邦題が「そよ風の贈りもの」という彼女のデビューアルバムは、カセットテープで購入し、ウォークマンで通勤の際に毎日のように聴いていた。2作目のアルバム「ホイットニーII〜すてきなSomebody」も同じようにカセットテープで購入し、テープが伸びる位聴いた事を覚えている。映画「ボディガード」のサントラはCDで購入したはずだ。当時40歳代後半の会社の上司が「ボディガードのサントラを購入した」と言っているのを聞き「本当にヒットしているんだな」と改めて彼女の人気を実感した事を覚えている。
リアルタイムで彼女の全盛期を見てきた私には、この作品を映画としてというより、彼女の歌を最高の音響で映画館で楽しむという表現が正しいように思えた。
映画は、一作目、二作目の成功、アメリカを一つにしたと言われているスーパーボールでの国家斉唱、そしてボディガードでのケビン・コスナーとの共演。いわゆる彼女の全盛期と言われる部分を1時間ほどで割と淡々と描く。
後半は、ヒットチャートでの連続1位という記録でビートルズを破り、グラミー賞受賞歴6回を数える彼女のキャリアをしても、その重圧から解放されるべく薬の力を借りずに入られなかった現実。歌手としてただ自分の歌いたい歌だけを純粋に歌い続けるなどという事は出来ず、ビジネスとして自分が主導権を持って皆の期待に応えるべく芸能活動を続けていくその重圧。それらに押しつぶされそうになる彼女の人生が、やはりかなり遠慮気味な感じで描かれる。
映画としては、彼女の人生のどの部分を映画のピークに持ってきていいか悩み、彼女の歌にフォーカスするものの、それだけではちょっと淡々としたストーリーになってしまったということか。
それでも、リアルタイムで彼女の歌を聴いてきた私にとっては、音響のいい中で彼女の歌を聴くというのは至福の時でもあった。歌を聴いていた時代の自分の思い出も蘇るのだから・・・
私は「すべてをあなたに」という邦題がついた Saving All My Love for Youが一番好きだった。
Whitney Houston - Saving All My Love for You (Live on Wogan 1985)
Whitney Houston - Saving All My Love For You (Official HD Video)