すぷりんぐぶろぐ

桜と絵本と豆乳と

キセキのようなこともあった

2015年05月16日 | 雑記帳
 運動会が終わって一週間。今頃振り返るのもなんだが、いい運動会だったなと思う。暑くもならず、風もないまま、実にいいコンディションで、進行も予定どおり、何より子どもたちが整然としていた。「応援のいい運動会」がいい学校の一つの基準という話を聞いたことがある。その意味では高評価だなと自慢できる。


 ここ数年は当日の天気が気になっていたが、今年は本当に安心していられた。自分の名前に「晴」があるので、通算するとかなりの確率で屋外でやれたが、この10年では二度は完全に屋内、それから途中からの体育館実施も二度あった。今の学校ではそれは無理なので順延となる。しかし2年続けてクリアできた。


 いい締めくくりに安堵しながら、運動会の思い出を二つばかり書きつけてみよう。上の娘が生まれた年に転勤した山の学校は、雪消し(グラウンドに穴を掘る)から新学期が始まった。4月末の実施に向けて集中して取り組むことができた。直線100メートルがとれない狭さだったが、活気のある様子が思い出される。


 一番の思い出は、会が終わった後に保護者たちと体育館で車座になって酒を酌み交わしたこと。体育館横にはまだ雪が残っていて、バケツに入れてビールを突っ込みながら飲み、語り明かしたことは今でも忘れられない。会場使用をめぐり、人の「度量」ということも考えさせられた。その学校も来春には閉校となる。


 転勤し学級担任を外されて教務主任になった春のこと。朝から怪しい雲行きだった。しかし決定時刻の6時には降っていないのだから、当然決行判断し花火が上がった。ドオーーンと鳴った瞬間に、ザアーーッと強い雨が降り出した。「さあ、どうする、お前が決めたんだぞ」と校長が口を開いた。「えっ」と思った。


 雨はいったん小振りになってはいるが、まだ止んではいない。職員室には問い合わせの電話がなる。予定通り実施と返答しながら、屋内でも可能な競技をピックアップし変更案も組み立てて印刷した。小雨が時折降る中、同僚たちはグラウンドに行きコーナーの水分を取り始める。ほどなく子どもたちが登校してきた。


 どんよりとした空、時折の小雨の中の開会式。審判長の役目で挨拶に立った。「少しぐらいの雨を、吹き飛ばすような気持ちで頑張ろう」と鼓舞した。その意地を汲んだかのように、空は回復し、無事に運動会を終えられた…「奇跡の運動会だった」と昔話をしてくれる人もいる。それが現任校での21年前の出来事だ。