【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

フィンテックとビットコインの改正銀行法、発達障害者支援法成立【きょうの国会】【追記有】

2016年05月25日 18時15分34秒 | 第190回通常国会(2016年前半)

 会期末が近づいてきたこともあり、いつもより簡潔にさせてもらいます。

【平成28年2016年5月25日(水)参議院本会議】

 「平成26年度予備費使用調書その1」「平成26年度決算」「昭和19年度・20年度朝鮮総督府決算」は自公の賛成多数で承認されました。民進党はことしも反対に回りました。

 「フィンテックとビットコインを推進する改正銀行法」(190閣法43号)が成立しました。公布から1年以内の政令で定める日に施行ですので、来年4月1日あたりでしょうか。日経新聞を見ていると、最近の日本は「五大銀行」だそうですが、チェーンブロックなどの技術があるIT会社が、1つの銀行に買収され、完全子会社になるかもしれません。IT社長はチャンス到来、銀行は1社が画期的なIT技術を囲い込めます。

 「改正発達障害者支援法」(190衆法36号)が成立。自閉症患者とその家族と地域の連係について、自治体が計画を立てたり支援したりするようになります。

 「改正障害者総合支援法」(190閣法39号)が成立しました。「65歳の障害者」はぜひチェックしてほしいと思います。平成30年4月1日(日)施行。

 「改正特定商取引法(特商法)」(190閣法44号)と「改正消費者契約法(消契法)」(190閣法45号)が成立。前者は1年半以内、後者は1年以内に施行。いつもどおり、消費者庁執筆法案は波静かな成立で、あまり国会審議が報じられることはありませんでしたが、包括的抜本的な改正で、この間の新しい判例も法律の中に盛り込んでいます。

 「改正裁判所職員定員法」(190閣法12号)が成立。

 「日独租税協定の承認を求めるの件」(190条約4号)、「日本チリ租税協定の条約承認を求めるの件」(190条約5号)、「日印租税協定の条約承認を求めるの件」(190条約6号)が両院承認されました。

【同日 衆議院災害対策特別委員会】

 国政調査である委員派遣の視察報告を野田聖子委員長自ら行い「阿蘇大橋崩落現場を視察し、村長や国土交通省九州地方整備局から話を聞いた」としました。この後、質疑がありました。

【同日 衆議院厚生労働委員会】

 政府が最後に提出した「臨床研究法案」(190閣法56号)の質疑がありました。採決は次回以降。

【同日 衆議院法務委員会】

 別エントリーで速報しましたが、「差別解消推進基本法案」(190衆法48号)が唐突な質疑。共産党の清水忠史さんが猛反発。私は清水さんに共感しました。この質疑の中で、「差別」という言葉について、法律・行政上の定義が無いことが分かりました。自民党の山口壮さんは「国会議員なら分かる」という意味不明な答弁。まだ公布されていませんが、今日現在の日本では、ヘイトスピーチの方が法的定義が整っているとのことです。こんな法案絶対に許せません!

【同日 衆議院財務金融委員会】

 一般質疑。

【同日 参議院行政監視委員会】

 一般質疑。

【同日 参議院災害対策特別委員会】

 一般質疑。 [追記 27日午前9時50分]この後、「平成28年度熊本地震の義援金の差し押さえ禁止法案」(190衆法44号)が衆側委員長から説明され、可決しました。[追記終わり]  

このエントリー記事の本文は以上です。

(C)宮崎信行 Nobuyuki Miyazaki 
(http://miyazakinobuyuki.net/)

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部落差別解消法案が審議入り、共産党「同和行政の亡霊が復活する」と猛反発

2016年05月25日 09時46分23秒 | 第190回通常国会(2016年前半)

【平成28年2016年5月25日(水)衆議院法務委員会】

 「差別の解消の推進に関する法律案」(190衆法48号)の質疑が午前9時から始まりました。

 法案は、先週19日(木)に提出され、20日(金)に当委員会で趣旨説明されていました。

 提出者は自民党の二階俊博総務会長、民進党の逢坂誠二議員ら合計9名。歴史的に被差別が存在しない、北海道や沖縄県の選出議員が目立ちました。

 質疑では日本共産党の清水忠史さんがきょうの採決が見送られたとながらも、大阪府内などの地方議員から同和行政の亡霊が復活するとの声が寄せられ、自民党員などからも賛同する声があるとしました。

 清水さんは「理念法をつくることが差別を認定することにつながる」「法律上も行政上も、という言葉の定義がない」「関係者たちのこれまでの血のにじむような努力を踏みにじる」「断固廃案にすべきだ」と発言しました。

 質疑は9時43分で終わり、そのまま散会しました。

 以下は、当ブログ内から関連エントリーの紹介です。

「差別解消推進法案」を自民党と公明党が提出の動き まったく不要で、提出すべきでない

2016年05月13日 08時18分56秒 | 第190回通常国会(2016年1月~)

 「差別解消推進法案」というものを、今国会(平成28年2016年6月1日までの2週間)に提出する動きがあることが分かりました。

 公明党法務部会と、「差別解消推進基本法検討プロジェクトチーム(遠山清彦座長)」が、「同法案の審査を行い、了承した」と、5月13日付公明新聞が報じました。

 自民党の山口つよし衆議院議員は自身のウェブサイトの3月12日付記事

 「自民党本部において、問題に関する小委員会が設置され、私が委員長」 に就任したとして、「特別措置法により物理的側面はかなり解消されたと言われますが、心理的側面がまだ残っています。過去、自民党から人権擁護法案としてとして国会に提出されるも、成立に至りませんでした。意識の濃淡も地域によってかなり温度差が有ります。かなり意見の集約の難しい問題です」と書きました。

 山口さんの記事に添付されている、自民党の内部資料とおぼしき資料には、平成14年3月に人権擁護法案を提出したという説明と並立する格好で、平成14年3月に「地域改善対策特定事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律」が失効した、と記述されています。

 これからして自民党と公明党が提出しようとする法案は、差別・同和問題に関係した、何らかの対策事業を国費で補てんする方向性をもった施策に関するものと考えられます。

 被差別は、現在我が国に1平方メートルたりとも存在しません。また、差別は、世界の歴史において、江戸から昭和にかけた日本にしか存在しない差別です。

 公明新聞によると、解放同盟の組坂委員長は「差別は社会悪との認識を社会全体に根付かせることが重要だ」と語ったようです。しかし、差別の存在そのものを知っている国民は半数以下と考えられ、根付かせる方が社会悪です。例えば、現に東京都庁には「」という文字が入った部署はありません。

 基本的には利権復活をめざした立法とみるのが当然です。おそらく、提出だけして、採決せずに、継続審査にして、第24回参議院議員通常選挙の「ニンジン」としてぶら下げようという思惑が透けて見えます。

 私は法案全文や骨子を見ていませんが、提出そのものを止めさせるべきだと考えます。 

 このエントリー記事の本文は以上です。