今回の上京の目的は、ワタシの東京在住時代の会社のOB会とスポーツクラブのOB会。
とはいえ、それだけのために上京するのはもったいないので、いろいろ詰め込もうとするワケです。貧乏人は。
で、まずは品川で降りてキヤノン プラザ S で新製品をいじってこようと思ったものの、行ってみたら
みたい新製品はいずれも品川のキヤノンにはないとのこと。「キヤノンともあろう大企業が自社の新製品を用意していなくてどうする?」
・・・と心の中では思ったものの、大人の対応で「あぁ、そうですか」と済ませたのだけれど。
とはいえ、怪我の功名というか、同じ施設の1階にあるキヤノンギャラリーSでは
『高精細複製品で綴る 日本の美』という展示をしており、せっかくなので見ていくことに。
超有名な屏風絵7点と襖絵・浮世絵各1点を(たぶん)原寸大で複製展示。
ギャラリーの外からみることができるのは『雲龍図』(曾我蕭白)。
縦1.65m、横10mあまりの巨大な襖絵。
ユーモラスな龍の目がお茶目な感じながら、全体の筆致は豪快で、
海外の美術館でなく日本にあれば国宝級ではないかという作品。
残念ながら、この作品はガラス越しの鑑賞となります。
(それにしても、指が写ってるやん。ヘタクソか!)
(撮り忘れたので、ネットから引用)
入室してすぐの作品が『江戸風俗図屏風』(菱川師宣)。
『洛中洛外図屏風』の江戸版といった趣の作品。
菱川師宣って、こんな作品も描いていたんですね。
菱川師宣と言えば『見返り美人図』。
他の屏風絵がデカいのでちょっと見劣りしてしまうかもだけれど、
間近に寄って見てみると、金箔の盛り上がりがハッキリわかり、
どのように複製したのか、その技法に興味が湧きます。
重要文化財『風神雷神図屏風』(尾形光琳)・『夏秋草図屏風』(酒井抱一)
『風神雷神図屏風』(尾形光琳)と『夏秋草図屏風』(酒井抱一)は
それぞれ別に評論・解説されることが多いと思いますが、
現物は同じ屏風の裏表であることを表現した複製画です。コダワリを感じますねぇ。
一方、尾形光琳の元ネタとなった国宝『風神雷神図屏風』(俵屋宗達)。
俵屋宗達と尾形光琳の『風神雷神図屏風』を同時に見られる機会は滅多にありません。
(以前、東京国立博物館で両作品の実物を見られる展示会がありましたが)
個人的には俵屋宗達の雷神の太鼓が画面からはみ出ているダイナミックさが好きです。
あと、いまだ残る疑問としては、風神・雷神が乗っている雲の素材が銀なのか鉛なのか・・・。
『樹下鳥獣図屏風』(伊藤若冲)。
若冲と言えば動植物の超絶精密描写で有名ですが、「枡目描き」でも緻密描写は健在。
国宝『松林図屏風』(長谷川等伯)。
これもまた、違った意味で日本の誇る美の一つの到達点では?
今回の展示ではこの作品だけ屏風にプロジェクションマッピングで
雪がしんしんと降り積もる様が映されていました。
重要文化財『竹に虎図襖』(狩野山楽・山雪)。
ワタシ的にはあまり思い入れのない作品ですが、
多分、見たこともないであろうトラを可愛く描いています。
この展覧会の良さは、ガラスなどに遮られることなく、絵の間近まで近寄って見ることができることですが、
ライティングも部屋を暗くして下からの照明のみで屏風絵を照らしていること。
たぶん、江戸時代の夜に絵を鑑賞するとしたら、こんな感じだったろうと想像することができます。
そんなワケで、実物ではないにも関わらず、感銘を受けた展示会でした。