泥棒に入られた話①
泥棒に入られた話②窓の話
泥棒に入られた話③結局格子を設置した話
泥棒に入られた話④床が軋んで気が付いた話
110番の電話を切ってから10分程で家の前に車が停まる気配がした。玄関からパトカーの赤いランプが点滅しているのも見えたので、玄関の鍵を開けて外に出た。私の行動を見ていた警察官の人は「今、玄関のドアを開けたのですか?玄関のドアの鍵は本当に閉まっていましたか?」と間髪を入れずに確認してきた。どうやら閉め忘れてた玄関から泥棒が入ったのでは?と疑うのは基本らしく、私が「パトカーのランプが見えたので玄関の鍵を開けた」と言っても「確かですか?」と確認され、その後も2台のパトカーでやって来た警察官4人の間での状況確認でも「玄関は閉まっていたのか?」と何度も確認しているようだった。
被害状況を時系列で確認するというのも基本らしく、床の軋む音で目が覚め、寝室の襖を開けられた後、そっと泥棒が出ていくまでどれ位の時間だったのか?その後すぐに110番したのか?などと、何度も何度も確認された。私は少しでも動いで起きているのが泥棒に分かると逆に危ないと思い、ベットの中で息を殺していた為はっきりとした事は分からなかった。ただ、目覚めてから泥棒が出ていくまで長くても5分、ベットの中で本当に出て行った事が判るまで息をひそめていたのが長くても2分程、そして110番しようと決心するまで1分程だったので、「泥棒が入った事に気づいてから私が110番通報するまで10分程だったと思う」と言うしかなかった。被害状況を正しく確認するためなんだろうが、その後も警察官同士で「本当に10分なのか?」と確認しあっていた。
泥棒が入って来た台所の窓は、寝室から見ても開いたままなのが確認出来たので、敢えて台所には入らなかった。「台所には本当に入っていませんね?」とこれも何度も確認され、警察官の方も台所には入らずに入り口から懐中電灯を照らし中を確認していたが、懐中電灯の光でも足跡が幾つもあるのが確認出来たようで「ゲソクッコンがあるな?」「本当ですか?」「ほら!沢山のゲソクッコンが・・・」「刑事さんに連絡だ」と急に慌ただしくなった。。。
聞きなれない「ゲソクッコン」という単語が「下足痕」らしいと気づいたのは刑事さんたちが到着する少し前の事だった。
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身分確認として名前と生年月日を伝え、確認の為にマイナンバーカードも提示したのだが、状況確認の際には一度も「○○さん」と名前を呼ばれる事はなかった。どの警察官の方も私の事を「お母さんはおひとりでお住まいですか?」「お母さんは何時頃ベットに入られたんですか?」と私をお母さんと呼んだ。その後やって来た刑事さんや鑑識の方は呼びかけの言葉もなく、事実確認をサクサクと進めていた。
私は一人だったけれど、家族で住んでいる場合は名前で呼ぶのは大変だ。ある程度の年齢の女性には「お母さん」若い女性には「娘さん」と声掛けするのがセオリーなんだろうと想像する。
泥棒に入られた話はまだまだ続く。