渋民と沼宮内の間で奥州街道を歩いていますと、地元の各集落から丹念に客を拾う岩手県北バスとは別に、美しい青白塗装のJR東北バスが駆け抜けて行きます。その名は、盛岡と久慈を結ぶ「白樺号」! 全く有料道路に入らず、全て下道を行くバスとしては、日本有数の長距離路線として知られています。もちろん、距離面でも所要時間面でも、大御所の奈良交通・十津川特急バスには全く及びませんが、とりわけ沼宮内から葛巻を経由して久慈に抜けるまでの間は、白樺の森が広がる人煙稀な高原をひた走るという点で、十津川特急とはまた違った興趣があると思われます(乗っておらずスミマセン ^^;)。
とはいえ、近年は車社会化の影響が大きいだけでなく、東北新幹線の八戸開業以来、北福岡改め二戸と久慈をダイレクトで結ぶ路線があるため、所要時間と東京へのアクセスの両面で、白樺号は不利な状況となっています。沼宮内乗換は二戸乗換と比べて美味しくないですから……。そこで、見たところ客の数も少なく……伝統ある路線が減便を重ねて行くとしたら寂しいことです。
なお白樺号は、何だかんだで下道を走りますので、例えば文学好きな方が盛岡から渋民宿の石川啄木記念館を訪れるような場合には、非常にラクで便利です(IGRの渋民駅から石川啄木記念館までは徒歩で25〜30分ほどかかりますので、白樺号でなければ岩手県北バスがオススメ)。私も、渋民宿から一旦盛岡に戻って一泊し、翌朝渋民宿に来る際には、白樺号が一番速くて便利だなぁ〜と思い、時刻を調べました。ただ、如何せん本数が少ないため、行動予定とはうまくかみ合わず残念でした。