【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

「普通の言葉が伝わる政治」から30年、羽田次郎に首相「答弁を差し控える」の定義「国会の権能に属することであり政府の立場うんぬん」

2023年01月24日 18時27分42秒 | 第211回通常国会(2023年1月)
[画像]新設のアクリル板を確認してマスクを外して「羽田スマイル」を披露した羽田次郎参議院議員、きょう2023年1月24日、参議院インターネット審議中継からスクリーンショット。

 先週のフリージャーナリストのライブ配信で、宮崎信行とその亡父が「町工場の経営者だ」という発信がありましたが事実無根です。「工作機械販売会社の経営者」です。両者を比べれば、人件費が安く営業利益が高く出やすいので、失われた30年を平然と乗り切ることができました。資本主義の芸術家を自任しており利益率がらみの理論の齟齬は看過できません。

 「普通の言葉が伝わる政治」の羽田孜代表の「新生党」が結党直後に55議席をとり政権交代してから30年。岡田克也さんが官邸に出かけた際、秘書官室で小沢一郎幹事長が珍しく上着を脱ぎ「孜ちゃんが言うことを聞いてくれない」とうなだれ、執務室で羽田さんは「総理へのファクス」を貪り読んでいました。

 おととし4月の補選では、長野第3都市「上田市」の自民党出陣式で、当時7歳だった現職自民県議が「この信州・上田の地が、かつて日本の政治史を変えるドラマの舞台になったことは承知していますが、地元の地方創生も考えてください」と絶叫しながら締めくくりました。大人たちはここぞというときだけ、「羽田孜という人は、平成5年ごろに何をした人か」をこども達に教えるようで、羽田次郎さんは圧勝しました。民間経済はいまでも健在で一言居士の賢い人が多いように思える地域ですが、東京で生まれ育った世襲だから、孜さんや次郎さんは信州人の中でもしゃべりがうまいということもあると思います。

 総理の子と言え野党のヒラ議員ですが、外交防衛委員兼決算委員という、比較的良いポジションで残りわずか2年半の任期で勝負する羽田次郎。委員を代表して本会議で「岸田総理の答弁を差し控えるとはどういう意味か」と問いました。

【参議院本会議 きょう令和5年2023年1月24日(火)】
 「令和3年度決算承認案」が鈴木財務大臣から説明され、全閣僚に対する代表質問がありました。

 自民党の和田政宗さんは「決算より前に、総理の欧米訪問について質問する」と語り、衆議院議員に先んじました。

 アクリル板新設でマスクをとった羽田次郎さんは「立憲民主・社民の羽田次郎です」と語り「本来なら、昨年秋に審議入りしているはずだったが、財務大臣外遊の連絡ミス、相次ぐ閣僚辞任で遅れた」と批判しました。

 そのうえで、岸田首相の口癖「答弁を差し控える」の意味を問いました。首相は答弁で「国会の権能に属することであり政府の立場からお答えすることが適当でないと考えられるもの、また外交や危機管理、市場への影響などの観点からお答えすることが適当でないと考えられるもの」では答弁を差し控えるとしました。

 共産党の吉良よし子さんも、衆議院側に先だち、安全保障3文書の閣議決定を批判。首相は「国家安全保障戦略等の決定の在り方についておたずねがありました。3文書については、憲法及び国際法の範囲内で行うものであり、専守防衛の考え方を変えるものではありません。NSC4大臣会合、有識者会議、与党ワーキングチームで1年半議論してきました。その集大成として3文書の閣議決定のかたちでお示ししました。進め方に問題があったとは考えておりません」と述べました。

 れいわ新選組は昨夏から「登壇会派」となっています。バッターは山本太郎代表だけが決められるという党内事情のようです。きのう新議員として紹介された大島九州男さんが登場しました。

 大島さんは「国の借金という言い方は、借金は悪いものだという感情を利用しており、やめるべきだ」と述べました。財務大臣は「国債は議員ご指摘の通り、政府の負債でありますが、国債の償還や利払いに当たっては国債の保有の有無にかかわらず国民の皆様に税負担のお願いがある借金だと認識している」と語りました。

 この、鈴木善幸ならぬ鈴木俊一大臣と官僚の「国民」が寿命があるものかないものか。明治維新で日本に入った単数形・複数形同形の英語「The Nation(ネーション)」を60歳乃至80歳で死ぬ人間なら借金だし、日本国と政府と国民は千代に八千代に寿命なく継続するのなら、60年償還ルールという概念が根底から間違っており、負債に過ぎず、断じて借金ではありません。例えば、私は自分が生まれる前にできた山陽新幹線の債務を自分の税負担で返しているとしてもむしろ進んで返したいとしか感じません。

【参議院決算委員会 同日】
 「令和3年度決算承認案」1日目。財務大臣の説明と会計検査院長の報告。

【衆議院議院運営委員ら 同日】
 細田博之議長を議長公邸にたずね、統一教会の箔付けに関して1時間ほど質疑しました。今後の対応は国対委員長預かりに。

●閣議は前日に繰り上がっており、開催されませんでした。

●あすの予定
 代表質問1日目。

このエントリーの本文記事は以上です。
国会傍聴取材支援基金の創設とご協力のお願いをご一読くださり、ご寄付をお願いします。 
このニュースサイトは以下のウェブサイトを活用しています。
Ⓒ2023年、宮崎信行 Miyazaki Nobuyuki、宮崎機械株式会社。