地味鉄庵

鉄道趣味の果てしなく深い森の中にひっそりと (?) 佇む庵のようなブログです。

存廃不明……ベトナム・ハロン線客レ

2018-10-16 00:48:00 | ベトナムの鉄道


 最近ベトナム国鉄の公式HPにおいて、果たして運転されているのか否か不明になった、標準軌ハロン線の満鉄車両を含む客車列車。去る8月15日にアップした記事において、最新の事情募集……と何となく記してみたところ、いつもお世話になっております落花生。様が、ハノイを訪問された際に窓口にて聞き出して下さいました。窓口嬢曰く、ハロン線列車はまだ残っているとか……。
 しかし一方、去る9月に刊行された下川裕治『東南アジア全鉄道制覇の旅』インドネシア・マレーシア・ベトナム・カンボジア編(双葉文庫)を読んでおりますと、やはり窓口嬢からハロン線列車の現状を聞き出して「廃止」と言われた旨が載っております (80頁)。一体どっちやねん……??



 まぁそもそも、落花生。様にしても下川氏にしても、直接早朝のイェンビェン駅や昼下がりのハロン駅に特攻のうえナマで確認されているわけではないため、結局のところ未確認情報の域を超えるものではないように思います。存続に期待を込めつつも、やはりヤバいのかも知れませんが……ともかくも自分が直接早朝や夜中にイェンビェン駅にタクシーで乗り付けて調べてやろう、という奇特な方はいらっしゃらないでしょうか?
 というわけで、今から約6年半前にハロン線の満鉄客車を録りに行った際に撮影した未アップ画像を引っ張り出してみました。う〜、既に行商客の減少による減車という「前触れ」はありましたので、ついに満鉄客車の超老朽化に耐えかねて、列車ごと撤退してしまったということなのでしょうか……。あるいは、しばらく全列車を運休させて、一気にメーターゲージと標準軌の三線レール化を図ろうとしているのであればまぁまぁ良いですが……。


ベトナム国鉄の客車 (1) 計画経済的車両

2018-08-15 12:00:00 | ベトナムの鉄道


 硬座車 B42847



 硬座車 B41660



 荷物車 HL71729  ※HL=Hanh Ly (行李)



 郵便電源車? BV.PD81624
 ※BV=Buu Van (郵文) ? PD=Phat Dien (発電)

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 先日のインドネシアの宴では、「満鉄客車で今も運行されていると思われるベトナム国鉄ハロン線は、公式サイトによると金曜日のみ予約できる列車があるが、それ以外の日は全く列車が表示されない」という奇怪な話を伺いました。ひょっとして毎週1回、金曜のみの運転という没落の極みに至ったのか、それとも、毎日1往復の行商列車が消えるとは考えにくく、金曜のみ予約可能な (それこそ伝説のソウルメトロ再利用バッタもの客車「ハロン・エクスプレス」を起用した新急行列車運行か……? とにかくどうなってしまったのか、最新情報にも疎く、恐る恐るベトナム国鉄公式HPにアクセスしてみたところ、確かに毎週金曜日だけはイェンビエン〜ハロン間の鈍行の時刻が表示されます (多少スピードアップしたように見えますが、新急行と呼べるようなシロモノではないはず)。これであとは、「毎日運転ながら、公式HPの気まぐれで、毎週金曜のみ走っているように見える」のか、それとも道路網の発展により列車行商が衰退し、本当に毎週金曜日の運行のみになっているのか……?  他にも、公式HPで表示されないドンダン行き・ラオカイ行きの鈍行が残っているのか否かも非常に気になります……。なにせ急激にバスが便利になっていますから。そこで、どなたか人柱となって確認して頂ければ幸いです。日越往来がますます盛んな今日、ハノイ御在住の鉄ヲタ駐在員の方も、いらっしゃるはずでしょうし……。

 それはさておき、去る2年少々前にマイレージ消化のため超とんぼ返りで訪れたハノイでは、勿論満鉄等の標準軌客車に注目したものですが、一連の鉄活動のシメとして、メーターゲージの客車形式写真も撮れるだけ撮っておくことにしました。これもまた、急速に変わりゆくベトナムの映し鏡だと思いますので……。
 というわけで一発目は、コルゲートがある古めかしいボディで、如何にも1970〜80年代の計画経済臭をたっぷり残したシリーズです (*^^*)。タマ数は勿論そこそこ多く、ハノイ以北でしたらハイフォン線やラオカイ線の列車に多数連結されていますが、中国で22系客車が急激に過去のものとなった昨今、ベトナムでも同じように今後急速に淘汰される可能性がありますので、今のうちに見かけ次第撮っておくに越したことはないでしょう。

ハノイ以北サウナ鉄 (12) 高層ビルとチェコ罐

2018-06-24 00:00:00 | ベトナムの鉄道


 先日開催された、落花生。様の一時ご帰国を歓迎するふたつの宴会において、東南アジア各国の鉄道事情を縦横無尽に語った中で、当面話題薄として確か全く注目されなかったのがベトナムです。現在進行形と思われるハロン (下龍) 線のメーターゲージ対応工事がいずれ終わり、あるいは標準軌客車を中国なり韓国なりから譲り受けることで、満鉄客車が消える!などということになれば話題沸騰にもなるでしょうが、ソウルメトロのバッタモノも復活したかと思えばあっという間に運休となって久しく (営業運転時の姿は、いつもお世話になっております『西船junctionどっと混む』様をご覧下さい)、一時当ブログで紹介してちょっとした人気を得たモスラ罐D8Eも少数・非力の哀しさで引退してしまったようですので、とにかく珍ネタには事欠いているのは否めないかも知れません。



 あとそういえば、行商客車や代用荷物車としてメーターゲージ線の列車に組み込まれることが多かったおフランス製 (?) の魚腹台枠ヴィンテージ客車も、既に全車離脱してしまい、一部は昆河線を遡上して中国に売却され、観光用車両として活用されるとか何とかという話をどこかでチラリと見たような……。
 もっとも、これらの事情を全て裏返してみますと、「東南アジアで面白そうだと思ったシーンは半年以内に撮っておけの法則」は、ベトナムでも有効であると言えそうです。
 そこで「そういえば」と思い出したのは……2012年3月に初めてベトナムを訪れた際、ハノイ以北の短距離〜中距離列車が様々な罐の展示会場状態で実に面白かったところ、一昨年の6月に貯まったマイレージの消費のため超トンボ帰りでハロン線を再訪し、そのついでにザーラム (嘉林) 界隈で撮影した際には、罐が基本的にチェコ製のD12Eオンリーとなっていたという驚愕の変化です。
 このこと自体につきましては、既にハロン線再訪レポート連載の際にお伝えした通りですが、改めてその理由を勘繰るに、種々雑多な機関車をザーラム機関区の旅客用として配置することによるカオスを解消し、効率の良い運用を目指したと考えられます。あるいは、より新しく高性能なドイモイ罐D19Eを、経済発展と路線改良によって輸送量がますます増えつつあるハノイ (河内)〜ホーチミン市 (城舗胡志明) に振り向け、その代わりに経年のチェコ罐をハノイ以北にかき集めたものと推測されます。
 というわけで、如何にもコメコン経済圏の名残のような入換機臭いチェコ罐が、高層ビル・マンションも建ち始めて急激に変わりゆくハノイの街の片隅で奮闘する姿に、奇妙で痛快な「何でもあり」感を抱いて激写しまくったものです。しかしその後、すっかりレタッチするのを放置してしまいました……。そこで、久しぶりにHDの中から画像を拾って悦に入るとともに、またいずれハノイを再訪したら、この光景すら激変しているのかも知れない……とぼんやり思っているところです。

ハノイ以北サウナ鉄 (11) チェコ罐の天下

2016-12-12 12:00:00 | ベトナムの鉄道


 いつの間にか忘年会の類が開かれる今日この頃、そういえば今年は、3月恒例のタイ・ミャンマー両国、8月のインドネシアに加えて、期限切れ直前マイル使用のためベトナム超とんぼ返り・ハロン線の旅をしたなぁ~ということを思い出しました (^^;)。しかし、超激烈に過酷な猛暑の中での満鉄客車追っかけを記事化したあとは、脳内がすっかりジャカルタに飛んでしまい、メーターゲージ車もちゃんと撮影していたのがおざなりに……。年を越す前に、2016年初夏の時点でのベトナム国鉄・ハノイ以北メーターゲージの状況を備忘録として綴っておきたいと思います。いやいや、メーターゲージ客車の形式写真を片っ端から撮りまくったのを分類しそびれているため、年内に完結するはずもないのですが (滝汗)。
 そこでまず顕著な現象として痛感したのは、客車のトリコロール色化もさることながら、殆どの旅客列車の罐がチェコ製D12Eになっているということ! 



 一応ネットで、他に訪越された方がアップされた画像を眺めていますと、モスラ罐D8Eは1日1往復に減便されたドンダン行をたまに牽引しているようですが、この他は……あれほどドイモイ罐D19Eの独壇場であったはずのハイフォン急行は悉くD12Eに! 東方紅21改めD10Eが牽いていたラオカイ線 (昆河線) の鈍行もD12E! うむむ……D12Eは一見すると入換罐かと思うような小粒さながら、さすが旧コメコン圏の中では最も良質な工業製品の生産を任されていたチェコ製だけに、相当強力で安定した性能であるようで、ハノイ以南の統一鉄道の輸送力増強のためD19Eを提供したあとの穴を埋めるのは必然的にこれになる……という理屈は分かります。しかし何と申しますか、もうちょっと長距離列車用罐としての雰囲気も欲しいと思うのは私だけでしょうか?
 ちなみに、今回の遠征は「朝ハロン線満鉄客車→午後ハロンからハイフォンへミニバス移動→夕方から夜ハイフォンからザーラムへ帰還」という要領で移動したのですが (初訪問時とは真逆のコース)、酷暑に耐えかねて帰りの移動にはクーラーを……と思ったのが運の尽き。初訪問時に、ハノイ~ハイフォン急行の空調軟座車は車内ビデオ放送がやかましすぎるのに懲りたはずだったのですが、「それよりもとにかくクーラー!」と思ったら、やはり甘く見ていた私自身が馬鹿を見ました……。ビデオ放送は前回にも増して強烈にやかましく (中国の京劇がかった時代物の吹き替えで、ドンドンガッシャンシャーン!というミュージックが過激 w)、加えて列車全体の服務員がクーラーで涼みに来ているのでは?と思えるほど、若い服務員のニーチャンネーチャンが軟座車の空席に殺到し、超ハイトーンボイスで激しくイチャイチャ会話三昧!! (この点は、中国の列車員の方が遥かに勤勉で「為人民服務」の精神を発揮していることを認めざるを得ません……) あ~何のために空調軟座の料金を払ったのか! もうベトナムでは硬座車以外乗りたくねぇ……(ハイフォン急行の硬座はバスとの競争に負けて空いていますし。統一鉄道に乗るとしたら結局軟臥か硬臥になりそうですが……)。

ハノイ以北サウナ鉄 (10) ハロン駅発車を撮る

2016-08-29 12:00:00 | ベトナムの鉄道


 1ヶ月以上のご無沙汰となってしまった6月のハノイとんぼ返り遠征記、脳内での鮮度が下がらないうちに激戦の備忘録を記しておきたい……というわけで、満鉄客車使用鈍行の到着をハロン駅で出迎えてからの話をば。とにかく6月のベトナム北部は撮り鉄という人種の生存には向かない激烈な蒸し暑さであり、待ち構えて連写するだけでもクラクラになるほどヘタレ果ててしまい、いくらポカリ (ベトナムでは大型スーパーやハノイのコンビニで散見するようになったものの、今のところ粉を日本から持参) を飲んでも気分は全くシャッキリせず、行商人が客車から荷物を下ろす喧噪の風景もほとんど撮る気なし……。また、折り返し時間は1時間以上ありますので、形式写真や車内写真も撮り放題となるはずですが、ハロン駅が全く小綺麗になってしまったこともあって余り写欲が湧かず、とりわけ各客車の車内をしらみつぶしに観察して撮っておかなかったのは愚の骨頂! もっとも、住友製を含む台車は丁寧に記録しておきましたが……。



 というわけで、ひとしきり倒れそうな気分で撮り続けた後は、空腹と塩分不足のダブルパンチに耐えかねて、まさに石窯の表面のように凄まじい高熱を孕んだ線路・バラストの上をフラフラと歩き、臨港地帯へ通じる貨物線の踏切から道路に出まして、最初に現れたフォー屋に入ったのでした (フォーはベトナム風米粉うどん)。そして、牛肉をたっぷり載せたフォー (4万ドン) を猛然とすすってスープまで完飲したあとは、13時30分過ぎの折り返し発車に備え、再びとぼとぼと激暑の線路を歩き、ケップ寄りの駅の外れにて待ち構えたのでした……。
 傘を差してじっと午後の凄まじい暑熱に耐えることしばし……いよいよ、中国東風11風のマスクを前に出したD14Eがホイッスルを上げ、骨董品客車の4連がウネウネと構内のカーブを通って迫って来ました。余りにも格好良く……ファインダーの中で追いかけている間だけは、全身にズッシリとまとわりつくような酷暑を忘れていました……。
 撮影後は、急いで国道に出てミニバスを捕まえれば、何カ所かで追っかけ撮影することも出来るな……と思っていたのですが、このどーしよーもない暑さでは、国道まで約1km走ったら確実に熱中症で死ぬ……(@o@)。というわけで、ハロン線の列車が1日1往復しか来ないことを恨めしく思いつつも追っかけはスッパリと諦め、「何時なくなるか分からない旧型客車編成をこんな感じで撮れて良かった」と満足しつつ、国道の駅入口でハイフォン行きのミニバスに乗ったのでした。しかし……数分から10分間隔で来るはずのモンカイ発ハイフォン行ミニバスが、こういうときに限ってなかなか来ない……(-_-メ)。飲み物を売る屋台のパラソルがなければブッ倒れていたことは間違いないでしょう。
 なお、列車がハロン駅を去ってから30分後にようやく乗ったミニバスは、ハロンの一つ手前、イェンクー駅を少々過ぎたあたりで列車を追い抜きましたが、もしミニバスがすんなり来てくれていればイェンクーでも撮り鉄出来た……と思うと遺憾な気分なのでありました (^^;)。あと、ハロンからハイフォンまでミニバスで直行 (1時間40分~2時間程度) するのではなく、ウォンビの街外れで下車してウォンビ炭鉱鉄道 (メーターゲージで、中国製の緑色罐が鉱車を牽引) を探検するのも痛快かと思われますが、暑季に出来ることではありません……はい (11~3月頃の涼しさなら十分可能?)。