しばらく中国、しかも鉄道が未開通の地域に出張していたもので、このブログも更新をお休みしておりましたが、新ネタを持って帰って来たこともありまして、ぼちぼち紹介してみたいと思います。その新ネタとは、中国への出入りの際に時間を見つけて訪れた、北京の超Deeeeep鉄スポット・北京北駅の様子です。
最近はネット上で「中国鉄」という言葉があるように、中国との往来が頻繁になるにつれて中国国鉄への関心が一部の日本の「鉄」の間で高まりつつあるようです。特に、辛うじて残るSLなり、最新型の巨大機関車が牽引するカラフルな長距離列車に関心が向けられる傾向があるような気がしています。しかし、むかし学生の頃に中国貧乏旅行で非冷房・ダークグリーンの如何にも「社会主義チック」なポンコツ車両に乗りまくった、いや、寝台車の切符が常に売り切れで他に選択の余地がないので乗って忍耐せざるを得なかった (-_-;) 私としては、あれほど「乗りたくねぇ~!」と思ったダークグリーンの「人民列車」に、貧乏旅行をするヒマがあった頃の思い出を重ね合わせてしまいまして、その姿を追い求めたくなってしまいます (^^;;)。
ただ、中国を代表する巨大駅として偉容を誇る北京・北京西の両駅から発着する列車のほとんどは、ここ10年ほどのあっという間にクーラー付きのカラフルな列車になってしまいまして (もちろん、僅かながら非冷房列車の発着もあります)、古き (しかし「良き」かどうかは分からない) 中国国鉄の姿をしのぶという目的は果たせません。ではどこに行けばよいか……ですが、北京からそう離れていない河北・河南・山西・内モンゴルの、間違っても豊かとは言えない地域の人々が出稼ぎなどで北京に来た際に利用する北京南・北京北駅がオススメ。この両駅に来れば、テレビで見かける「中国の猛烈な発展」なんてインチキだ、矛盾だらけだ!と確信できるほど哀愁漂う光景とともに、ダークグリーンで非冷房なぶん運賃が激安な「人民列車」が発着する光景を目の当たりにすることが出来ます。ありふれた北京観光などよりも、こちらの方が余程印象に残ることは間違いないでしょう……(マジで)。
で、私は以前北京南駅のほうを利用したことがありますので (^^;)、今回は未訪問だった北京北駅を訪れてみました (今回泊まったホテルからすぐだったもので……)。この駅は、最近開業した地下鉄13号線と既存の地下鉄1号線 (環状線) の乗換駅として猛烈な勢いで再開発が進み、如何にもバブリーな雰囲気の人々が行き交う西直門駅のすぐそばにあり (と言いますか、北京北駅はたしか90年代に改称されるまで西直門駅でした)、一見超一等地の最高に使い勝手が良い駅のようにも思えます。しかし、必ずしもそうではないのが中国でありがちなパターンでして (^^;)、北京北駅のある一隅だけは時間が止まったような雰囲気……。古びた駅舎、草深い線路、麻袋を担いだ列車待ちの農民、そして彼らを待ち受ける安食堂……。
そんな北京北駅を発着する主な列車は、途中北京に寄り道しながら内モンゴルを縦断する2往復の列車 (ハイラル~包頭快速[中国での「快速」は、最高速度が遅い特急のこと]、及び通遼~フフホト急行) です。どちらも、さすがに「かつての中国国鉄といえばコレ」というほどの勢力を誇った悪名高きボロ客車・22系 (ソ連からの技術供与を受けて1950年代末から90年代頭まで延々と大量生産されたコルゲートつき客車) ではなく、90年代以後の車両である25系客車になっていますが、とにかくクーラーがなく、ダークグリーンがどうしようもない哀感を誘います。朝方、北京北駅に寄り道したフフホト行急行の発車シーンを駅の北側の踏切付近 (と言うか……別に遮断機や踏み板などはなく、常に人が線路を跨いで往来しているからそこが踏切、というだけの場所 ^^;。ちなみに、中国国鉄では線路に人が入り放題です ^^;;;) から撮影してみましたが、バックの高層ビルや団地、それに地下鉄13号線の高架と比べると、国鉄の線路の周りだけこんもりとした木々や雑草、それに散乱するゴミ (爆) に囲まれて、とてもここが首都の玄関口の一つとは思えないものがあります (^^;)。決して草深い留置線に停車しているのではありません……。
というわけで、中国の激しい所得格差の産物であるDeepなスポットに行くのが怖いという方には決してオススメしませんが、生の中国を見ながら昔ながらのダークグリーン「人民列車」の雰囲気を知りたいという方には是非おすすめです。一番手っ取り早いのは、一日一往復ここから発車している万里の長城方面行き鈍行 (この列車は観光列車ですので気軽に乗れると思います) を利用することでしょうか。しかしこの列車、国慶節連休対策で、客車を他の路線の臨時列車に振り向けるため、「上級機関の指示により当分運休」などという掲示が……(そのとばっちりで予定していた撮影が1本フイに -_-メ)。こういうこともよくある国ですので、そのつもりで……。