私の映画玉手箱(番外編)なんということは無い日常日記

なんということは無い日常の備忘録とあわせ、好きな映画、韓国ドラマ、そして
ソン・スンホンの事等を暢気に書いていく予定。

誰もいない森の奥で木は音もなく倒れる

2024-11-03 19:31:27 | 韓国ドラマ・映画

森の中で起こる二つの事件。

2001年に家族で経営する湖に面したモーテルで起こる殺人事件と、現在、森の中の貸別荘を一人で経営している所に子ども連れの女性が来た事から起こるトラブル。

時系列の全く違う二つの事件が交互に語られ、やがてリンクしていく不思議な構成だ。

不思議なのは構成だけではない。2001年、人気のあるモーテルだったのに、殺人事件の現場になった事でモーテル経営者家族は終わりのない悪夢の中に放り込まれる。加害者とはなんの関係もなく、運悪くトラブルに巻き込まれ、殺されずとも被害者とも言える状況に陥ったのに、犯人が捕らえられた中、世の中の好奇の目は彼らに向けられ、まるで彼らが加害者であるかのような状況に放り込まれる。

現在のトラブルも理解不能だ。貸別荘を訪れた子どもを連れた若い女性は、あっという間に貸別荘がまるで自分の所有物のようにふるまい始める。全てに怒りをぶつけ、怒りをコントロールする事もせず、貸別荘のオーナーである中年男性を邪魔者扱いしていく。彼女の計算違いは、その中年男性が決して諦めなかった事だ。男はしぶとくしぶとく彼女を追い出そうとし、猟奇的な彼女に食いついて行こうとする。

2001年のモーテル経営者を演じるのはユン・ゲサン。現在の貸別荘の持ち主を演じるのはキム・ユンソク。

二人の事件へのかかわり方がもう理不尽としかいいようがない。どうやっても事前に避ける事の出来ないトラブル。度重なる出来事に、二人は「自分が悪かったのではないか?」と思い詰めるようになる。

二人はちっとも悪くなく、ただただ巻き込まれてしまっただけなのだ。事件は深い森の中で静かに起こり、最初は誰も気づく事がない。そんな風に誰もが静かにトラブルに巻き込まれる事がある。その理不尽さを目の当たりにして歯がゆい思いが募るが、結局はその理不尽さに人は対峙するしかない。

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ネットフリックスでの8話完結のドラマ。先が気になる展開ではあるが、見続けるとその展開の理不尽さにフラストレーションがたまるという、なんとも不思議なドラマだった。見続けられたのは、猟奇的な女性に自分の貸別荘を乗っ取られそうになるオーナーを演じるキム・ユンソクの、悩みながらも理不尽さに正面から向き合い諦めない姿があったから。

正直、私は2時間30分越えの上映時間でもいいから、映画館で一気に見たい内容だった。

 



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