すぷりんぐぶろぐ

桜と絵本と豆乳と

毎日ちょっとずつ磨く

2015年10月16日 | 読書
 【2015読了】99冊目 ★★
 『コチャレ!』(上大岡トメ 講談社)


 『キッパリ』や『のう玉』も読んでいるので、結構この人を好きなんだなと改めて思う。単純明快さと許容範囲の広さが魅力かな。さて、「コチャレ」とは何ぞや。それは、帯にしっかり書かれている。「すぐできる『ちっちゃいチャレンジ』のこと」。「失敗してもリスクが少なく、成功した場合は、ごきげんになれる」


 いかにも著者の出しそうなアイデアだなと思いつつ、ページをめくる。Facebookの中から108を選んで章立てしたようである。第一章「今からここから」、いの一番は「歩幅をいつもより7センチ広げて歩いてみる」。なるほど確かに小さいチャレンジだ、次は「優先順位をつけよう!ときにはあきらめも必要」


 こんな調子で、まあ「気分転換」「ストレス解消」「健康保持」「うつ防止(笑)」のための、一言処方箋が続いている。いったいこれは「チャレンジ」と呼べるものか。もちろん抑えめにした「コ」がポイントなのだが、そして「コチャレ」というネーミングのよさは十分感じるのだが、大半のことはブラッシュアップだ。


 「15光るものを磨こう。気分も明るくなるよ。」よくある気分転換法である。説明の終わりの「自分のココロも、ついでに磨いちゃえっ!」という力強い一言がテーマと言ってよい。「33サイフを整理しよう」といった具体的な行動も、「52なんでも優劣をつけない」という思考指針も、心に溜まったゴミの消去なのだ。


 巻末に脳研究者池谷裕二との対談がある。共著もある二人のこの組み合わせは編集の妙だ。池谷氏の「コチャレはスモールステップ」という解説より心に響いた専門用語「セルフハンディキャッピング」。失敗に備えて保険をかけようとする心理らしい。実力のなさを自覚しきれない者の悲しい烙印…言い当てられた。