終わりのない話;Never ending story
Georges de La Tour. Le Tricheur à l'as de carreau, details, Musée du Louvre, Paris,
17世紀、画家が使える顔料、絵の具の種類は限られていた。今日のように化学的に合成された絵の具はほとんどなかった。しばしば絵の具の製法は、親方、工房の秘密だった。その中で黄色、とりわけ明るい黄色 Jaune Brillantは当時の画家たちが欲しがった色だった。金色を表現するに使ったり、光の効果を出すのに必要だった。
17世紀、イタリアでは画家は、主として鉛アンチモニー lead antimoniate から作られた黄色を使った。これはしばしばナポリの黄色 Joune de Naples, Naples Yellow と称された。最初、ヴェスビアス山の中腹で発見された鉱石から作られ、アンチモニー、明礬、鉛、海水塩などと混合された。その配合は画家によって異なり、徒弟にもなかなか伝授されなかった。
ラ・トゥールは,黄色の顔料を『ダイヤのエースのいかさま師』の召使いの帽子に使っていて、「ラ・トゥールの黄色」ともいわれている。
~~~~~~~~~~
ところで、このブログは、どこを目指しているのですかと聞かれることがある。書き手の管理人としてはテーマはかなり限定してきたつもりだが、それぞれの記事をみていると、拡散して非常に分かりにくいことと思う。元来、ブログ筆者のメモ書き(心覚え)をかなり意図して開設している。
とりあげられているいくつかのテーマ、たとえばラ・トゥールやレンブラントの話については、これで終わりなのか、行く末、結論を尋ねられる。実はどれもまだ終わっていないどころか、これから果てしなく続きそうだ。
時間さえ許せば、記事としてメモしておきたいことは限りなくある。多分、遠からずブログが閉じられるまでは際限なく、多くの読者にとってはよく分からないままに続くことだろう。いわば、色の異なった落ち葉が積み重なっていって、小さな山になるのを待つしかない。しかし、人生の時間も少なくなってきた。
対面しての話ならば、かなりのことをお話しすることも可能だが、ブログというメディアはそうした目的にはあまり適していない。一回の記事は短く、思考は断片的になりがちであり、ひとつの脈絡や思想を背景とした話は難しい。ブログを離れる時が近づいている。