鉄道インフラをめぐる日泰関係について熱く(しかし浅薄な知識を ^^;)語ってしまったついでに、日緬関係についても語っておかなければいけません。ミャンマー政府が上からの民主化に乗りだして以来、日本の援助再開もそれなりにめざましいものがあるわけで、その最大の目玉は昨年既に話が出たヤンゴン~マンダレー本線・約600kmの全面的な再整備・高速化に500~600億円を注ぎ込むという話でしょうか。また、先日外相が訪緬した際には、ヤンゴン周辺の信号設備全面改良に80億円を供与するという話も出て来ました。とにかく、軌道の整備の劣悪さは道路に客貨いずれも吸い取られてしまう原因であり、主要道における渋滞(既に都市部ではあらわれています)を招いてエネルギー効率の低下を招いてしまいます。ミャンマーは一応産油国として国内需要のほとんどをまかなっているはずですが、昨年と比べても急速にクルマが増えている以上、やがて石油を輸入に頼る比重が増えてしまうことでしょう。既に、援助の一環である線路改良のはじめの一歩として、日本の保線技術者がまとまってヤンゴンに現地指導に入り、環状線内のレールはだいぶバラストが補充されて波打ち度合いが緩和しましたので、これからさらに本格的に改良区間が延びて行くことが期待できそうです。しかし……赤青な中国罐DF2000に牽引されたバガン行急行(巨大仏跡バガンに向かう、外国人旅行者もそれなりに利用する列車で、確か落花生。様も乗車されたはず)を撮影したところ、まだまだ工事対象として見落とした (?) ところでは編成が激しく波打っています (汗)。
さて今回の訪問では、前回と同様DF2000が牽引するネーピードー行の急行31列車に乗り、ヤンゴンの北東70km強に位置するバゴーを再訪してみました。その目的は、前回バゴーで目撃した謎のゴムタイヤ駆動レールバスを改めて拝み、出来れば乗ることでしたが (結局乗らず。理由は改めて)、もう一つの目的として、昨年この列車で体験した壮絶な揺れを改めて体験したいという酔狂な意図が……(笑)。
そこで、ヤンゴン中央駅前の陸橋にて、このまま待っていればいすみ205のヤンゴン修理工場入りシーンを激写できたものの、既にヤンゴン到着日にこの直後・8時発のネーピードー行アッパークラスの切符をバゴーまで購入していたため、後ろ髪ひかれるように陸橋を後にして一番北側の一番ホームに。この日のネーピードー行の編成構成は、アッパー2両とオーディナリー4両の計6両という陣容で、最大都市と新首都を結ぶ急行列車の編成としてはやはりイマイチ侘びしいものがあるのは否めません。これもひとえに、まだまだヤンゴン近辺を除けば日本の援助による軌道整備も先の話であり、ますます客足が最高速度45km/h程度&激震の列車から高速バスに移っているためなのだろう……と。実際走り出してみますと、ヤンゴンを発車直後こそ軌道整備に伴いかなり揺れが弱くなって驚いたものの、パズンダウンの手前で環状線の線路を分けたあとは、相変わらずの揺れが……。
しかし驚いたことに、マラゴンを通過して環状線が見えなくなった後は、昨年と比べて明らかにスピードが上がったな……と分かるほどに窓外の景色の流れ方が速い! そして近郊の要衝であるトーチャウンカレー(ティラワ・ダゴン大学方面への分岐)を発車すると、どう考えても60~65km/hほどまで飛ばしているとしか思えないほど力強く驀進してゆくではないですか! どうやら、ここ1年ほどのあいだに少なくともバゴーまで緊急の軌道整備がなされ(当面バラストを補充し、枕木の間隔が余りにも開いたところには挿入)、最高速度が一気に上がったようです……。実はヤンゴン市内の外側でも、早くも日本の援助の成果が少しずつ明確に顕れていることを知り、嬉しくなりました♪ それでもたま~に整備不十分なところがあり、そこに時速60km以上で突っ込むと、従来以上に激しく「ガッコーン、ガッシャーン!!」と揺れまくり、ケツが思いっきり浮いたことは言うまでもありません (滝汗)。もっとも、私の回りに乗っていた10数名の白人観光客の皆様 (荷物をロクに持たず、バゴー日帰り観光というノリ) は、豪快に揺れるたびに半分恐怖におののきつつ半分大喜びしていたのが印象的でした (笑……ま、私もそれを楽しみに乗りに来たのですが ^^;)。
とまぁこんな感じで、近郊列車の終点ヤワッタージー、ランローイン線の分岐ダーバイン……とガンガン通過して爆走していたところ、何と!ヤンゴン発車後1時間40分でバゴーに着いてしまいました。昨年は2時間かかったことを思い出しますと、一気に20分短縮というのはスゴいですな……。軌道改良の効果はてきめんです。今後、緊急整備区間がもっと延びれば、そのぶん所要時間も少しずつ削られて行くでしょうし、さらに500~600億円の円借款が完全に執行されて最高速度100km/h程度に引き上げられれば、現在10数時間かかるヤンゴン~マンダレー間は7時間程度で着いてしまうという革命的変化も実現することでしょう!
これはこれで偉大な進歩ではありますが、それとは引き替えにヤンゴンのすぐ近くでもこれほど野趣あふれる走りを楽しめる現状が昔話になるのは些か寂しいことではあります。もっとも、少なくともヤンゴン~バゴー間については、本気で時速100~120km程度で走ってもらえるようにならなければ困るのも事実。いずれ近い将来間違いなく手狭になるであろうヤンゴン国際空港=ミンガラドン空港の代わりに、現在新国際空港=ハンターワディ空港の建設が予定され、その入札が二転三転、日本とシンガポールの企業連合が多分権利を獲得するものの予断を許さず云々といわれておりますが、この空港はハンターワディという固有名詞(かつてバゴーに都をおいていたモン族の王朝名)からも明らかな通り、バゴーの近郊に建設されることになっています。ということは……東京都心から成田空港まで行くようなものでマジ面倒臭い……。昨年、ミンガラドン空港からダウンタウンの中心スーレーパゴタまで30分で行けたところ、今年は渋滞の発生により50分以上かかってしまっておりますが、やはり海外を訪れる際の空港アクセスというものは1時間を超えると面倒臭いわけで、ヤンゴン~バゴー間の鉄道も利用するといわれる空港アクセス列車は、出来れば1時間程度で走破して欲しいわけです、はい。すると、ヤンゴン~バゴー間をディーゼルカーが頻繁運転で爆走する未来図を描けるわけですが、果たしてどうなることやら。
それはさておき、こうして到着したバゴーにて待ち構えていたものは、果たして昨年激写したのと同じナゾ顔レールバスなのか、それとも……(つづく)。