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桜と絵本と豆乳と

前世はネコではない…

2015年05月29日 | 雑記帳
 遠足の引率で美術館に行ったら、写真展が行われていた。「ネコライオン」という、まさに猫好き、動物好きにはたまらない内容だと思う。自分にはまったく縁がない世界ではあるが、この企画はなかなか面白いと思ったし、魅せる写真もいくつかあった。「○」と「△」を比べる発想は単純でありながら、奥が深い。


 そういえば、先週の新聞に秋田市の動物園長である小松守氏が、その写真展のことを取り上げていたことを思い出し、読み返してみた。「ネコとライオンの織り成す相似形的なしぐさが、この写真展の魅力の一つだ」と書き、なかでも「食」と「子育て」について、詳しく語られている。その比較は、結果的に人間に及ぶ。


 近縁にある二つの動物だが、ネコは野生からの距離が遠ざかったため、表情には明らかにライオンとの差が出る。この点から小松園長は「人」に思いを馳せる。曰く「人という動物は人工的世界に慣らされ、どう変貌していくのか。自然の中で生きてきた昔の人々に比べて、どれほどの相似形を維持していくのだろうか」


 「生きる」ことは変化することである。そして、私たちは個別の変化とともに、人間という種の変化の中に存在することは確かである。考えても果てないことだろうが、なぜか懐かしいと思える風景があったり、突然思いもかけぬ衝動に突き動かされたりするのは、心の中に存在する本能的部分かなという思いがよぎる。


 「あなたの前世はネコだ」と妖しげな先輩に言われたことがある。全く信じていない。今回のネコの写真を見ても感じなかった。自分でも撮ろうと思ったことはない…と書いて、一枚だけあったことを思い出した。長崎へ旅したときに、大浦天主堂を見上げたネコにシャッターを切った。あの感覚は…同化ではないな。