三岐鉄道80周年まつりにおける最大の見どころは、通常姿を現さない秘宝・ED301の堂々公開でしたが、もう一つ大いに楽しみにしていたのがこちら……元東武ED5080形を整備したED5080形・5082号機の御披露目です!!
東武ED5080形は、かつての貨物王国・東武における晩年の主力となっていたED5060形の総括制御対応増備車であり、当初は成田空港建設用砕石輸送のために新造されたため、空港建設公団の所有であったとか。成田空港の完成で当然のように余剰になった後は東武に車籍を移し第一線で活躍していましたが、東武における貨物列車の廃止により3両中2両が三岐鉄道に譲渡されて今日に至っています。しかし……入線後は長らく保々の片隅で雨ざらしの痛々しい姿を晒し、さらには伊勢治田に移動してしまったことから、これはもしやデビューすることなく廃車か……と憂慮せざるを得ない状況が続いていたものです。
東武から三岐に譲渡された機関車としては他に、ED5001改めED458、そしてED5070改めED459がありますが、前者はED5080形の東武車籍化に伴って廃車となり三岐へ移ったという経緯があり、東武を追われた側が三岐で生き長らえ、東武で追った側が三岐でデビューを果たせず朽ち果てつつあるとは何という皮肉なストーリー……。ED459にしても、如何にも東武罐らしい風貌ながらも三岐EL陣の第一線として活躍しており、全く同じデザインで車齢も若いED5080がたどりつつある運命との対照ぶりに不憫さを禁じ得ないものがありました。
しかし何と!伊勢治田に放置されていたED5080は再び保々に移されて正式に整備開始!! ED5081は未だ整備中につき依然として保々の整備庫の中であったものの、5082は東武時代と全く同じ車番のナンバープレートや新たな黄帯も凛々しく、東武罐そのものな角張ったスタイルを夏の青空の下で堂々と披露するに至ったということで……約8年の眠りから覚めて見事復活を果たした幸運に歓呼し、整備に情熱を傾けた三岐技術陣の力量に拍手を送らずにはいられません (^O^)。
こうして再び息を吹き返した三岐の最新鋭機・ED5081&5082ですが、実は新造から既に40年以上経っているという……(^^;)。したがって、昭和20年代に新造された三岐の従来機は老兵の中の老兵という感じとなってしまいましたが、どちらも手をかければ長持ちする質実剛健な《匠の逸品》であることには変わりないのでしょう。是非今後も手を取り合って貨物王国・三岐を支えて行って欲しいものです……が、ED5070→ED459と異なり改番されなかったED5081&5082は、恐らく他のELと混結せず半ば固定編成として運用されることになるのでしょうか?
一方、中部空港土砂輸送終了後長らく、東藤原の雪かき用・富田の入換予備用としてのみ用いられてきたという元秩父・デキ202・203ですが……伊勢治田にて放置されていることに変わりはなく、このまま廃車解体となるのでしょう (T_T)。同じ伊勢治田放置組でもここまで対照的な運命をたどるとは……。まぁデキ200の場合は台車からして特殊な雰囲気が強すぎますので仕方がないのでしょうか。