寅さん公園から『矢切の渡し』を望む江戸川の渡しに、恋を預けた二人です。
細川たかしの「矢切の渡し」が、ヒットしてから久しい。
だが・・・、柴又を訪れた機会に、”渡し”を見てみたいという方が後を絶たない。
枝垂れ柳の木の下に、丸太の船着き場「連れて逃げてよ・・/ ついておいでよ・・/ 夕暮れの雨が降る」
「息を殺して 身を寄せながら・・・・・」
男と女の世界を、切々と歌い上げた、矢切の渡しです。
細川たかしに乾杯。
東京下町にも晩秋、ススキの穂は、白く風にそよいでいでいました。
愛し合う男と女 、江戸川の土手を行ったり来たり
矢切の渡しに、恋を預け対岸へ渡ろうとするカップル。
二人の仲を、親とて引き裂く事は出来なかった・・・・・。
寅さん会館の屋上から見た矢切の渡しは、夕暮れの雨にはほど遠いにしても
松戸の風と、柴又の風が、
江戸川の川面を流れるようにそよいでいた。
「見捨てないでね…/ 捨てはしないよ…
北風が泣いて吹く・・ / 舟にまかせる定めです」
柴又から対岸松戸の船着場に舟は、到着しようとしています。「親の心に そむいてまでも/ 恋に生きたい 二人です」
「向こう岸の松戸へ渡れば、もう二人だけ!
生まれ育った柴又捨てて、恋に生きたい二人です。
揺れながら、艪(ろ)がむせぶ、明日へ漕ぎ出す二人です」
石本美由紀 作詞
船村 徹 作曲
いやはや憎らしいほど、この矢切の渡しの素朴な風景に、男と女の愛し合う真髄が、
縄文人の心をとらえて離さない。