告発したことで一区切りついたと思う二人は、見晴らしのいい屋上で祝杯を挙げ、以外に積極的なダリの一言で次の段階に進むかと思いきや、ムシクのお見合相手で彼の事を一方的に追いかけまわすチャクヒの出現でちょっと違った方向に進んでしまう。
国会議員を父に持つ彼女は、父親がテジンと手を組んで美術館の周辺の土地を手に入れる事で懐を潤そうとしている事も知っており、更には父親が期待しているムシクの心を掴む事でダリの周辺をコントロールしやすくするつもりでいた事についても援護射撃を出来なかった。父の期待にも応えられない自分が、父親から手を揚げられても仕方ないと半ばあきらめているのだ。自由気ままに過ごしているようでも、案外自分の置かれている立場をキチンとわきまえているのだ。逆にそれが少し悲しい。
勿論ダリの行動にも反撃がある。亡くなったダリの父親の弟が「ダリは養子だ。本当の美術館の後継者は私の息子だ。」とメディアの前で声を上げだすのだ。ダメ息子を庇い、更にはダリを貶める事で自分たちが本来の後継者だとアピールする叔父。そして「元館長は絵に薬を隠して輸入していた」とダメ息子は自らの罪を隠すために、亡くなった館長に罪を擦り付けるのだ。死人に口なし…一番汚いやり口だ。
勿論、彼の後ろには国会議員が、そしてもっと後ろにはダリの元婚約者であるテジンがいるのだ。
ダリが養子だった故、破談になった自分たちの結婚。5年の歳月を経て、ダリとやり直したい彼は、美術館よりも彼女自身を手に入れようとしているらしい。御曹司らしい強引な手口で、非常に分かり易く、しかし誰がどう考えてもダリの気持ちが離れていくのは仕方ないという方法しか取れない彼。それでもこれが彼のやり方だから仕方ない。
全精力をかけてムシクの息の根をつぶそうとし、なんとしてもダリに戻ってきて欲しいテジンは、元館長の弟と甥を自分の意のままに動かして、ダリが自分の元に戻ってくるように仕向けるのだ。
こんな風にテジンが嫌な財閥の人間としてステレオタイプに描かれれば描かれるほど、ムシクのキャラクターがイメージアップするという・・・テジン的には悪循環なのだが、そこから逃れられないテジンも、やや可哀そうに思えてくる。