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(182)若水を汲む その2

2006年01月12日 | 文学  コラム・エッセイ

 

『若水を汲む}  

秩父の冬は厳しい。
氷点下に下がることは珍しくない。
井戸は、厚く氷が張るため数日前に若水汲みとして穴あけ作業をする。これが勇ましい。チョットやソットで氷に穴が開かない。20cm以上はあるだろう・・・氷の厚さ。
薪割り用の斧で打ち砕く。
最初の斧を頭上高く振り上げ氷に打ち込むと張り詰めていた氷全体に稲妻状に模様が入る。
斧を振り落とす毎に氷片が飛び散る。
5~6回と繰り返すうちにヤット穴があく。
そしてどっと水が吹き上がる。

このようにして既に開けられていた氷穴から柄杓で若水を汲む。
何回かすると手桶に一杯になる。
次の人と交代する。
水がひしゃくで水面が波で動いているときはよいが僅かな交代時間でも氷が走る。
皆さん身震いしながら汲み終えて足早に家に急ぐ。

我が家では、母が帰りを待ち構えていて、鉄瓶に移しお湯を沸かしたり、雑煮などの調理に利用した。
幼い頃でしたから囲炉裏があり、薪をくべて〔補給〕調理用のなべや鉄瓶を掛けた。
火の周りでは角餅が鉄器の上に並べられ黄金色に焼かれる。焼きすぎて黒くなることもしばしば。
お勝手では自家製の正月料理〔煮しめ、黒豆、キントン、コンニャクなど〕が準備され
食卓に並べられるのを待つ。
雑煮も出来上がる。
雑煮とお茶を神仏に供えお正月が迎えられたことを報告する。
『イタダキマス』で家族揃って食事をする。
若水を汲み神仏に供え五穀豊穣、家内安全、健康長寿を願い、こうして新しい年を迎えた。

都会生活が長くなった。
雑煮を食べ歳を重ねるたびに若水汲みを思い出す。
ミゾレ交じりの朝早く、姉と若水汲みに行ったこと・・・・・・・伝承されていた風習が懐かしい。
        
 (end)


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
今日のメモ

 数日前、新聞に『内閣政府広報室モニター・平成18年度』募集の内容が掲載されていた。
時間的に余裕もあるし、社会の勉強をしてみようと思いパソコンから応募した。
募集人員は全国で550名。選考方法は、地域的、年齢、応募の動機を400字以内にまとめて応募すると言う簡単なもの。
 応募の動機の内容は、今問題になっている『マンショウ耐震強化偽装問題について』簡単に記入した。
以前東京都のモニターをしたことがありますが送られてくるの
 モニター資料をを見るだけでも社会の動向を知る上で非常に参考になった。
国政モニターにトライしてみた。

 

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15 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
若水 (真締 正直)
2006-01-12 09:02:37
20センチの氷を割って若水を汲む。



恐れ入りました。実を言うと若い頃の私は、

古い行事やしきたり等には無関心でした。

今になって後悔しています。回りに年寄りの居た時に色々聞いておけば良かった。と

70歳になって若い人たちに話をしても、昔の私と同じ反応です。
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縄文人さん....おはよう御座います. (気楽*道楽*娯楽より.)
2006-01-12 09:47:05
いゃいゃ 10年前の 詩集が!!!1



実は お気楽も 一冊の自己本を書こうと始めました.

途中 東京の娘が お気楽の HPにブログを

貼り付け て ボケ防止に書きなさいと....

書いている内に 今では 420話 コピ-の

重さ 8.5kを 超えました.



恐るべき お遊びブログになりました.

又 遊びに 来ます.
返信する
伝統行事 (kimama)
2006-01-12 11:06:30
団塊の世代から一寸はみ出ている私ですが、先輩諸氏の、数々のメッセージに、奮起させられます。

日本の古き行事は、それぞれに意味があり、軽視してきた自分を反省して、このブログで渇を入れさせて貰ってます(*^_^*)
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秩父の寒さ (とくさん)
2006-01-12 12:10:37
秩父の寒さは私が想像した以上の寒さですね。

20センチ以上も氷の厚さがあるなんて、さすがに寒いところですね。

私や真締さんが住んでいる福島県の海側とは寒さが違います。

同じ福島県でも会津地方の山側では大雪で大変です。
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厳しい (横浜のおーちゃん)
2006-01-12 20:13:31
寒さの中、苦労して若水を汲み、それを待ってお雑煮で新年を祝う。昔はどこにもあったであろうことを経験されたんですね。私は京都市内なので、そこまでの経験はありませんが、新年の風習は伝統的なものでした。次第に少なくなるのが寂しいことです。
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若水。 (スミレ)
2006-01-12 20:31:05
若水を汲む。やった事はないですが、伝統的なものだったのでしょうね。
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真締 正直さん (縄文人)
2006-01-12 22:05:34
秩父の片田舎・山村ですからこんな風習があったのです。

正直さんは、東京生まれ、東京育ちですからびっくりするでしょう。



昔々の話です。想像もつかない昔話でした。
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気楽サン (縄文人)
2006-01-12 22:15:56
420羽、8,5kgこれはすごいです。

私も本にしようかと思い一寸はじめましたが、インクはたちまち減る、紙も枚数が多くなるシバラク頓挫してしまいました。



CDに保管バックアップしたら如何ですか。

今、私も保存方法を研究中です。

気楽サンも毎日更新していますから膨大な本になると思います。



正月に子供たちと新年会を開いたとき、これは俺の遺言書に等しいものだと話しましたら、へぇ とあきれていました。

気楽サンもライフワークに書き込みしていますから宝物です。
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kimamaさん (縄文人)
2006-01-12 22:24:29
団塊の世代が定年になり働く人が少なくなる、と新聞などでささやかれています。

年金、医療費などなど逆ピラミットになって大変だと新聞などで言われています。



私は団塊の世代から大幅にかけ離れていますので高見の見物です。



おそらく平均寿命が延びているのですからいろいろなことを考えてきて社会構造も大幅に変わってくるでしょう。
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とくさん (縄文人)
2006-01-12 22:31:53
正直さんと、とくさんはそれほど離れていないお住まいですか。

海側では海流の関係で多少暖かいのではないですか。

縄文人は、今は東京ですが、田舎時代は寒くて結構雪も降りました。この諏訪井戸は冬になると霜柱、氷が解けることがないのです。

1年中、日が当たらなくて寒いところです。



とくさんもこんな山の中の風習は想像つかないでしょう。

恥ずかしい、恥ずかしい。

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