すぷりんぐぶろぐ

桜と絵本と豆乳と

ドッグで読書三昧

2015年10月30日 | 読書
 【2015読了】106冊目 ★★
 『助け合う魂を心に吹き込む』(船越準蔵  公人の友社)


 この夏に他界なされた大先輩の著書。いわゆる「可奈子シリーズ」の10冊目となる。あとがきに記されている出版社の社長の声がある。

 「『可奈子の本は、いまの教育風潮に反するもので現実的ではない』という評がある。だからこそ、この本は絶版にしたくない。」

 この本に書かれてあることを端的に言えば、助け合う人間性を大切にということなのだ。
 それが現実という壁に阻まれるような社会に私たちは生きているということか。

 教養に満ちた先生が繰り出すたくさんの言語は、子どもの幸せというただ一点に注がれている。
 現役時代の同僚マル先生が語るエピソードは、実に納得させられるものばかりだ。



 【2015読了】107冊目 ★★★
 『風が舞いあがるビニールシート』(森 絵都  文春文庫)

 9年前の直木賞受賞作。さすがだ、読ませると思った。
 収められている6編がまたバラエティに富んでいるし、一つ一つ念入りに背景が描かれている。
 一言で言えば「価値観」の対立や対比を軸に物語が動いていて、それらはとても現代的だ。
 個人的に印象に残るフレーズが二つ。前後の脈絡がないので、何の意味か想像もできないだろうが…。

 (犬の散歩) 「犬は、私にとっての牛丼なんです」


 (ジェネレーションX) 「何もかも投げ出すようなバカさ加減はキープしたいよな」




 【2015読了】108冊目 ★★
 『世界音痴』(穂村弘 小学館)


 自分にとっては衝撃の『本当はちがうんだ日記』を読んでから10年くらい経つ。
 それ以前のエッセイなどが集められている本だが、衝撃のもとになる要素がいっぱい詰まっている。

 書名「世界音痴」とは何かが、その要素を物語っている。
 勝手にその意味と捉えた二文を引用する。

 世界の「自由さ」の中に含まれた「自然なルール」がわからないと、人間は一言も口を利くことができなくなる。

 自分に向けられた優しさに対する、適正な喜びや感謝の度合いを、一体どうやって人は計っているのだろう。


 ある場面では「テンネン」に見えたとしても、それは対極にある性質だ。