「・・・夫婦の間のいさかいがとりわけ恐ろしい様相を示すのも、そのような原因ばかりではあるまい。むしろわたしの思うには、真実の愛にはみな、潜在的な、連帯によってかくされた攻撃性が大量にひそんでいるので、このきずながいったんちぎれてしまうと、わたしたちが憎しみといっているあの恐ろしい現象が表面に出てくるのである。攻撃性を含まぬ愛はないが、また愛なき憎しみも存在しないのだ。」(p297)
何と、コンラート・ローレンツも、フロイトと(結論的に)同じことを述べていた!
私見では、両者とも「攻撃」の根源に「自我」(の拡張)ないし「自己愛」があると見ているように思われる。
つまり、自我の拡張(自己愛の発現)がうまくいけば「愛」(自我の相互拡張)となるが、失敗すると「憎しみ」が生じ、ひいては「攻撃」に転じるというのである。
このことは、「勝ち負け」(これが1つのキーワードである)に力を注ぐスポーツ選手の行動を見ると分かりやすい。
例えば、【サッカー日本代表選手ブチギレ6選】敵ではなく味方にブチギレた選手たちがヤバすぎるの中の乾貴士選手にまつわるエピソード(1分34秒付近~)が興味深い。
乾選手の「シャワー室のガラスを叩き割る」という攻撃的行動は、「攻撃」そのものを目的としたものではない。
ここで重要なのは、「自身のプレーの不甲斐なさ」、すなわち「傷ついた自己愛」が、彼の攻撃的行動の原因となっているところである。
「傷ついた自己愛」は、「攻撃」衝動=怒りに転じたのだが、これを発散させる手段として、たまたまガラスを叩き割る行為が選ばれたのだろう。
このように、「攻撃」衝動は強すぎる自己愛と裏腹を成すものであり、これを「イヌイの法則」と呼ぶことが出来るかもしれない。
深刻なのは、政治家にも「イヌイの法則」が妥当しており、この種の人物は多い。
そして今や過剰な自己愛のために、核戦争の危険すら生じているのである。
「このエージェントによれば、FSBの人間はプーチンと個人的に接触しているわけではないが、もしプーチンをFSBに採用する予定の人材として評価し、「状況プロファイル」を作成するとしたら、4つの重要な見解を示すだろう。
第1に、「事実として自己愛性障害がある。おそらく幼少期のコンプレックスによるもので、それを克服する方法として発症した」
プーチンはこれまで何度もナルシシストのレッテルを貼られたことがある。カーター政権の国家安全保障問題担当大統領顧問だった故ズビグネフ・ブレジンスキーは、プーチンを「ナルシスティックな誇大妄想」と非難し、イランのマフムード・アフマディネジャド元大統領はプーチンを「暴君的ナルシシスト」と呼んだ。ファイナンシャル・タイムズ紙はソチオリンピックを「プーチンのナルシスティックな自己賛辞」と表現した。」