時空を超えて Beyond Time and Space

人生の断片から Fragmentary Notes in My Life 
   桑原靖夫のブログ

インターミッション(幕間、まくあい):シベリウスを聴く

2015年03月09日 | 午後のティールーム

 

KULLERVO 
Catalogue 


  今年はシベリウス生誕150周年。世界中でさまざまな催し事が行われている。思いがけないご招待をいただいて、コンサートホールへ出かけていった。曲目は「クッレルヴォ」(KURLLERVO)。フィンランドの叙事詩「カレヴァラ」(カレワラ)による全5楽章の大作だ。

 シベリウス26歳の時の作品であり、ベートーヴェンの交響曲第九番くらいの長さがある壮大な作品だ。ソプラノ、バリトン、そして大規模な男性合唱を伴っている。この男性合唱団の存在は圧倒的な迫力を作品に加えている。

 各楽章にはタイトルがついている:
I. 序奏 アレグロ モデラート
II. クッレルヴォの青春 グラーヴェ  
III. クッレルヴォと妹 アレグロヴィヴァーチェ 
IV. 戦いに向かうクッレルヴォ アッラマルチア 
V.クッレルヴォの死 アンダンテ

 ストーリーは劇的だ。とりわけ、第3楽章は25分近い壮大なオーケストラの響きと合唱に圧倒される。合唱も劇唱といってよい迫力に満ちている。滅多に聴くことのない激しい音響、オペラ的構成など、しばらくぶりに心が高揚した一夕となった。この作品は、日本ではあまり演奏に接する機会(前回は2007年とのこと)がないだけに、感動的だった。同時に演奏された交響詩「フィンランディア 作品26-7」は、お馴染みだが、やはり名曲中の名曲だ。かつて帝政ロシアの支配下にあったこの国の存在、そしてその後のフィンランドが凝縮されている。


 彼の地で長く活動された松原千振氏(東京混声合唱団正指揮者)とマッティ・ヒュヨッキ氏(シベリウスアカデミー合唱指揮者クラス教授)のトークで、男性合唱団の歴史・背景が語られたことは、興味深かった。

 ヘルシンキの地は、管理人にとっても衝撃的な思い出
が残る地でもあり、当時訪れたシベリウスの記念碑、フィンランディア・ホールなどの記憶も眼前に甦る。この大作に接して、友人への鎮魂の思いがこみ上げてきた。

Sibelius monument, Helsinki

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