地味鉄庵

鉄道趣味の果てしなく深い森の中にひっそりと (?) 佇む庵のようなブログです。

タイ日本中古放置車探訪 (9) 炎天下の紫寝台車

2017-05-27 19:56:00 | タイの鉄道


 しばらく間が開いてしまいましたが、3月のミャンマー訪問特集に入る前に、『北海道新聞』Web版に載っていたキハ183タイ輸出の衝撃 (^o^) とともに、タイの日本がらみ車両ネタを片付けておくことにしたく存じます。鮮度は切れておりますが、あくまで自己満足の備忘録として記します。

 さて、マップ・カバオで膨大な数のキハ28・58及びキロ28に興奮した後は、待機させていたバイクタクシーに跨がって再びケーンコーイ駅へ爆走! 駅東側1.5kmほどのところにある踏切では、サタヒープ方面から来てバイパス線 (巨大なダム湖を通過) へと入る中国中車製最新罐 (※) 牽引の長大セメント列車に数分待たされるというヒヤヒヤものの事態となったものの、何とかウボン行き快速が定時で到着する数分前にケーンコーイ駅に戻って参りました。そして快速は僅か2~3分の遅れで入線~。「バンコクから乗った特急が最初から大幅に遅れたので、この快速もそんなノリで20~30分遅れて来るかも知れない。では、マップ・カバオでもっと長居しよう」などという誤った思い込み通りにせず、本当に良かったです……(爆汗)。



 というわけで、半鋼製の車内が余りにも素晴らしい2等車のリクライニングシートに収まり、いざ次の目的地・ナコーン・ラーチャシーマへ! まず、地図やGoogle Earthの画像、そしてマップ・カバオ界隈で眺めた景色からして、マップ・カバオ通過後ただちに壮絶な峠越えに入ることが予想されましたが、実際にここが凄かった! 超強力なタイ国鉄電気罐を以てしてもガクンと速度が落ち (概ね30~35km/h程度?) 暑季につきカラッカラに乾いた岩山の風景の中を大蛇のようにうねりながら登って行きます。2・3等快速の場合、2等車は基本的に最後尾に連結されますので (そのために終着駅や客車区でわざわざ客車の位置を変えるという御苦労なことまで実施)、罐の凄まじい喘ぎは聞こえて来ませんが、これは実に古き良き山越え汽車旅の浪漫そのものではありませんか……。そんな中、車内販売の鶏そぼろ飯 (勿論,味はタイ風の甘辛ですが) を、マップ・カバオ激闘後の空腹に放り込んで行くというシアワセ……。やがてカーブの連続が終わると、進行方向右手には広大なダム湖が広がり、雨期の晴れ間は夢のような青空と緑に包まれるのだろうと想像するのもいとをかし。こんな感じの山越えを終えてパクチョン駅に停車した後は、ひたすら緩い坂を下って行き、やがてオアシスのような緑の水田が増えて行きますと、ちょっとした都会の中に進んでスピードが落ち、目指すナコーン・ラーチャシーマ (通称はコーラート) に到着です。
 ナコーン・ラーチャシーマ駅は、イーサーン地方=東北タイ最大の交通の要衝ということで、街の中心街を歩くと例によって (?) 華人系の商店が占めています。さらに街の北には、国道(タノン・ミットラバーブ)に沿ってロードサイド型の巨大店舗が軒を連ねているようです (そこまでは散歩していない)。しかし、そんな街の構成からして、市街地の南西にある鉄道駅はどちらかというと場末で、昼前後は凄まじい日射しのもと、何ともまったりと気怠い空気が漂っています (^^;)。そんなロケーションですので、駅・機関区・貨物客車ヤード等々は非常に広大なスペースを使っており (否どう考えても、街外れの未開地に悠々とした鉄道設備が造られ、その周辺に鉄道関係者の街が出来た、というノリに違いない)、それはそれでGoogle Earthの眺め甲斐があります。しかし、それは裏を返しますと……構内のうらぶれた場所に廃車体が放置してあっても、そこにたどり着くまでは炎天下相当の回り道をしなければならないことを意味します……。
 そこで、事前に画面で発見したキハ28・58を求めて、駅東側の踏切からさらに構内南側の道へと進むことしばし……うう暑い……。しかも、最近構内の廃車体魔空間が整理されたようで、数両のキハ28・58がいなくなっている……(号泣)。辛うじて数両、荒廃しすぎて移動を諦めた車両が数両放置され、その中に1両だけ、台枠付近が骨組みだけになったキハ28が転がっていました……(帰る際に車内から機関区周辺を観察したところ、数両の《転がることが可能な》キハ28・58が、機関区の柵の奥、撮影出来ない位置に移動しているのを確認できました)。
 しかし、天・神・仏は我を見放さず……! 荒廃が進んだキハ28・58の代わりに、ほどほどに (?) 荒廃し始めた14・24系客車が、非常に撮りやすい位置に鎮座しておりました♪ (このこと自体は、快速列車で駅に着いたときから明らか) しかも、紫色寝台車の傍らには構内踏切があり、関係者が頻繁に歩いています。そこで、踏切南側の木陰でダラ~ンとしていた警備員氏に、14・24系を指差しながら「サッワーディークラップ! ロットファイ、フォト、OK?」と訊いてみたところ、面倒臭そうに「OK、OK~」との御回答! というわけで、水タンクやら窓やらいろいろなものが消えたのは痛々しいながらも、タイでの現役時代を辛うじて感じることが出来る姿に感動しつつ、酷暑を忘れて激写したのでありました……。14系座席車が何故ここにいるのか不明ですが、寝台車については恐らく、一時期ウボンラーチャターニー行き夜行客レに連結されていたものが、連結終了とともにウボンラーチャターニーから回送され、そのままここで無期放置となっているのかも知れません (それがいつ終わり、別の所に移動するのか、全く分かりませんので悪しからず)。
 ちなみにこの構内踏切、夕方になると地元の中学生が勝手に下校ルートとして歩いていました。地元民に開放されているのかも知れませんが、念のため外国人は駅舎を出た後、構内東側踏切~構内南側道路へと回り込む方が良いかと存じます。

(※) この罐は基本的にサタヒープ港~ケーンコーイを主軸とする貨物線ルートを中心に用いられているようで、今のところバンコク中心部では見かけたことがありません。

211系時代が定着した中央東線普通列車

2017-05-23 00:00:00 | 国鉄型車両


 既に115系が消えた長野に続き (除・しな鉄)、新前橋や新潟でも115系がいよいよ減っている今日この頃。もっとも長野と新前橋の場合は、211系も直流モーターで、走行音に限って言えば辛うじて昭和なノリを引き続き楽しむことが出来ますので、取りあえず良しとしなければならないのでしょう。
 そんな長野の211系、すっかり立川・高尾以西の足としても定着した感がありますが、個人的には湘南色よりも長野色の方が遥かに似合っているようにも思われます。というわけで、近々出るKATOの長野色6連も予約してしまいました (笑)。



 もっとも、3連・6連ともに、セミクロス車とロングシート車が完全に混在し、運用も分けられていないようですので、どちらに当たるかは完全にギャンブルの領域となっているのはトホホな話です。先日、高尾6時14分発の松本行きで久しぶりに乗車時間長めの鈍行旅をしまして、遠路下諏訪まで乗ったのですが (朝イチのスーパーあずさ利用の場合よりも26分早着)、見事に超ハズレのロングシートを引いてしまいましたとさ……。まぁ、中央東線は他の路線と比べて空いている区間・時間がより多いように思われ、そういう場合はロングシートでも十分快適ですので、まぁいいか……という感じですが、出来ればボックスシートに座って雄大な風景を眺めたいというのが人情というものでしょう。
 ちなみに、長期政権となった115系の時代の前には、70系と73系、そして旧客が様々に入り乱れていた時代がありましたし、急行列車にも115系の遜色「かいじ」なんてのもあったことを考えますと、国鉄の昔から、中~長距離の普通列車にロングシート車が入ることについては余り節操がなかったのかも知れません。JRCにも、ほとんどロングの211や313で、たまにボックスシートの313-3000が来るという静岡支社がありますし……。
 (画像は、中山道の峠越えの道をを無事下諏訪まで歩き、18:55発のスーパーあずさで帰る際、交換待ちの3連を撮ったものです。ブルーモーメントの空と車体の帯色がミョーにマッチしており、長野色211はロングシート車であっても撮る分には良いなぁ……と ^^;)

中山道バス散歩 (7) 白ワゴンでJRバス?

2017-05-22 00:00:00 | 濃いぃ路線バス&車両


 JRバス関東・長久保営業所を拠点としているバスのうち、最も目が点になった車両はこちら……トヨタのハイエースを使った巡回バス! しかも白ナンバー!! そういえばリエッセも白ナンバーでしたので、基本的には長和町が車両を用意してJRバスに運行を委託しているということなのでしょう。
 もっとも、最初に長久保バスターミナルで見かけた際には、昼時を前にして惰眠を貪っていたことから、早朝夜間用だろうと信じて疑わなかったのでした。



 ところがどっこい! 私が和田宿でメシ屋に入っている間に、このワゴンバスが午後の男女倉行きとして追い抜いていったようで……。土日の最終・長久保行きに乗って宿に向かうべく、山の中のバス停で待っていたところ、何とこれが来るとは!! (^^;) この手の超ミニバスは近年、コミバスとして珍しいものではなくなりつつありますが、運転手氏は他のJR高速バスと全く同じように制服・制帽をバッチリと決め込んでおられで、ギャップの激しさが凄い……。
 そして一層クラクラしたのは、JRの事業用自動車でもあるまいに、真っ白なボディにJREの緑色マーク、そして「つばめマーク」……。そんな究極のミスマッチに、ある言葉を思い出しました。LRBE……(←普通思い浮かばない。^^;;)。

 というわけで、このたび発売となったRM誌に、いつもお世話になっております斎藤さんのミャンマーネタが載ったこともありますので、多忙の中で放置していた (汗) 3月のミャンマー遠征特集を組むことにしましょうか。(既に鮮度は下がり、どなたも期待していらっしゃらないでしょうけど)

中山道バス散歩 (6) JRバス長久保の至宝

2017-05-21 00:00:00 | 濃いぃ路線バス&車両


 JRバス関東の長久保営業所は様々なバスが地味に活躍するという点で面白いところですが、とりわけ感動したのは……メトロ窓の日産ディーゼルRP+富士重工7Bボディ!! 長久保の南にある民宿で一泊した翌朝、前日歩いたところまで宿の車で送って頂いて歩き出してしばし、通常のコミバスとは別に、小中学校送迎用の貸切車として突然姿を現した瞬間、思わず狂喜してしまいました♪



 しかもこのバス、集落を経由する旧道から本通り (国道) に合流する際、時間調整ということでしばらく停まってくれましたので、その間に超速攻でデジカメを連写モードに設定し、ISO感度を1250まで上げ、グイッと曲がってくるところを接近戦で激写!! 緩い上り坂の連続で感じる疲れもどこへやら、これだから地方の路線バス車両は魅力的だ……ということで、思わずハイテンションになったことは言うまでもありません。シートも豪華ですので、こんな車両が今でも上田と下諏訪を結んで走っていれば魅力的だと思うのですが……。

中山道バス散歩 (5) 長和町巡回バス

2017-05-20 00:00:00 | 濃いぃ路線バス&車両


 前回はJRバス塗装の西工が長和町の100 円コミバスとして走っている光景をアップしましたが、時間によって通院・通学輸送の需要がかなり変わるコミバスで、中型車と小型車のいずれかに統一するのは恐らく頭の痛い話でしょう。そこで長和町の巡回バスもご多分に漏れず、日中の大部分の便はこの手のコミバスで運行されていました。そして驚くべきことに、この巡回バス、意外と運行頻度が高い……(詳しくは町の公式HP参照)。また、全ての停留所には山家のような立派な屋根の待合室が設けられ、しかもヤンキーに荒らされた形跡はなく、ゆっくり快適に休憩することが出来ます。



 驚きはそれらにとどまらず、肝心の運賃はどこまで乗っても100円ポッキリ! 町民でなくても100円! 私も、中山道を途中まで歩いてから宿のあるところまで戻る際、12kmほど乗って100円だったという……。年々高齢化が進む山村にあって、町内移動の利便を図ろうとする姿勢には頭が下がります。
 しかし、私が長和町内を歩いたのは日曜日ということで、病院・役場・学校など主要産業が悉く休みとなっているため、利用者は極めて少なく、すれ違うたびに誰も乗っていないのは気の毒でした。このような状況に対応するためか、和田宿方面から長久保に戻る最終バスの時間は14時台……。新幹線が止まる都会・上田からさほど離れていない (?) 地域でも、公共交通を取り巻く現実は厳しいものがあることを実感させられたのでした。