時空を超えて Beyond Time and Space

人生の断片から Fragmentary Notes in My Life 
   桑原靖夫のブログ

日本で安住できる所とはどこなのだろう: 地域再生の視点

2014年09月12日 | 午後のティールーム








旅の風景から



 広島の土砂災害を始めとして、このところ日本各地で気象異変による災害が増えている。大雨、突風などその原因はさまざまだが。旅先でふと目にした雑誌で「(アメリカで)安全に住める所はあるか」" Are there any safe places left to live?" TIME. September 8-15, 2014 という記事に出会った。

 記事の内容は、アメリカ合衆国本土で、州、郡(county) 別に自然災害の少ない土地を順位づけたものだ。自然災害は竜巻、洪水、山火事、ハリケーン、地震を対象としており、その被害の頻度によってアメリカ全土を順位付けしている。たとえば、最近は日本でも発生する竜巻についてみると、発生頻度の高い地域はテキサス州北部からネブラスカ州まで、アメリカの国土のほぼ東半分に多数発生している1950年以来の死者5,304人)。ハリケーンは北大西洋西部に発生する熱帯性低気圧で、風速32.7m/秒 以上のものとされる。大体6月から11月に発生するが、メキシコ湾岸諸州から東部の大西洋岸沿岸に被害をもたらす(1996年以来の死者1,954人)。地震は北米地殻プレートの重なり合うカリフォルニア州と東部大西洋岸諸州に集中して発生する(1950年来の死者273人)。ちなみに山林火災の死者は1996年以来99人。洪水による死者は1998年以来、280人。

  これらの自然災害の頻度が最も少ない土地として選ばれた上位3位をみると、1)モンタナ州スウィートグラス郡、2)アイダホ州ワシントン郡、3)モンタナ州ウイートランド郡となっている。たとえば、全米第一位に選ばれたモンタナ州スウィートグラス郡は中西部カナダ国境に近い景色の良い山岳地帯で、太平洋岸の山火事が頻発する地帯からは遠く、東部の洪水などが頻発する地域からも遠く離れている。

 逆にワースト3位になっているのは、1)ニュージャージー州オーシャン郡、2)カリフォルニア州オレンジ郡、3)ニュージャージー州ケープ・メイ郡である。たとえば、リスクの多いニュージャージー州オーシャン郡は大西洋に面し、高潮、ハリケーン・サンディなどの被害を受けた地域である。同じ州のケープ・メイ郡も高潮、ハリケーンなどの被害を受けている。2位のカリフォルニア州オレンジ郡は山火事や洪水の被害を受けたことが多く、日本でも時々メディアに登場するのでご存知の方もあると思う。全体として、竜巻、ハリケーンなどの被害が比較的少ない西部地域が比較的安全と位置づけられている。ただし、カリフォルニアは例外的にリスクが極めて高い。

 総じて、人口が多く、密度が高い地域は、安全度は低い。逆に人口の少ない地域は、一見自然条件などは厳しく思われるが、居住場所としての安全性は高い。ここに取り上げられている自然災害などの観点に加えて、大気汚染、犯罪の発生率、原発の所在
などを加えると、どうなるだろうか。


 この記事を読みながら考えた。北から南まで、見方によればいまや災害列島のような感もある日本で、同様な基準で各地の安全性を評価すると、どういうことになるだろうか。人口減少下で地域の再生・創生を目指す日本にとっても、新たな視点からの地域評価基準と政策導入はきわめて重要な課題となる。この国で安心して住める所はどこなのだろう。
 


 
 


 

 


追記(2014/09/16)
 午前0時28分ころ、最大震度5弱の地震が関東地方に発生。東京も今後安心して住める地域とはいいがいたいことを図らずも証明した。 

コメント
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