キリスト教勢力とPLOを主力としたアラブ人との対決に揺れるレバノンで、行方不明になった韓国人外交官。その後、1年程音信不通だった彼からの連絡と思われる電話を受けた若い外交官。
仲間を救う事は勿論、自分の将来の出世の為に身代金の一部を手にして一人現地に向かう彼。しかし、内戦で混乱するレバノンでは、拉致の解放交渉は、大きな金が動くという事で食指を動かす輩が沢山いるのだ。間に入る交渉人だけでなく、臨時収入になるからと介入してくる現地の役人、そして純粋に金を奪うためだけに襲ってくる武装勢力。
金が交渉の全てであるはずなのに、韓国国内で安全企画部を出し抜いて外交部だけで事を運ぼうとした事から、本国からの金が入金されず支援なしの状況で救出に向かう事になる外交官。そんな頼れるものはなんでも掴みたい外交官の前に現れたのは、不法入国したレバノンでタクシー運転手をしている韓国人男性。韓国政府からの見返りをちらつかせて、彼と一緒に救出に向かう外交官だが、国からの公式の支援がない中で救出がスムーズにいくわけがない。
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外交官を演じるハ・ジョンウとタクシー運転手を演じるチュ・ジフン。利害関係が完全に一致しているとは思えない二人が、内戦に揺れる海外で、支援がない中で金を持って人質交渉を行うのだ。タクシー運転手は外交官の金を持ち逃げする事を計画するも、仲間割れはすなわち死に直結する。
ありえない状況の中、協力していくしかない道中が数々のアクションで描かれる。お互いを信じあわなければならないその二人の気持ちの変化を、二人がきっちり見せてくれる
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ソウルオリンピックの開催を前にした韓国の状況が描かれる実話をもとにしたフィクション。実際の事件については今も開示されていない情報があるとの事で、その情報が開示されるまでまだ20年近く待つ必要があるとの事。