以前担当した殺人事件の被害者が生きて姿を現した事で、冤罪事件の当事者となる刑事。娘を殺した罪で刑に服していたカリスマシェフは、本当に娘を殺さなかったのだろうか?
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死体が出ないまま、状況証拠だけで刑に服す事になったカリスマシェフ。そして6年後、唐突に姿を現す殺されたはずの娘。何故、今なのか?事件当時見つかった数々の証拠は一体なんだったのか。カリスマシェフが刑務所から出てくる前に、残された時間と戦いながら、事件の再調査を行おうとする刑事。
事件当時、カリスマシェフがいかに胡散臭かったかが色々語られるのだが、6年後に発覚した出来事もそれと同じ位胡散臭いのだ。大体、死体亡きまま有罪に出来るのか?などと突っ込みたくなる部分がかなり多い。それでも読み進めてしまうのは、舞台となるカンブリアの景色を想像しながら読める事と、冤罪の疑いをかけられた刑事ワシントン・ポーを、熱い友情を持って助けようとする分析官のブラッドショーの稀有なキャラクターがあっての事だ。
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人気のあるミステリー作品がシリーズ物であることはよくあると思う。
特に海外ミステリーは発刊されるまでにタイムラグがあるし、日本語訳が出る時点で「海外で人気があり、日本でもある程度の購買が見込まれる」ということだから続編があることはとても多いと思う。
私もシリーズ物を読もうと思う時は、面白かったら読み続けるということを念頭に置いて手に取るようにしている。(海外ミステリーは読者減少もあり、一冊の単価が上昇気味だ。読めるという喜びの方が大きいので、値段の事をあれこれ言うのは野暮だとは思うが、それでもなかなかの値段であることは確かだ)
この作品は、作者が「これをシリーズ物にしよう」というやる気が1作目の行間から溢れ出ている作品だった。やる気満々な気持ちは、とにかく饒舌な謎解きの部分にも表れていると思う。1作目もそうだが、2作目もなかなか長目の謎解きだ。
私は舞台となるカンブリアの描写やその景色を想像しながら読むのが楽しいし、ブラッドショーのキャラクターが興味深いので、この続きが出たら読もうとは思っているのだが、それと同じ位、「次はキャラクターや、舞台となるカンブリアに頼りすぎないストーリー展開であって欲しいとも思っている。