)さんは「統計が良くなってこそ、議会も良くなる」と総務大臣に迫りました。
質疑が終われば、すみやかに討論を略して、そのまま採決のはこび。
[追記 17時半]
討論があり、吉川元さんが「立憲民主党は反対する」としました。この後、地方自治体改革が立党の原点である日本維新の会が「予算案に反対したのだから、地方税・交付税法案にも反対すべきだという声があるだろう」としつつ「しかし、臨財債(臨時財政対策債)の発行を金子総務大臣は減らし、さらには来年度はゼロにする道筋をつけた」と絶賛に近い討論をしました。
この後、「208閣法3号」、「208閣法4号」が各々採決され、自公維の賛成、立国共の反対で、可決すべきだと決まりました。
そして、「持続可能な税財政制度の確立を求める決議」が全会一致でなされました。次回は未定。同委員会は選挙、電波で2つ日切れ法案があります。おととしは郵貯、きょねんはテレコム、ことしも官房秘書課の各目明細書ミスが出ました。ようやく混乱が収まった印象。返す刀で総務省統計局が国交省をビシビシ叱咤激励するような展開になると国家のためにはよさそう。
●衆議院本会議はあす開催です。
【参議院 同日】
ありませんでした。
【参議院二大会派国対委員長会談 同日】
自民党の岡田直樹国対委員長(元官房副長官)と立憲民主党の難波奨二国対委員長(JP労組)の2人が、祝日明け木曜日(2/24)、金曜日(2/25)に基本的質疑をすることを決めました。この2人の合意に、公明党、国民民主党、共産党、議運委員長、予算委員長が問答無用で付き従うことが参議院のルールです。
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